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コーヒーの世界 #3 焙煎の魅力

皆さんこんにちは。
本記事は、コーヒーオタクの社会人がコーヒーについて語る専門的なものになります。
今回はコーヒーを語る上で欠かせない"焙煎の魅力"についてお伝えできればと思います。
またこの記事は複数部にて作っております。
是非#1、#2も見ていって下だいね♬


■焙煎とは

コーヒーの味わいはいろんな変数によって決まってきます。
豆の産地(ブラジル、コロンビアなどの国やサンタアリーナ農園、ラ・セレーザ農園などの農園)や豆の品種(ブルボン種、カネフォーラ種など)、抽出(抽出スピードや湯温、水のpHなど)などがその変数です。
そのなかでの特に味わいに関与しているといわれるのが”焙煎”です。
焙煎は単純に豆の焼きの部分のことを言いますが、焙煎度合によってコーヒーの苦さ甘さ酸っぱさ渋さが変わってきます。
焙煎は一般的には3段階(4段階)で分類され、”浅煎り”、"中煎り”、(”中深煎り”)、”深煎り”があります。
※米国圏では更に細分化した8段階にわけた焙煎度があります。

浅煎り:スッキリとした酸味があり紅茶に近い味わいが特徴
中煎り:酸味、苦味・甘味のバランスが良く飲みやすいのが特徴
深煎り:ドッシリ濃厚な苦味・甘味が特徴

引用:日刊ヤマガタウェイ "【コーヒーの銘柄10選と焙煎】コーヒーの基礎知識を知って自分好みの味を見つけよう" https://mag.yway.jp/gourmet/48363/

図から分かるように焙煎が浅くなればなるほど酸味が増し、甘味・苦味が弱まり、深くなればなるほど甘味・苦味が増し、酸味が弱くなります。

■焙煎と化学変化

豆を煎る前の生豆(なままめ)は皆さんが想像する茶色の豆ではなく、緑色の豆になります。その容姿から焙煎前の豆のことをGreen beansとも呼ばれています。

コーヒーの生豆


その生豆はとても青臭くあの香ばしいコーヒーの香りからかけ離れています。
焙煎を行うことによって普段飲んでいるあの風味豊かな苦く・甘いコーヒーの風味が生まれます。
焙煎はただ熱を加える行為ですが、そのなかで様々な化学反応が行われています。
焙煎は化学的なアプローチにより、安定した、おいしいコーヒーを焙煎することができます。
逆に化学変化を理解していなければ渋味・雑味強いおいしくないコーヒーができてしまいます。
美味しいコーヒーを焙煎すべくこの化学変化について説明します。

◆化学変化の種類

豆の焙煎時の化学変化は、
熱分解
・メイラード反応
・加水分解
・カラメル化反応
の4種類があります。
それぞれ焙煎にとって大事な反応となります。

以下、焙煎プロファイルの一例です。

引用:DAILY COFFEE NEWS The Relationship Between Water Activity and the Maillard Reaction in Roasting "https://dailycoffeenews.com/2017/11/22/the-relationship-between-water-activity-and-the-maillard-reaction-in-roasting/"


◆各化学変化について

熱分解(Thermal decomposition)
豆温度:90℃~
熱分解が発生することによって豆に含まれる糖類が分解し、ギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸等(酸味)が生成。
酸味が一番強くなるタイミングが1ハゼ時。
1ハゼ以降は酸味が減少し、苦味が増加する。

メイラード反応(Maillard Reavtion)
豆温度:110℃~160℃
主に食べ物に熱を加えることによって発生する褐色反応のこと。
これは、アミノ化合物+カルボニル化合物の化学反応によって発生している。

アミノ化合物:アミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸塩基、アミノ脂質等
カルボニル化合物:糖と糖の分解物、L-アスコルビン酸、ポリフェノール化合物、ステロイド化合物

コーヒーの場合は、豆に含まれるタンパク質と糖を加熱によって化学変化を起こし甘味が発生しています。

・メイラード反応の反応経路(かなり専門的なものになります。。。↓)
アミノ酸の窒素分子孤立電子対がカルボニル化合物の炭素分子と求核反応によって結合し、脱水によりイミンが生成。
イミンは、分子構造上不安定より、比較的安定なケトアミンに異性化する(アマドリ転移)
イミン、ケトアミン、その互変異体(異性体)は分解により色素や香気と含む様々な物質に変化する。

【グルコースとアミノ酸のメイラード反応】
グルコースはアミン酸と反応し1,2-エナミノールが生成(中間体)。
1,2-エナミノールが分解し1,4-ジデオキシオソン(α-ジカルボニル化合物)が生成。
1,4-ジデオキシオソンが環化することで2-アセチルフラン(スモーキーな香り)が生成。
また、α-ジカルボニル化合物はメイラード反応の副反応の一つのストレッカー反応によって
α-アミノ酸と反応し、アルデヒド類(香気)を生成する。

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/26/1/26_7/_pdf

メイラード反応によって生成される褐色高分子をメラノイジンという。
メラノイジンは多くの食品に存在しており、活性酸消去作用や食物繊維様の働き等、いくつもの機能性が報告されている。
しかし、メラノイジン化学構造は明らかになっておらず、詳細な生成メカニズムも明らかになっていない。
糖から生成する褐色高分子(カラメル)は、メラノイジンと比較されることが多いが、カラメルも抗酸化性を示す(性質が似ている?)。
豆に含まれる糖とアミノ酸の反応によってメラノイジンが生成。
メイラード反応時間が長いほど甘味が増し、短いと酸味が強いままになる。
甘味の強いコーヒーを作りたい→メイラード反応時間を長くする。

加水分解(Hydrolysis)
豆温度:150℃~160℃
豆に含まれる水分とクロロゲン酸が反応し、キナ酸とコーヒー酸が生成。
キナ酸:酸味成分 コーヒー酸:苦味・香りの元成分

カラメル化反応(caramelization)
豆温度:160℃~180℃
カラメル化反応は糖を加熱した時に糖が酸化され褐色物質を生成する反応のことを指します。
豆で言うと生豆から焙煎豆になるときの緑色から茶色(褐色)に変化する時の反応です。
茶色に変化する面ではメイラード反応と似ていますが、カラメル化反応は糖のみの反応です。
メイラード反応とカラメル化があることによって普段飲んでいる焙煎したコーヒーの味わいに近づきます。
具体的にどんな反応があっておいしくなるのかは解明されていません。

◆豆焙煎の流れと化学反応

今説明した化学変化と焙煎の流れに沿って説明します。
温度は豆の温度です。

温度変化による化学変化 
※開始時に急激に温度低下が起こっているのは、余熱した焙煎機の温度と室温の生豆の温度との均衡を保とうとするから。

【加熱開始】室温~90℃🔥
焙煎器内の温度が徐々に上がっていく。
焙煎器の温度上昇に合わせて豆温度も徐々に上がっていく。

【熱分解開始】90℃~110℃🔥🔥
豆を加熱すると豆に含まれるの水分が抜けていく。
さらに加熱すると豆に含まれるショ糖が酸味の元となる成分に変化。
【熱分解終了】

【メイラード反応開始】110℃~160℃🔥🔥🔥
豆の色:緑→きつね色
匂い:青臭い
水分が抜けたので豆の温度の上り幅が大きくなる。
【メイラード反応終了】

【加水分解開始】150℃~160℃🔥🔥🔥🔥
豆の色:きつね色→茶色
豆に残っている水分とクロロゲン酸が反応しキナ酸とコーヒー酸を生成
加水分解の段階では酸味が強いのでキナ酸の成分の方が多く生成されている。
【加水分解終了】

【カラメル化反応開始】160℃~180℃🔥🔥🔥🔥🔥
匂い:香ばしい
カラメル反応は豆を褐色にする反応ですが、メイラード反応とは違い糖のみがカラメル化を起こします。
メイラード反応とカラメル化があることによって普段飲んでいる焙煎したコーヒーの味わいに近づく。
【カラメル化反応終了】

【1ハゼ開始】200℃🔥🔥🔥🔥🔥🔥
カラメル化が終わると同時に1ハゼが開始。
キナ酸は1ハゼが終了するくらいに減少。
コーヒー酸の成分が対比で増加するので焙煎を続けると苦味が増える。
【1ハゼ終了】
➡ここで止めると”浅煎り”

1ハゼ2ハゼ間は短くすることで甘味・風味がしっかりでるので火力を上げる。
➡ここで止めると"中煎り"

【2ハゼ開始】220℃🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥
1ハゼ後も継続して焙煎を続けていると再度ハゼが起こる(2ハゼ)
キナ酸が減少しコーヒー酸が増え続けるので煎れば煎るほど
苦味の強い豆を作ることができる。
【2ハゼ終了】
➡ここで止めると”深煎り”

【炭化開始】220℃~🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥~
2ハゼ終了以上も焙煎を続けていると炭化が進み苦いだけのものになります。

■まとめ

焙煎はコーヒーの味わいを決める変数を一つとしてとても大事な役割を持っていることが分かったかと思います。
また、焙煎によって様々な化学変化を起こしておりその反応一つ一つが味わいに関与しています。
私も焙煎する身としてこれらの反応を意識しながらおいしい豆を作れるよう精進して参ります!

■最後に

かなり専門的な内容となり申し訳ございません。。。
最後までこの記事を見ていただきありがとうございます。
この記事に スキ をしていただくと次回の記事を書くモチベーションにもつながります。
次回は#4 産地による味わいのちがい について記事にする予定です。
次回の投稿も見ていただけると嬉しいです!!

それでは!おしょうしな~

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