ポケモンBWリメイクは存在しない
ポケットモンスター史において第4世代のリメイク作品が存在するかどうかについて、巷では意見が分かれている。BDSPをダイパリメイクと認定するのが通説だが、過激な一部の人々は「ダイパリメイクはなかった」と嘯く。歴史修正主義的な動きはどのような界隈にも起こりうるという冷厳たる現実を、ダイパキッズは身をもって僕らに教えてくれた。
……というのはタチの悪い冗談か罪のない嘘で、今日はポケモン第5世代作品ブラック・ホワイトのリメイクについて予想しようと思う。別にブラック・ホワイトだから「ブラック・ジョーク」「ホワイト・ライ」に重ねたわけではない。断じてない。
ええと、今回も例によって1ミリの根拠もない私見を連ねるので、予想というよりは願望や妄想と呼ぶ方が適切かもしれない。株ポケも知らないし、ゲームフリークも任天堂も関係ない。VTRでリプレイ検証しても、ボールが僅かにラインにかかっていることもなければ(三笘の1ミリ)、えげつない身体能力のメキシコ選手の盗塁がアウトになることもない(源田の1ミリ)。あらかじめご理解の上でご覧いただきたい。
それにしても、BDSPはつくづく駄作だったのだなと思う。好きな人には申し訳ないけれど、あれはお金を出してまでやるゲームじゃないと思ってしまう。正直、過去作をもう一度プレイした方が楽しいまである。僕はダイパにはあまり思い入れがないから構わないけれど、ルビー・サファイアやブラック・ホワイトのリメイクがあのクオリティだったら流石に「なかったことにする」しかないと思う。ダイパキッズの供養。
BW3はありえるか?
まずはBWをどのようにリメイクするかについて。
ご存知の方も多いかもしれないけど、BWはゲーム・ポケットモンスター史において唯一のナンバリング作品という特殊な位置付けにあり、BW(無印)とBW2の両作品によってストーリーが完結する。そのため、①BWのみリメイクしてBW2を切る、②両作品をリメイクする、③新たにBW3を制作する、といったくつかの予想が生まれている。
①BW無印のみリメイク
僕としては、①BW(無印)のみは十分にありうると考えている。何を言おうと、とりあえず無難な選択肢であることは間違いない。しかし、第五世代で遊んだプレイヤーからすれば「イッシュ地方の物語は両作品含めてはじめて完結する」という意識はあるので、この選択肢は正直なところ「安牌だけど臆病な一手」と評価される可能性が高いと思う。ゲーフリ、チキったな、と。
BWの世界観をSwitch(あるいは次世代機)の新たなグラフィックで再現するだけでも価値はある、という意見も出るだろう。しかしですね、BW(2)は初代ポケモンから続くドット絵の集大成的な作品であり、プレイヤーの中には「やっぱりポケモンはドットが最高だよな!」と思っている人も少なくない。懐古厨と言われればそれまでだけど、ドットには3Dグラフィックにはない独特の温かみや肌触りがあって、僕ぐらいのおじさんになると時々あのドット絵が無性に恋しくなったりするものなんです。それに3Dグラフィックによって被害を受けたポケモンもいてですね……え、ナットレイやシビルドンの話はやめてくれって?
要するに、ただ単に「あのBWを現代のグラフィックで!」なんて軽々しく銘打って中途半端な作品を世に出せば、ドット絵愛好家たちからかえってえげつない反発を喰らいかねないことはゲーフリとて理解しているだろうと思うわけでして、それこそダイパリメイクの二の舞では済まされないとんでもない事態が巻き起こるので、おそらく①の線は取らないと僕は踏んでいる。
②両作ともリメイク
で、②両作品リメイクの選択肢だけど、これも難しそうだなと思ってしまう。そもそもゲームの容量がパンパンになりそうだし、だからといって2タイトルに分けるのもなんか違う。1つのゲーム内で主人公が途中で変わる(BWとBW2では主人公が異なる)のもおかしな感じがするし、何よりBW2の「イッシュ地方の2年後の世界」という設定が死んでしまうだろう。トヤトコがNとサヨナラしたと思ったら、「あれから二年後……」みたいな雑なテロップの後にすぐにキョウメイが旅に出たりすると、なんか興醒めだよね。というわけで②もなしだと思う。
③続編BW3を作る
では残った③続編を作る、についてだけど、これも僕はないと思う。BW2で2年後の世界という時間軸を持ち込んだ以上、BW3も「〇〇年後のイッシュ地方」という設定にしなければ、物語の整合性が崩れてしまう。10年分の歳をとって親父ギャグ廃人になったカミツレなんて僕は見たくない。
というか、BW2でゲーチスは完全に野望を打ち砕かれて精神崩壊してしまっており、もはやプラズマ団は存続するだけの力は残っていないのだから、それから後のストーリーを作るのはなかなか難しいだろうと思ってしまう。やれなくはないだろうけど、あの物語の輪はあの時点でしっかり閉じてしまわないと、HUNTER×HUNTERのように作品そのものが暗黒大陸に乗り上げてしまいかねない。やるならバンジロウ編でも描くしかないけど、誰得なんだよって話になる。
そういうわけで、BW3の制作もあまり望みがないと思う。大人になったバンジロウとのイベントで「アデクのじっちゃん? ああ、墓の下に……」なんて展開も嫌だ。10年も歳をとったNなんてただの痛い厨二病になっちゃうだろうし、トヤトコの行方がわかってもわからなくても釈然としないだろうし、メイちゃんの椎茸が松茸になってしまうのも困りものだ(何言ってるんだ俺は?)。
様々な思想や価値観が存在し、コインが裏表を成すように理想や正義の裏返し(あるいは過剰、あるいは方向性の違い)としての野望があり、そのような善と悪が曖昧になった世界の中で激しくぶつかり合った大人たちから、対話を通じて対立を乗り越え白と黒が共存し合える世界を模索する子供達へとバトンが引き渡されたイッシュ地方で、「じゃあその後の結果はどうなったんですか?」と問うのはいささかナンセンスだと感じてしまうのは、僕だけだろうか。
BWリメイクは作られない?
ここまでで僕はBWリメイクの形態として候補に上がるであろう選択肢を悉く潰してしまった。つまり結論としては、BWリメイクは発売されない。以上。
そんなバカな、ね。散々あちこちで伏線らしいものをばら撒いておいて、実は匂わせだけでした、なんてことは流石にないだろう。他の作品がリメイクされている以上、何らかの形でBWもリメイクされなければならないだろう。第5世代をすっ飛ばして第6世代をリメイクされたりしたら、それこそ本当に「BWリメイクは存在しない」ことになってしまう。
勘のいいガキの読者の皆さんはお気付きかもしれないけど、FRLG以来リメイク商法を確立したポケットモンスターシリーズは、つい最近になって強力なリメイク手法を編み出してしまった。それがLEGENDSシリーズだ。
僕の結論は、BWのリメイクはLEGENDSシリーズとして発売される可能性が高い、というものである。BDSPの失敗からすると、BWおよびBW2自体のリメイクはなく、ゲームフリークはLEGENDSに注力するのではないだろうか。あったとしても、BWはSwitchか次世代機におけるVC(ヴァーチャルコンソール)版的な立ち位置で同時発売される、と予測している。
LEGENDSキュレムについての予想
LEGENDSアルセウスはBW再発売のための実験的作品だった、という推測はさておき、仮にイッシュ地方版LEGENDSシリーズが作られるとすれば気になるのはその内容だ。どんな物語になるのか? 登場人物は? リージョンフォームは?
さすがにストーリーやキャラクターの予想はできないけれど、いくつかの要素は推測できるので、僕が個人的に可能性が高いと感じる要素をピックアップしていく。もちろん証拠や根拠は何もないので、予想はあくまで個人的な楽しみ・嗜みであり、公式からの情報やリークではないことをご理解頂きたい。
キュレムの完全体
まずタイトルについてだけど、おそらくキュレムが主役を飾るのではないかと思う。第4世代LEGENDSではアルセウスがフィーチャーされたことを考えると、第5世代でも幻が主役になる可能性も否定はできない。
しかし、アルセウスが宇宙の創造神としてディアルガ・パルキア・ギラティナを従えるという設定が使えることに対して、第5世代の幻の中にはゼクロム・レシラムの上位存在としてのポケモンを見出すことは難しい。ケルディオは3闘の弟子的な立ち位置で、ゲノセクトはプラズマ団による人造ポケモンであり、メロエッタはワン・オブ・サトシの嫁s、そしてビクティニ師匠は道場主である。さすがに道場主でもゼクレシの上に立つのは無理がある。
そうなると、ゼクレシと深い関わりを持つキュレムがフィーチャーされるのが自然な流れになるだろう。キュレムにはゼクレシの抜け殻という設定があり、BW2では遺伝子の楔を使ってゲーチスによって人為的に合体させられてしまった。だがキュレムには完全体の姿が存在していると語られるのに、作品内で確認することはできなかった。
つまり第5世代LEGENDSは、キュレムのパーフェクトフォルムを軸にストーリーが組み立てられると予測できる。そうであれば、時間軸を曖昧にして古代に設定することができ、「イッシュ地方の建国神話の謎を解き明かす」というテーマを採用することが可能になるのだ。
海底遺跡
キュレムをフィーチャリングして時代を古代に設定することで、BW(2)本編で謎のままに残されたいくかの要素を明らかにするという、オールドファンにはたまらない伏線回収ツアーを開催することができる。その中でも最も謎とされているのが海底遺跡だ。
海底遺跡には古代文字が多く残されており、BWの時点では解読できず、BW2ではプラズマ団の幹部(七賢人)の助けで解読できるようになっている。だが解読できたとてその文章が具体的に何を意味するのかが不明で、また特別なポケモンとの遭遇もなく、いったいどんな目的があってマップ上に組み込まれたのか、あまりにも不可解な点が多すぎるダンジョンなのである。
どうやら古代の人々が建国時の王について何かを伝え残すために築いた遺跡のようだが、それ以上のことは判明していない。そう、海底遺跡はLEGENDSにおいて解明されるべきダンジョンであり、実現すればファンにとって10年越しの悲願が達成されることになる、超目玉級の要素になること間違いなしなのだ。
キュレムの完全体と双子の王
イッシュ地方はある1匹の伝説のポケモンを従えた双子の王によって創られたが、二人が真実と理想を巡って激しく対立したことで伝説のポケモンはゼクロムとレシラムに分離し、一度は争いをやめたものの彼らの子孫が再び争いを始めてしまったため、ゼクロムとレシラムは怒り狂いイッシュ地方を焼け野原にした。2匹はそれぞれダークストーン・ライトストーンに封印され、正しい心を持つ人間が現れる時を待ち続けた。
これがイッシュ地方に伝わる神話のあらましだが、最初の伝説のポケモンこそがキュレムの完全体であると推測される。つまり、キュレムをフィーチャーすることは必然的に双子の兄弟を登場させることになる。この2人の人物をどのように造形するのかが注目ポイントだ。
大人気キャラクター=Nとの関連性を持たせるのか否か、海底遺跡とはどのように関係づけるのか、それをストーリーにいかに絡めていくのかなど、神話上の人物、それも双子を造形するのは高度なキャラクター造形力が問われる非常に難しい作業となるから、ゲームフリークの真骨頂が発揮されることになるだろう。
ノボリとクダリ、そして「心の空洞」
LEGENDSアルセウスは、黒曜の原野に始まって純白の凍土で終わるとか、第5世代ポケモンのリージョンフォームとか、とにかく匂わせまくった作品だった。中でもノボリの登場によってBWリメイクの機運が一気に高まったのは記憶に新しい。
ノボリが出たということは、対となるクダリも出てこなければならない。ではどこで出るか? これについては多くの人が考察しているように、BW2のダンジョンである「心の空洞」が関連してくると思われる。
心の空洞はシンオウ地方に繋がる洞窟であると説明がなされていたが、結局はUMAが出現する以外には特別なイベントがないダンジョンだった。わざわざシンオウ地方との繋がりを持ち出しておいて、準伝説と出会うだけではいささか物足りないと言わざるを得ないだろう。それにこのダンジョンを効果的に活用できれば、ヒスイ地方に多くの第5世代ポケモンのリージョンフォームが登場できたことを理由づけできる。
心の空洞については深掘りしないつもりだが、おそらく何らかの形で過去のイッシュ地方にタイムスリップしたクダリが、このダンジョンを通じてノボリと再会する、というストーリーが展開されるのではないだろうか。
BWリメイク=LEGENDSの発売時期は?
BWリメイクに関して読者の最も興味関心を引く話題は、「いつ発売されるのか?」であろう。ここまでで第5世代LEGENDSで取り上げられる要素を解説したけど、ここからは発売時期まで予想してみようと思う。
と言ってみたものの、はっきり言ってゲームの発売時期を予測するのは、業界に通じない素人にとって至難の業である。まったく出鱈目な話をするのは読者に失礼であるが、いくつかの場合分けくらいなら可能なので、発売時期となりそうな日付を列挙していこうと思う。
①2024年
2023年にSVのダウンロードコンテンツが配信予定となっており、その後にBWリメイクが発売されると仮定した場合。完全新作=第10世代は早くても3年はかかるのが通例なので、2025年秋までは別のタイトルで繋ぐ必要がある。
かつては本編とは別にスピンオフ作品を発売していた時代もあったが、近年はスピンオフ作品自体が発売されていないことを鑑みると、完全新作まではリメイクやLEGENDSシリーズで繋ぐ狙いがありそうだ。
②2025年以降
巷で有力視されているのが2025年以降の発売。そもそもリメイク作品はリサイクル周期が長いことで知られており、だいたい10年くらいが相場となっているが、BDSPに関してはなんと15年も待たされている(ダイパキッズが怒るのも無理ないな……)。そのことを考慮すると、2010年リリースのBWもまだ待たされる可能性は否定できない。
ただ、BDSPの発売はハードの移行やLEGENDSアルセウスとの兼ね合いもあって発売時期がずれ込んだとも考えられ、すでに10年以上が経っているBWに関してはいつ発売されてもおかしくはない。むしろ昨今のポケモン人気を加味すれば、SVのDLC後もあまり間隔を空けすぎることなく新作を世に送り出したい、と計画しているのではないだろうか。そうであれば、BWリメイクは第10世代までの繋ぎとしてはこの上ない作品だ。
③第10世代発売よりも後
僕は否定的だけど、リメイク作品間の発売周期を参考にした場合。つまり、ORASからBDSPまでが7年間空いたように2021年から7年後と仮定すると、2028年頃にBWリメイクが発売されることになる。
FRLG(2004)からHGSS(2009)までが5年間、それから6年後にORAS(2014)、7年後BDSP(2021)だから、リメイク作品同士の感覚は5から7年になるのは確かだけど、そもそも周期性を見出すにはサンプルが少ない上に、開発・製作環境は当然変化しているだろうから、あまり当てにならない数字のような気がしている。もちろん全く無視できるとも思わないけど、LEGENDSを発売するとなると、シリーズ自体の発売周期が間延びしてしまうような気もしなくはない。
次世代ハードとの兼ね合い
要するに僕にはさっぱり発売時期が予測できないわけだが、それは次世代機の開発という問題も絡んでいるからだ。Switch(2017)は発売から6年が経過しており、任天堂内部では次世代機の開発が進められているのではないか、という噂が絶えない。2021年時点で古川社長はSwitchがライフサイクルの中盤にあると語ったことや、近年のSwitchの売り上げ減少を考慮すると、根も葉もない噂と片付けるわけにはいかないだろう。
これがポケモンとどのように関係するかというと、過去のポケモンのゲームは新世代ハードの発売後、すぐには本編シリーズを出さないという傾向があるのだ。
DSから3DS(2011)に移行した際にも、BW2(2012)をDS作品として発売し、完全新作のXY(2013)の前には不思議のダンジョン・シリーズを発売している。3DSからSwitchに移行する際も、完全新作=剣盾(2019)の前にLet’s Goピカ・ブイ(2018)が出ており、増田さんはピカブイの攻略本に掲載されたインタビューで「Switchというハードがどれくらい売れるのか、何ができるのか未知数だった」と語っている。
つまり、ポケモンは新しいハードが発売された直後、次世代機の一発目では本編シリーズを出したがらない慎重な態度をとっていることがわかる。スピンオフ作品や小品でハードの特性を把握してから本編を発売する(ただし、ピカブイは本編であると増田さんは明言しているが)。番外作品を観測気球的に打ち上げておいて、そこから得たデータや経験をもとに本編を製作するというのが、これまでの流れとなっている。
以上をもとにBWリメイクについて考えよう。LEGENDSシリーズはアルセウスの成功によって間違いなく「本編」としての地位を確立している。ということは、次世代期の一発目=観測気球にする可能性は限りなく低いと思われる。もちろんローンチ・タイトル(次世代機の発売に合わせて発売されるタイトル。次世代機の目玉作品として消費者にハードの買い替えを促す狙いがある)としてBWリメイクやLEGENDSが発売される可能性は否定できないけど、僕は別の作品を挟むのではないか(これについては次回)と考える。
次世代ハードの発売時期は不明だが、BWリメイクに残る可能性は2つと考える。(a)Switch最後の作品、(b)次世代機及び第10世代発売後、のいずれかによって、発売時期は大きく前後することになりそうだ。
終わり
様々な憶測を飛ばしてきたけれど、結局のところ憶測はそれ以上でもそれ以下でもなく、つまり何者でもない。
僕はこの「〇〇以上でも、それ以下でもない」という表現に潜む数学的な怪しさが昔から不思議だった。たとえば「xは3以上でもなく、3以下でもない」と言われたら、xは空集合になるはずだ(よね?)。「〇〇超でも、〇〇未満でもない」が表現としては正しいのではないかと思っているのだけど、誰か知っている人がいたら教えてください(やほー知恵袋を覗いてみたら「数学と日常では以上・以下の意味合いが違う」という大人の回答がベストアンサーに選ばれていました。ははあ。)
例によってずいぶん長くなったけど、BWリメイクに期待することや楽しみな要素があれば、ぜひコメントで教えてください。いつになるかはわからないけど、BWは大好きな作品なのでリアルガチのスーパーマジで楽しみですね。