【マンガ原作】『令和地獄ブラザーズ・帰国編』最終話「VOL.6 令和地獄ブラザーズ」
あらすじ
権藤左近は、ある日…30年前、行方不明になった兄の右近と、その友人・牛山をテレビの中で発見し、ミナミノ島に向かう。そこには、右近と牛山が生きていた。
登場人物
権藤左近…「サイバーコア・ネットワーク」CEO。現在は子会社の「サイバーコアエンジン」でロボット開発に力を入れている。
早瀬綾乃…左近と交際している女優。性格は天然。都内のタワマンに住み、ネコを飼っている。趣味はピアノ。
権藤右近…左近の兄。
牛山…右近の親友。
ミーズ・ヌ・マ―…通訳兼コーディネータ。
カーネ・シ・ロー…ミナミノ島の長老。
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※タイトル画面
空の上、航空機機内。窓から見える、雲の切れ間の下の光景を見ている右近。
タイトル
『令和地獄ブラザーズ・帰国編』
最終話「VOL.6 令和地獄ブラザーズ」
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空…。雲の上を飛ぶ旅客機。
機内。窓際の席に座り、窓の外を見ている牛山。
その隣に右近、腕を組んでじっと目を閉じている。
はしゃぎ出す牛山。
牛山「えっえっえっ!」
右近、目を開け。
右近「どうした…牛山?」
牛山、窓の外を指差し。
牛山「えええ…」
右近「ん!?」
窓の外を覗き込む右近…感嘆の声。
右近「お~っ!?」
雲の切れ間から、富士山。
右近の声(つ、ついに帰って来た…!)
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※回想
夜。ミナミノ島の海ー
字幕⦅数日前ー⦆
浜辺にテントが張られている。
テントの前で、焚火をする右近、左近。
左近「ところで兄貴…この島で、コミュニケーションはどうしてたんだ?」
右近「うむ、それがな…なぜか」
※右近の回想
島民たちと楽しそうにしている牛山。
島民「○✕○✕✕△」
牛山「えええ…」
大笑いして、牛山の肩を叩く島民。
島民「ワハハハ!」
笑顔で照れる、牛山。
牛山「えええ」
ポカーンとした様子で、その光景を見ている右近。
右近「う~む…さっぱり、わからねえぜ」
※右近の回想終わる
右近「牛山は不思議と、島民たちとコミュニケーションが取れていたんだ…」
左近「う、牛山さん…この島のコトバが喋れたのか?」
右近「い、いや…オレには、牛山はいつものように」
「"あ~"だの"えええ"と言っているようにしか聞こえないのだが…」
左近「う、う~む…もしかしたら」
右近「もしかしたら…なんだ?」
左近「い、いや…何でもない」
テントの中。《ガ~ガ~》と鼾をかいて寝ている牛山。
字幕(左近の声)⦅もしかしたら⦆
⦅コトバではない特殊な伝達手段…⦆
⦅たとえば…テレパシーのような⦆
右近「この島の長老は、オレたちを…空から舞い降りた神のような存在だと」
「…今でも本気でそう思っている」
左近「…」
右近「その幻想は、壊したくねえ…オレたちのためではなく、長老のためにな」
左近「ならば…どんな別れを思い描いている?」
※回想終わる
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旅客機機内。窓の外、雲の切れ間から房総半島。
着陸のアナウンス。
シートベルトを締める右近と牛山。
しだいに街並みが見えて来る
字幕(右近の声)⦅こ、これが…⦆
⦅令和か……⦆
成田国際空港、滑走路。
無事、着陸する旅客機…。
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※回想
夜。静かな波の音が聞こえる…。
ミナミノ島の海ー
沖合に漁船が一隻。
甲板上に左近。
左近「ミーズ、準備はいいか?」
操縦席のミーズ。
ミーズ「OKですぜ…サンコンさん」
甲板上の左近。
左近「サコンな…」
双眼鏡を覗く。
双眼鏡の先には、砂浜に立つ右近と牛山。
※右近の回想
夜。砂浜…。焚火に照らされる、右近と左近。
右近「いつまでも、長老や島民たちの心に残る…伝説のような別れ」
左近「…伝説のような別れ?」
右近「たとえば、だが…」
「…長老に、ヨソの星から来た宇宙人だと告白して」
「最後の闘いに挑む…とか」
※右近の想像カット
長老と向かい合う右近。
右近「長老…ボクはね…ボクは……」
「…M78から来た……」
左近「…ウルトラセブンか!」
「最後の闘いって…誰と闘うんだよ」
右近「牛山を怪獣役にして…」
左近「…ただの、ウルトラマンショーだ」
右近「う、う~む…これはどうだ」
「オレと牛山の学校が火事になり…」
左近「もしかして…サリーちゃんか?」
「いったい何の話をしてるんだ、兄貴…」
「ただ、特撮やアニメの最終回を語っているだけだ」
「しかも昭和が過ぎる…」
右近「うむ…やはり、ウケないか」
左近「いや…何となくだが、イメージは理解した…」
「フランダースの犬…の最終回」
右近「…それも、昭和だよ!」
「オレと牛山が死んじゃってどうすんだよ」
左近「そ、そうだ…!? 」
「世界各地に伝わる、羽衣伝説…」
右近「…?」
左近「満月の夜に、月に還る…!」
右近「そ、それだ…!!」
※右近の回想おわる
砂浜。右近と牛山。二人とも、ランニングシャツに腰蓑姿。
二人の前に、長老・カーネを先頭に島民たち。
右近と牛山、長老の前に立ち。
右近「長老…いよいよお別れの時が来たようです」
通訳する牛山。
牛山「えええ…えええ!」
カーネ「…!」
右近「私たちは…還らなけらばならないのです」
夜空を指差す右近。
右近「…あの、故郷に!」
牛山「えええ…えええ!」
空には、丸い月…満月。
沖合。漁船上の左近、双眼鏡を覗きながら叫ぶ。
左近「ミーズ、GO!」
操縦席、エンジンの出力を上げるミーズ。
《ドドドドドッ》と、発進する漁船。
船尾に結ばれたロープが《ピーン》と張る。
※回想おわる
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成田国際空港ー
国際線到着ロビー。
柱の物陰に右近と牛山。
右近「おい牛山…これが、最後の試練だ」
「入国審査さえパスすれば」
「もう一度日本で暮らせる…!」
牛山、嬉しそうに。
牛山「えええ…」
右近「いいか…」
「オレたちはもう、日本人じゃねえ…」
「ウー・コン・ゴンドと、ウー・シイ・ヤマこと」
「…ウー・ブラザーズだ!!」
牛山「えええ!」
右近「本番前に、リハーサルをやる…」
「オレは係官だ…名前を聞くから」
「ウー・シイ・ヤマと答えるんだぞ」
敬礼する牛山。
牛山「ハ、ハイ…う、右近さん!」
右近「What’s your name…お前の名前は?」
牛山「えええ…う、牛山!」
右近「違うだろ…やり直しだ!!」
「What’s your name…名前は?」
牛山「う、牛山!」
右近「だから、ウー・シイ・ヤマ…だろ!?」
牛山の頭を《ポカリ》と叩く右近。
牛山、頭を押さえて。
牛山「う、うひ~っ!?」
その様子を遠巻きに見ている通りすがりの…旅人。
旅人「…?」
(『ネオ・リバースエッジ』「最終話・行く先は…未知!」より、同一シーン)
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※回想
夜。海、沖合…スピードを上げ前進する漁船。
船尾のロープが上昇していく。
砂浜。《うお~っ》と声を上げ驚く、カーネをはじめ島民たち。
パラセーリングのように、右近と牛山が乗ったパラシュートが空に舞う。
右近&牛山、必死の形相。
右近「うお~~~っ!」
牛山「えっえっえ~っ!」
急激な上昇で右近と牛山の腰蓑が《ハラリ》と落ちていく。
右近「お、おい…なにが羽衣伝説だ!?」
「これじゃあ、お笑いウルトラクイズじゃねえか!」
フルチン…下半身を露出したまま夜空に消えていく右近と牛山。
指を差して大笑いする島民たち。《ガハハハハ!》
遠い眼をして空を見ている長老・カーネ。
字幕(カーネの声)⦅彼らが来てから…この島は、笑いが絶えなかった……⦆
夜空に消えていく右近と牛山。
字幕(カーネの声)⦅彼らはやはり、天使…なのだ⦆
※回想おわる
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成田国際空港ー
国際線到着ロビー。
入国審査に並ぶ、牛山と右近。
極度に緊張している牛山…息遣いが荒く、汗をかいている。
牛山の順番、係官がパスポートを確認する。
係官「May I ask your name?」
牛山「えええ…」
「ウ…ウ…ウ…」
冷や汗の右近。
右近の声(ガ、ガンバレ…)
牛山「ウ、ウー・シイ・ヤマ…」
《ホッ》とする右近。
右近の声(よし…いいぞ、牛山)
次に右近。
係官「May I ask your name?」
右近、平然と。
右近「…権藤右近!」
係官、右近の顔を見て。
係官「はあ…!?」
右近、牛山の腕を掴み。
右近「ま、まずい牛山…逃げるぞ!」
牛山「えええ…!?」
税関を強行突破する右近と牛山。
ロビーの中を全力疾走。
追いかける数人の係官。
その時…故意か偶然か?係官を遮るように、通りすがりの旅人が通る。
旅人に激突して転ぶ係官。
旅人も転倒し、後の係官たちも巻き込まれ次々と転倒。
走り去る右近と牛山。
その後姿を見る旅人。
一瞬、振り返る右近。
右近と旅人の視線が交錯する。
《二ヤリ》と笑う旅人…蜂須賀。
(『ネオ・リバースエッジ』「最終話・行く先は…未知!」より、同一シーン)
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夜。横浜ベイブリッジ…。
横浜・みなとみらい地区ー
横浜、さらには川崎、東京都内の夜景。
横浜ランドマークタワー・展望台。
あ然と見ている右近。
右近「…」
(右近の声)「れ、令和の…ニッポン……」
窓に張り付き、夜景を見る牛山。
牛山「えっえっえっ…!?」
冷静な眼差しで、牛山を見る左近。
字幕(左近の声)「もしかしたら…」
「最初に出会った、牛山さんの無垢な魂に」
「あのロボットが感応し、共鳴したとすれば…」
「…ハード…コア……」
牛山を優しく見守る右近。
字幕(右近の声)「牛山…どんな時代やどんな場所でも」
「お前のことは、オレが全力で守ってやる…」
夜景をバックに立つ右近、牛山、左近の三人…。
※ラストコマ
吠える右近。
右近「オレたちは…令和地獄ブラザーズだ!」
『令和地獄ブラザーズ・帰国編』
最終話「VOL.6 令和地獄ブラザーズ」END
『令和地獄ブラザーズ』へと続く
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