【格安SIM】権利収入の嘘!② 〜格安SIM業界の変遷と実態〜
前回のブログでは、10月のdocomoにおける通信障害をテーマに便利と不便は背中合わせだと言うお話をさせてもらいました。
また、5GによるDX(デジタル化の変革)によって、CX(顧客体験)が変わっていくこともお伝えしました。
今回のブログでは、通信業界の変遷と現在の格安SIM業界の背景やその現状などについてお伝えさせていただきます。
【通信自由化の変遷】
まず、通信事業の規制緩和(通信自由化)の始まりは、今から35年ほど前まで遡ります。
1985年に旧電電公社が民営化されて以降は、NTT、KDDI、ソフトバンク3社の大手固定キャリアに集約されてきました。
通信自由化以後、日本では契約する通信事業者を変えても同じ電話番号が使える「番号ポータビリティ(MNP)」の導入が大きな弾みとなり、利用者は、料金などより豊富なサービスメニューで契約事業者を選べるようになりました。
その動きをさらに加速したのが、
「MVNO(仮想移動体通信事業者)」
の参入です。
MVNOとは…
通信事業者(大手キャリア)から回線を借り、独自の通信サービスとして提供する事業者のこと。
ちなみに、大手キャリアはMNO(移動体通信事業者)に分類されます。
そして、MVNOの利用を後押ししたのが、15年5月から始まったSIMロックの解除義務化。
端末を契約事業者(大手キャリア)の回線でしか使えなかったSIMロックが解除できるようになることで、利用者は提供されるサービスメニューによって契約業者を自由に選べるようになりました。
引用元: MVNOの登場でさらに進む「通信自由化」
その後、2018年には「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」と菅官房長官(当時)がコメントして、大手3大キャリアが料金プランを改定するキッカケを作りました。
さらに、2019年10月の電気通信事業法改正によって通信と端末の分離が義務化され、2年縛りの契約が撤廃されたり、解約金が値下げされたことなどにより、大手キャリアから格安SIMへの乗り換えが容易になっていきました。
このように、菅官房長官(当時)や総務省の後押しなどもあって、大手キャリアの寡占状態だった通信業界も、多くの事業者が格安SIM業界に参入できるようになったことで、MVNO=格安SIMが少しずつ国民に認知される状況にようになっていったのです。
【MVNOの仕組み】
では、通信費が安く抑えられるMVNOの仕組みについて、簡単に説明しましょう。
まず、通信費が低価格にできる理由は…
「大手キャリアから回線をレンタル」
しているからこそ実現できています。
格安SIMを展開する事業者は、基地局など独自の設備を持ったり開発しないことにより…
「設備投資等に係る費用が要らない」
また、店舗展開しなくても運用ができるため…
「運営費等のコストが抑えられる」
これらの理由により、利用者は余計な経費を上乗せされることなく、通信費を最低限で抑えることができるのです。
格安のリラクゼーションチェーン店も同様で、セラピスト以外の人員削減や設備関係の簡素化、また施術以外のサービスを縮小することで、施術代金を可能な限り抑えているので、基本的な考え方は同じと言うことですね
(私の本業はリラクゼーションです!笑)
しかし、利用者にとってみれば、どれだけ通信費を抑えられたとしても、店舗を持たない事業者が提供する格安SIMを利用する場合、トラブルや問合せ等に対応してくれる窓口が無い(少ない)ことが不安要素であり、現在でもMVNOの普及率が伸び悩んでいる原因のひとつであると言えます。
【格安SIMの国内シェア率】
では、実際に日本国内でのシェア率がどれくらいなのか見てみましょう。
引用元: MMD研究所調べ(2021.3)
🔘3大キャリア…79.2%
🔘サブブランド…10.4%
(UQ mobile、Y!mobile)
🔘MVNO…10.4%
KDDIとソフトバンクのサブブランドを併せても、MVNOのシェア率は全体の20.8%に留まっています。
ちなみに、GSMA Intelligence(2015年)の統計によると2014年の全世界のMVNOのうち最も多いのがヨーロッパであり59%となっている(Wikipediaより)
【格安SIMの認知度は90.6%】
次に、MVNO(格安SIM)の国内での認知度はどのくらいなのでしょうか?
引用元: MMD研究所調べ(2020.3)
このように、日本国民の90.6%は格安SIMについて認知はしているようです。
引用元: MMD研究所調べ(2020.3)
また、格安SIMについて考えに近いものを聞いたところ、
「格安SIMという言葉は聞いたことがあるが、サービス名称・内容はよく知らない」が26.7%(最多)
続いて「だいたいどんなものかわかるが、利用したことはない(利用を検討するまでに至っていない)」が22.3%
と続いており、格安SIMについての認知度は9割ほどあるものの、実際に移行するとなるとそこまでの関心が無いと言うのが現状のようです。
【MVNO事業者数】
国内にあるMVNOを提供する事業者の数は、2021年3月現在1500ほどもあると言われており、主要な事業者は以下のとおり。
🔘IIJmio
🔘OCNモバイル
🔘楽天モバイル
🔘mineo
🔘BIGLOBEモバイル
🔘nuroモバイル
🔘LINEMO
🔘QTモバイル
🔘AEONモバイル
🔘y.uモバイル
🔘HISモバイル
上記に挙げた事業者の中だけでも、知らない事業者はあると思いますし、これ以外にまだ1500近くの事業者があると思うと、MVNO業界での生き残りはかなり難しいと考えます。
【3大キャリアの格安プラン】
2021年1月頃までは、UQmobileやY!mobileの大手キャリアのサブブランドを中心に、少しずつMVNO事業者が市場を拡げてきましたが、そこに大手3大キャリアの格安プランが登場したのです。
🔘ahamo(20G:2980円)
🔘povo(20G:2480円)
🔘Softbank on LINE(20G:2980円)
これらの格安プランの登場により、MVNOを展開する各社にとってはとても脅威となり、また資本力や宣伝力の差が今後の格安SIM業界に影響を与え続けるのではないでしょうか!
次のブログでは、これらの事実を元に格安SIMビジネスは稼げる案件なのか、個人的な見解をお伝えしていきます。