【マンガ原作】『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.2 777
あらすじ
権藤右近は、30年前に行方不明…だったが、右近とその友人・牛山は、とある南の島で生存していた(映画『ハード・コア』より)。ある日、弟の左近がテレビの中で発見し、外国人…ウー・コン・ゴンド、ウー・シイ・ヤマのウー兄弟として日本に帰国する。平成では"自爆"で人生を清算するしかなかった二人…令和の世の中には「令和地獄ブラザーズ」の居場所があるのか!?
登場人物
権藤右近…主人公。30年前、行方不明になっていたが、南の島で生存。外国人…ウー・コン・ゴンドとして令和の日本に帰国し、弟・左近の会社のトイレ掃除で生計をたてている。
牛山…右近の親友。ウー・シイ・ヤマとして右近と共に帰国。右近と一緒にトイレ掃除をしている。
権藤左近…右近の弟。元エリート商社マン。30年前に発掘した金のインゴッドを売却し、その資金で「サイバーコア・ネットワーク」を設立。現在CEOを務めている。
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『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.2 777
※タイトル画面
日本丸メモリアルパークの帆船日本丸を背景に、右近と牛山の横顔。
字幕かぶせて。
字幕⦅行く先は……⦆
⦅…どこ?⦆
タイトル『令和地獄ブラザーズReturns』
『VOL.2 777』
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横浜・野毛あたりー
商店街を行く二人。
ポケットに手を入れる右近。
右近「…?」
空の"hi-lite"のパッケージ。
右近の声(くそっ…切らしたか)
《ぐっ》と握り潰して。
右近「牛山…少し待ってろ」
コンビニの看板を指差して。
右近「タバコを買ってくる」
牛山「えええ!」
コンビニ店内ー
右近が入ってくる。
お菓子が並ぶ棚。
首を傾げる右近。
右近の声(な、ない…)
周囲の棚を見回す右近。
右近の声(牛山が好きな…)
(…"カール"がない!)
右近、袋菓子を手に取り。
右近の声(う、う~む…)
袋菓子には"キャベツ太郎"の文字。
さらに、"うまい棒"数本を手にして。
レジに並ぶ右近。
前に立つ男性客がレジの端末機にスマホをかざす。
右近「?」
去って行く男性客。
《ポカン》とする右近。
右近の声(お、お金…)
レジの前に立つ右近。
"キャベツ太郎"と"うまい棒"を置いて。
右近「あと…ハイライトを一つ」
レジには外国人男性の店員さん。
店員「何番デスカ?」
レジの後にタバコの棚。
右近、ハイライトを見つけ。
右近の声(おお…ラッキー7!)
右近「な、7番」
店員、ハイライトを差し出し。
店員「コレデ、イイデスカ?」
右近、頷いて。
右近「うむ…」
店員「画面ノタッチ、オ願イシマス」
レジのタッチパネルに年齢確認の表示。
右近「ここか…?」
右近の声(どう見ても"オッサン"だろーが)
店員、"ハイライト"をスキャン。
右近「お、おい…今のヤツ」
「お金払ってねえじゃねーか」
店員「ハアッ?」
「スマホ決済…」
右近「?」
右近の声(ス、スマホ決済!?)
自分のスマホを取り出す右近。
右近「…」
右近の声(こ、これで買い物も出来るのか?)
店員、"キャベツ太郎"と"うまい棒"をスキャンして。
店員「777円デス」
驚く右近。
右近「!?」
「うお~っ!」
右近の声(ラッキー7に続き…スリー7!?)
店員「スマホ決済デスカ…?」
右近「う、うむ…」
右近の声(何事も…チャレンジだ)
右近「ど、どうすればいいんだ?」
店員、端末を指差し。
店員「ソコニ、カザス」
レジの端末。
右近の声(こ、これか)
端末にスマホをかざす右近。
右近「…」
無反応。
右近の後に人が並び始める。
焦る右近、スマホの角度を変えたり裏返しにしたりする。
無反応。
店員の声(早クシロ…ジジィ)
スマホに唾液をつける右近。
無反応。
後の客がイライラし始め。
右近、必死の形相。
右近の声(く、くそ~っ…)
財布から一万円札を取り出し、叩き付ける。
右近「お、お金ならある…」
「…オ、オレは現金しか信じねーんだ!」
カッコ付けて立ち去る右近。
店員が呼び止める。
店員「オ客サン、オ釣リ…9223円」
右近の声(な、なにい…!?)
気まずそうに、レシートと釣銭を受け取る右近。
他の客の冷たい視線。
恥ずかしそうに出て行く右近。
右近「…」
公園ー
青空の下、ベンチに座りタバコをふかす右近。
右近「…」
うまい棒にむしゃぶりつく牛山。
牛山「えええ!」
右近、スマホを手にして、しみじみ見ている。
右近「…」
首を傾げる右近。
右近の声(う、う~む…)
右近「おい牛山…」
牛山、うまい棒を手に。
牛山「えええ」
右近、牛山にスマホを見せて。
右近「いまやコレで買い物も出来るらしい…」
スマホを凝視する牛山。
牛山「えええ…!?」
右近「…だが」
「お前が好きな…」
「"カール"は売っていなかった……」
牛山「えええ~っ?」
右近「…それが令和の世の中だ」
牛山「…?」
右近「…」
牛山「…」
右近「そ、そうだ牛山…」
合計金額777円のレシート。
右近「見ろ…777のレシートだ!」
牛山「えええ!」
右近「これは…吉兆に違いない」
「そのうち…」
「オレたちにも、必ず良い事が…!」
万歳の牛山。
牛山「えええ~!」
その時、風が吹き抜ける。
右近「あっ…!?」
右近の手から離れ、風の中に消えていくレシート。
右近「あ~…」
立ち尽くす右近、《ガックリ》肩を落としてうなだれる。
右近「…」
牛山「えええ…」
※ラストコマ
ベンチの二人。二人の周りに、鳩が集まってくる。
吹きすさぶ北風…枯葉が舞い散る。
《ビュ~ウ~》
『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.2 777END
次回につづく