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ポケモン世界の裏事情 ポケモンセンターの財源はどこから?

ポケットモンスターシリーズは対になる二つのパッケージ(スカーレット・バイオレットみたいに)で出るのが通例で、昔それをパロディ化した「ポケットモンスター 資本主義VS共産主義」という動画(サムネだけだけど)を見た時、私は笑ってしまった。


プレイヤーは当たり前のようにポケモンセンターを使うけれども、いったいその財源はどこからやってくるのか?



「共産主義」の方では、ポケモンセンターは国営企業として運営されるので、医療従事者の手抜きによってろくでもないサービスと低レベルな医療が提供される。
プレイヤーは無料で利用できる代わりに、半分だけHPを回復したポケモンや状態異常を悪化させたポケモンを受け取ることになる。


「資本主義」の方では、株式会社ポケモンセンターは株主利益の増大と独占企業としての地位の死守を目指し、高度な医療と上質なサービスを提供する。
ただし、プレイヤーはその対価として、利用するたびに多額の代金を支払ったり、あるいは高額な医療保険に加入することを強いられるだろう。



預けた自分のポケモンが悪質な治療を受けて、下手したら命に関わる医療ミスを受けても、文句がいえない世界線。
または、ポケモンセンターが利用者数・回数を増やすために、広告宣伝活動によってバトルを推奨して、「ポケモンは戦わせてこそ」「戦わないグルトンはただの豚」みたいな価値観が蔓延る弱肉強食的な社会。


うーん、どちらにしてもディストピアだ。


さて、現実の(ゲームの)世界の話に戻す。
ポケモン世界の住人たちは、いつでも、どこでも、どんな時でも、無料でポケモンセンターを使えるけど、そのお金はどこから出ているのか?
つまり、ジョーイさんたちのお給料の出資者はだれか問題について。


穏当な答えとしては、ポケモンセンターは公的機関として、政府(そんなものがポケモンの世界にあれば)が予算を組んで、つまり「トレーナーたちから徴収する税金」によって運営されていると考えられる。
富裕層も低所得者層も収入の多寡にかかわらず、はたまた都会に住む人も過疎地に住む人も地域を選ばずに、だれもが等しく同質な医療を受けられるように社会的に公平性が担保されている。


いわばポケモンセンターは、私たちの現実世界の役所や学校みたく、生活に欠かせない「公共財」であり、それゆえに社会が管理運営しているから無料なのである、というのが一般的な考えだろうか。


さて、私はこのような月並みな結論に満足しない。
だって、税金だけで病院が十全に運営されるなんて、そんな無理な話があるわけない。
あれだけのクオリティのサービス(親切なジョーイさん)と医療(即時に完全回復)を無償で提供していたら、会社や組織は絶対に破産する。断言できる。



私は「ポケモンセンター、実は有料説」について説明する。


ポケモンセンターは、いつでも、どこでも、何度使っても、無料である。
と、私たちは勝手に思い込んでいるけれど、その根拠は「自分がそうだから」でしかない。
自分(主人公)のゲーム中での「経験」を「普遍的な事実」にまで拡大解釈しているのだ。


私はこう言い直さなければならないだろう。
ポケモンセンターは、「主人公が利用する限り」、いつでも、どこでも、何度でも、無料である。
結論、主人公以外のだれかがポケモンセンターの利用代金を払っている可能性を、私たちは論理的には否定できない。


だって、主人公以外の誰かがポケモンセンターを利用している場面を見たことがある人は、いないはずだ。
もしかすると、シロナさんや大誤算がポケモンセンターで治療してもらった時には、二人は高額な医療費を払っているかもしれない。でも、私たちはその場面に立ち会うことができないから、事実を確かめる術がない。


私たちは「主観」的な経験によって、ポケモンセンター無料説という幻想を見ているに過ぎない。
家の正面だけを見て「この家は立派だなあ」と思っても、実はそれが舞台のセットであって、いざ裏に回り込んだら「ハリボテ」である可能性を捨てきれない。


私たちが主人公というたった一人の人間の「視点」から「ポケモンセンターは無料である」と断じるのは、正面からだけ見て家の裏側を思い描くのと同じ誤りだ。
家(に見えるもの)が(確実に)家であると断定するには、少なくとも正面・両側面・裏側・屋根(上)の視座を確保して、「四つ以上の壁と、一つ以上の屋根」によって仕切られ、「雨露を凌ぐ」という家としての基本機能を持っていることを確認する必要がある。


回り道をしたけど、経験的な事実から(架空の世界の法律とか社会制度は調べようがない)ポケモンセンター無料説を推し進めるには、いつも・どこでも・何度でもという証明不可能な条件は抜きにしても、少なくとも以下の論点をクリアする必要がある。


①自分が使った時に無料であること。
②自分以外の誰かが使った時に無料であること。


もちろん、これだけでは全くもって十分ではない。
自分以外の誰か、というのは、年齢、性別、国籍、所得、そういった様々な要素にばらつきのあるサンプルを観察しなければならない。
確かにサトシやリコたちも無料でポケモンセンターを使ってはいるけれど、ゲーム中の主人公と似た条件(博士や学校からポケモンを授けられた=公的お墨付きがある若年層トレーナー)であるため、例証のための材料としては弱すぎると考えられる。


最後に個人的な結論(推測)を提示しておく。



ポケモンセンターはおそらく公的医療機関であり、医療費のいくばくかは社会が負担しているものの、利用者であるトレーナーも一部の代金を支払わなければならない(日本の国民皆保険制度と同じだ)。
ただし、トレーナーズスクールに通う学生や、ポケモン博士(たぶんちゃんとした学位だよな?)によってポケモンを授けられた若年層、つまりポケモンと共に旅をしながら社会について学習するという目的を持つ若者については、「教育」の見地から全額を社会が負担している。


読者のみなさんは、もしも今度、ダンデさんがポケモンセンターで代金を払っている姿を目撃したら、コメント欄で教えてください。
(あれ、さすがにチャンピオンにもなったら、個人の医療チームすら持ってるんじゃないか?)

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