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【マンガ原作】『令和地獄ブラザーズ・帰国編』「VOL.5 ハード・コア」

あらすじ

権藤左近は、ある日…30年前、行方不明になった兄の右近と、その友人・牛山をテレビの中で発見し、ミナミノ島に向かう。
そこには、右近と牛山が生きていた。左近は二人に日本への帰国を促す。

登場人物

権藤左近…「サイバーコア・ネットワーク」CEO。現在は子会社の「サイバーコアエンジン」でロボット開発に力を入れている。

早瀬綾乃…左近と交際している女優。性格は天然。都内のタワマンに住み、ネコを飼っている。趣味はピアノ。

権藤右近…左近の兄。30年前から行方不明。

牛山…右近の親友。右近と共に行方不明。

ミーズ・ヌ・マ―…通訳兼コーディネータ。

カーネ・シ・ロー…島の長老。

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※タイトル画面

海の底に沈む、ロボオの残骸…周りを魚が泳いでいる。

タイトル
『令和地獄ブラザーズ・帰国編』

「VOL.5 ハード・コア」

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青い空…。
そして、どこまでも透き通った青い海。
ミナミノ島・砂浜ー
ミーズ「サンコンさん…」
左近「…左近だ」
ミーズ「ウコンさんたちに、帰国する気があるのなら…手筈を整えますがな」
左近「ん?」
ミーズ「実は私、ブローカーのようなこともやっておりまして…」
   「お二人をこの島の住民として…日本に行かせることは可能です」
   「この島の行政など、いい加減なもんですぜ」
   「もちろん…多少の費用は掛かりますがな」
左近「兄貴はどうだ?」
  「外国人として暮らすことになるが、過去を隠すには都合がいい」
右近「う~む…しょせんオレや牛山は、どこで暮らそうが」
  「家庭だの幸福とは、一生縁が無いだろう…」
左近「…」
右近「…ならば日本に帰り、令和とやらの地獄も見てみるのも悪くないかもしれない」
  「だが…オレも牛山も、ここの島民特に長老には恩義を感じている」
  「オレたちはこの島で、神のように扱われている…」
  「ただ弟が迎えに来たから帰ります…というワケにはいかないだろう」
右近の想像のカット。虹をバックにキラキラとした幻想的な光景の中、白衣を身につけ羽が生えた…まるで天使のような姿で、天に上っていく右近と牛山。
右近「何らかの恩返し…演出が……」
左近「うむ…考えてみよう」
右近「牛山、お前はどうだ…日本に帰りたくないんか?」
牛山、首を横に振り。
牛山「えええ…」
右近「そうか…気がすすまないのか」
  「いいか牛山…どれだけもてはやされても」
  「しょせんこの島では、オレたちはヨソ者」
  「お前もホントは、わかっているハズだ」
牛山から涙と鼻水があふれ出る。
牛山「えええ~」
右近「それでもここに居たい理由は…一つしか考えられねえ」
  「お前は…ロボオと離れたくないんだろ」
牛山号泣。
牛山「うひ~っ…ロボオくん」
左近「お、おい兄貴…あのロボットは、どこにあるんだ?」
激高して左近の胸ぐらを掴む右近。
右近「お、おい左近…!」
  「お前がここまで来た目的は」
  「オレたちではなく、ロボオだったのか?」
左近、右近の手を引き離して。
左近「落ち着け兄貴…」
  「…もちろん、兄貴たちとの再会が目的だ」
  「だが…あのロボットに興味がない、と言えばウソになる」
  「なぜなら…オレは今、ロボット開発を仕事としているからだ」
右近「…」
左近「あのロボットも、再現できるかもしれない…」
右近「ほ、本当か…左近?」
牛山「えええ!」
左近「ああ…いつかはな」
右近、海を指差し。
右近「自分で見て来い…この辺りは遠浅だ、素潜りでいける」

夕暮れの砂浜…右近と牛山が磯釣りをしている。夕日が二人を照らす。
海から、左近が上がって来る。
右近「どうだ…ロボオはあったか?」
左近「ああ、それらしき物はな…」

※左近の回想
海の中…錆びた鉄屑の周りを、南海にいそうな魚が泳いでいる。
字幕(左近)⦅もはや…あのロボットの原型すら留めていない⦆
     ⦅錆びた鉄屑だけが……⦆
海中で、鉄屑の周りを探す左近。
左近「飛行機のような、ブラックボックス…何らかの記録装置があるかと思ったが」
  「そのようなものは、見つからなかった…」 
※回想終わる

号泣する牛山。
牛山「うひ~っ」
  「ロ、ロボオく~ん!」
右近「牛山、泣くんじゃねえ」
  「あれがオレたちが知っているロボオか?」
  「海の底に沈む、ただの鉄屑…いや、サビの固まりだ」
右近も涙を流して。
右近「ロボオのヤツ、オレたちを傷付けまいと…」
  「あえて海に不時着したんだ…自らを犠牲にしてな」
牛山「う、うひ~っ」
左近「そこだ!」
右近「ん…!?」
左近「…それが、最大の謎なんだ」
  「わかるか兄貴…?」
右近「…?」
牛山「えええ…?」
左近「あの洞窟から…埋蔵金を探し出した能力」
  「おそらく現在でいうAI…が、すでに搭載されていたのであろう」
右近「な、何だその…エーアイってのは」
  「アントニオイノキ…い、いやアイイイジマ」 
左近「人工知能のことだ…それだけではない」
  「現在の最先端の技術…自律二足歩行、人工音声、高性能センサー、さらにはロケット」
  「30年経った現在でも、あれほどのロボットを作るのは不可能だ!」
  「それほどのヤツが、なぜ身を挺して兄貴たちを助けたのか?」
  「技術やプログラムを超えた、その不可解な行動原理…」

※ラストコマ
夕陽に吠える左近。
左近「それこそが、ヤツの魂(コア)…"ハード・コア"なんだ!」

「VOL.5 ハード・コア」END

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