【マンガ原作】『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.7 泣キナサイ笑イナサイ
あらすじ
権藤右近は、30年前に行方不明…だったが、右近とその友人・牛山は、とある南の島で生存していた(映画『ハード・コア』より)。ある日、弟の左近がテレビの中で発見し、外国人…ウー・コン・ゴンド、ウー・シイ・ヤマのウー兄弟として日本に帰国する。平成では"自爆"で人生を清算するしかなかった二人…令和の世の中に「令和地獄ブラザーズ」の居場所はあるのか!?
登場人物
権藤右近…主人公。30年前、行方不明になっていたが、南の島で生存。外国人…ウー・コン・ゴンドとして令和の日本に帰国し、弟・左近の会社のトイレ掃除で生計をたてている。
牛山…右近の親友。ウー・シイ・ヤマとして右近と共に帰国。右近と一緒にトイレ掃除をしている。
権藤左近…右近の弟。元エリート商社マン。30年前に発掘した金のインゴッドを売却し、その資金で「サイバーコア・ネットワーク」を設立。現在CEOを務めている。
吉田クンのお父さん…牛山の友だち、柴犬・吉田クンの飼い主。"金城会頭"のような容姿。
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『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.7 泣キナサイ笑イナサイ
※タイトル画面
《何でもお売りください》の看板。リサイクルショップ『NANDEMO OFF』に入って行く、右近と牛山。
字幕かぶせて。
字幕⦅川は流れてどこどこ行くの…⦆
タイトル『令和地獄ブラザーズReturns』
『VOL.7 泣キナサイ笑イナサイ』
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横浜・伊勢佐木モール
バッグが入った袋を両手に持ち、街を行く右近と牛山。
右近「しっかし…やっぱりオレは」
「"持って"るぜ…!」
元気がない牛山、しょんぼり…。
牛山「…」
右近、立ち止まり牛山に向かって。
右近「…お、おい」
「気にするな…牛山」
「誰だって恥をかく…」
回想カット。前回『VOL.6 リサイクル』より、ランジェリー姿の牛山。
牛山「…」
右近「オレたちは…恥すらも武器にして」
「生きていかなきゃならねえ」
牛山「えええ…」
右近「オレの目に狂いはない…」
回想カット。幾何学模様の柄のバッグ。
右近の声(あの…野球チームみたいなマークは)
(…間違いなく、一流ブランドだ!)
《二ヤリ》の右近。
右近「全部で15点…」
「最低でも1点1万円」
「い、いや…低く見積もって」
「5千円としても…7万5千円」
「むふふ…」
右近、牛山に。
右近「このバッグを売ったお金で」
「…温泉に行こう!」
牛山「…」
右近「恥なんて…」
「温泉で…キレイさっぱり」
「洗い流しちまえ!」
牛山「えええ!」
再び歩き出す右近と牛山。
《何でもお売りください》の看板。リサイクルショップ『NANDEMO OFF』に入って行く、右近と牛山。
『NANDEMO OFF』店内ー
買取カウンター。袋から《ドサッ》とバッグを出す右近。
右近「買取り…お願いします」
カウンター内、出されたバッグを数えながらカゴに入れる店員。
店員「…全部で15点ですね」
右近「うむ…」
店員、③の番号札を差し出し。
店員「番号をお呼びしますのでお待ちください」
右近「う~む…どのくらいかかります?」
店員「そうですね…30分ほど」
右近「うむ…!」
古本コーナーの右近と牛山。
右近、一冊のマンガ本を手にして。
右近「お、おい…牛山」
「オレは若い頃から」
「この作者の大ファンでな…」
牛山にマンガ本の表紙をみせる。
牛山「えっえっえっ!」
店内のアナウンス(③番でお待ちのお客様…)
(計算が出来ましたので)
(買取りカウンターまでお越しください)
右近、《二ヤッ》。
買取りカウンター。
店員「お待たせしました…」
「計15点で合計金額は…」
右近「うん…」
牛山「…」
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横浜関内・大通り公園ー
《ふ~っ》とタバコの煙が立ちのぼる。
ベンチに座って一服する右近。
右近「…」
うまい棒をかじり、ご機嫌の牛山。
牛山「え~え~え~」
右近、タバコをもみ消し吸い殻を携帯灰皿に。
右近「牛山…」
牛山「えええ…?」
右近「やっぱり、このお金…」
「…もらうワケにはいかねえな」
牛山「?」
右近「吉田クンのお父さんに…渡そうぜ」
牛山「えっえっえっ…!」
吉田家ー
和室。床の間に仏壇、その斜め前にアンティークな椅子が置かれ、"吉田クンのお母さん"の遺影が飾られている。
吉田父「なにっ!?」
右近を《ギロッ》と睨みつけ、刀を抜くような姿勢で殺気を放つ。
吉田父「売ったお金は、すべておめえさんたちのもので良い…」
「…と、言ったのを忘れたか?」
「武士に二言はないっ…!」
震えあがる右近と牛山。
右近「い、いえ…」
牛山「えええ…」
吉田父「今さらお金を受け取って欲しい…とは」
「何たる愚弄…」
「その曲がった精神を」
「…今すぐ叩き直してやる!」
右近「ち、ちょっと待ってください…吉田さん」
「以前はそんなキャラでは…」
牛山「えええ…!?」
右近「で、では…こうしましょう」
吉田父「…」
右近「奥様に渡すんです…」
「このお金で、何かお供え物を…!」
吉田父「…妻にだと」
右近「それが一番かと…」
吉田父「いったい…いくらになったんだ?」
右近「はい…」
※回想
買取りカウンター。
店員「計15点で合計金額は…」
右近「うん…」
牛山「…」
※回想おわる
右近「その合計金額は…」
睨みをきかす吉田父。
吉田父「…」
正座の右近。
右近「…8000円でした」
吉田父、力が抜け笑い出す。
吉田父「わはは!」
「…やはり私の思った通りだ」
「おぬしらも侮られ…」
「不正を働かれたんだよ…!」
右近「い、いえ…違うんです」
「あれらのバッグは…」
「…一流ブランドの物ではなく」
吉田父「偽物だったのか…?」
首を横に振る右近。
右近「いや…偽物や模造品でもなく」
「…別のメーカーの物で」
「高級な物ではないですが」
「一部のご婦人たちには人気があるとのことです」
「…オレも自分の目で確かめました」
「不正があったワケではありません」
吉田父「…」
右近「わ、わかりますか、吉田さん…」
「奥様は…決して」
「吉田さんだけにぶら下がりを着せて」
「贅沢をしていたのではなく」
「ご、ご自分も…」
吉田父、あ然…。
吉田父「…」
右近「…」
牛山「ううっ…」
上を見上げ、目を閉じる吉田父。
吉田父「そうか…」
「そうだったのか……」
右近「…ですから、このお金は」
「奥様にお渡しします」
力なく《コクリ》とうなずく吉田父。
吉田父「…」
突然、目を見開く牛山。
牛山「えっ…!」
右近「ん…?」
「どうしたんだ、牛山!」
仏壇の前の椅子を指差す牛山。
牛山「えっえっえっ!?」
周りを見回す右近。
右近「な、何だ…?」
《ポカン》の吉田父。
吉田父「…?」
※ラストコマ
椅子に遺影はなく、そこに老婆が座りやさしく微笑み頭を下げている。
牛山「えっえっえっ…」
字幕「それは、牛山だけに見えていた…」
『令和地獄ブラザーズReturns』VOL.7 泣キナサイ笑イナサイEND
VOL.8は新年1月1日よりXで毎日ポスト
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