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Day1-2. Design Research /CIID Winter School, Service Design

CIID Winter School Tokyo 2020 に参加してきました。この記事では、私の受講したService Designワークショップの初日〜2日めのレポートを書きます。自分の理解をダンプする目的で書くので、粗々な文章になります。図説などはあとで差し替えるかもしれません。なお、CIID Winter Schoolに参加した目的や背景はこちらの記事をご覧ください。

Design Research: ユーザを「実際に見る」ことの大切さ

デザイン思考やサービスデザインの概要をインプットしたところで、Researchの授業に入っていきます。これは既出のサービスデザインワークフローの、最初の発散フェーズに当たる部分です。ターゲットやテーマから、取り組むべき課題のタネを見つけていきます。

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冒頭で、リウマチ患者向けの薬がユーザにリピート購入されないことに悩んだ製薬会社のリサーチ事例が紹介されました:ユーザは「薬はすごく簡単に使えてる」と言うのになぜ再購買してくれないのか、自宅で様子を見せてもらったところ、「すごく簡単」と言いながら、薬のボトルをキッチンのミートカッターで開けて見せてくれた。そこで初めて製薬会社の人は、自分たちの商品の容器が、リウマチの人には自力で開栓できない固さだったと気づいた、というもの。

ここからわかるのは、Researchではユーザの言葉だけを聞くのではなく、実際にその人がやっていることを見るのが大切だ、ということ。サービス提供者は「ターゲットにはこれが必要だろう」と勝手に考えるより、ユーザの実際を見に行くべき。そしてResearchは以下のメリットをもたらしてくれる。

・自分の意思決定に自信が持てる
・やりたいことや目的を周囲に共有しやすくなる

設計: 誰に、どんなことを、どう聞く?

ここから調査のやり方について教えてもらう。

Researchプロセスは何度も繰り返される必要がある。そしてその内容:誰に何を聞くのかは、提供しようとするサービスがどんなものかによって違うので、自分たちで考えてアレンジする。

ターゲットユーザへのインタビューは、(年代などではなく)行動でユーザをクラスタに分け、1クラスタにつき5〜6人に話を聞けると良い。ちなみにこのクラスタは、4〜5つでユーザを大分類できるくらいがちょうど良い。これより多い時は細かく分けすぎ。あと、Focus Group Interviewは、CIIDでは推奨していない。

また、Researchの対象者に、サービスに関わるすべてのタイプの人を網羅できるのがベスト。例えば患者のためのサービスなら、本人以外にも、家族、医者、看護師、保険会社の人など、ユーザの周囲にいて、サービス提供上何らかの影響力を持つ人物にも話を聞くべき。

実践へ: Design Researchはサイエンスではなくアートだ!

ここから、もう少し具体的なインタビューの手法を教えてもらう。

ここでとても印象的だったのは、Simonの「インタビューは、サイエンスかアートかで言えば、アート寄り」という言葉。サイエンスのように方法論さえわかれば解けるというものでなく、アートのように何度も練習してうまくなるもの。また、Design Reserachはエビデンスではなくインスピレーションを得るためのもの。インタビューやアンケート結果を使って多数決のような考え方をするのはダメ。

Rules for Design Research
■Think about everything you see
・当たり前こそ注目して考える(何で全員黒いパンツ履いてる?とか)
・観察から始める
・「何で他のものじゃなくてこれなんだろう?」
・行動全体を見る
■Start by Listening
 ・Active Listnerになる(どういう意味だろう?次は何聞こう...と考えながら、ユーザが言いたいこと全部言うまで待つ)
・相手のBody Signを全体でとらえる(お金の話になったら緊張した)
■Funnel a Conversation
・話題はgeneralからemotionalへ、broadからspecificへ
・調査目的は1回で2-3つにする
■Never Lead the Conversation!
・すべてopen questionにする(Y/Nで聞いちゃったら回答理由を聞き直す)
・ナイーブで聞きづらい&聞かなくても回答わかってると思い込んでる質問こそ、エゴを忘れてちゃんと聞く
■Additional Phrases
・そうなんですね、もうちょっと詳しく聞かせてくれますか?
・それはどういう意味ですか?
・1番最近/最高/最悪だった○○の時のことを教えてください
・それは、例えばどんなことですか?

テーマ発表&最初のResearchへ

Researchの実践イメージが湧いてきたところで、グループワークのテーマが発表されました。このテーマで、金曜までにソリューションを作ってプレゼンテーションすることになります。

Theme
Design a Service That Improves the Health and Well-Being of the Elderly People in Tokyo.

ということで、これから外に出て最低6人にインタビューして課題のタネ見つけて来て!という流れになりました。ここで面白かったのは、4人1組だった作業グループを2人ずつの2チームに分け、別々のサブトピックを選ばされたこと。路上インタビューはファシリ1名メモ役1名の2人で十分ということと、課題を見つける段階でトピックを絞りすぎないことで、ターゲットの問題を多面的にとらえようとする狙いがあるようです。

Relationships, Mental Health, Physical Health, Mobility, Food & Nutrition の5つの中から、私たちはMobility、もう1つのチームはFood & Nutritionについてインタビューしてくることにしました。そこから各チームで簡単なDiscussion Guideを作り、どこで張ればターゲットに会えるかアタリをつけてから外に出ます。

Discussion Guide
・3 questions most curious about(feel interesting & not specific)
・focus on behaviors & motivations

私たちMobilityチームは、以下のDiscussion Guideを持って、新橋駅前の新橋ビルに張ることにしました。

Q1. 1番よく使う移動手段は何ですか?
Q2. 好きな移動手段 or 嫌いな移動手段は何ですか?
Q3. いま行ってみたいところはどこですか?

Q3は「行きたいのに行ってない理由を掘るといい情報が出てきそう!」と講師に褒められました😊が、路上インタビューは話をしてくれる人をつかまえるのに苦戦して、ミッションクリアに2時間近くかかってしまいました...

Synthesis: インタビューで得たことを合成する

フィールドワークで6人分の断片的なインタビューができたところで、部屋に戻ってインタビューで得たことをチームでDownloadしてすり合わせる工程に入ります。ここでは3色のポストイットを使って、ユーザ1人ずつについてチームで話し合います。

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まず、トピックに対して印象的だった発言を、1つのポストイットに1センテンスずつ洗い出します。そこからポストイットの色を変えて、その時のユーザの様子や場の雰囲気を書き出します。最後に3色めを使って、言動と雰囲気のカードを見ながら、ユーザがそのような言動に至った背景の推論をします。

それが終わったら、同じグループのもう1つのチームと、インタビュー結果の共有をするのですが、この3種の観点に沿って説明すると、直接見ていないインタビューでも要旨が伝わりやすくて驚きました。

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Ecosystem Mapping: 関係者を洗い出す

グループで計12名分のインタビュー結果をインプットできたところで、ターゲットの周辺人物を洗い出すEcosystem Mappingをしました。

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私たちが描いたマッピングはこれ。ここに登場するのは、このあと考えるサービスの関係者になる可能性が高い人たちです。結構多くてびっくり。サービスデザインを進める上では、ターゲット以外にこの人々にも話を聞きに行く必要があります。

Design Research part2: In-depth Interview

ターゲットの課題のタネや、サービスに関わりそうな登場人物たちが見えてきたところで、課題の解像度を上げるためのさらなる調査をします。ここで採られるのは、インタビュイー1人につき1〜1.5時間かけてみっちり話を聞く、いわゆるIn-depth Interviewの手法です。

路上インタビューと違ってじっくり話を聞ける分、ファシリの技量や、話を引き出すためにアプローチやテクニックをうまく組み合わせられるかによって、アウトプットに大きく差が出やすいポイントだそう。

ということで、様々なインタビュー手法の紹介をざっと受けました。

■In-depth Interview
1〜1.5時間かけてみっちり話を聞く。家に行ったり、家から何か関連するものを持ってきてもらうと良い。
■Contextual Inquiry
インタビューを、その人やトピックに関係のある場所で行う。職場や、サービスを実際に使う場所など。話を聞くより、普段の行動を実演してもらって見ることが有効。
■Shadowing
Contextual Inquiryのロングバージョン。例えば、スーパーでの買物をついて回らせてもらうなど。
■Empathy Building
ターゲットの視点になって状況を観察する。例えば患者の気持ちになるために、患者に視点カメラをつけてもらって、状況を疑似体験するなど。
■Fly-on-the-Wall Observation
いわゆる人間観察。図書館で本を見つけられない人の様子を観察するなど。
■Intercept Interviews
直前に問題が起こった人に詳しく話を聞きに行く。Fly-on-the-wall Observationとセットで行うと良い。
■Expert Interviews
いわゆる専門家インタビュー。専門家だけに話聞いて終わりにするのだけはやっちゃダメ。
■Card Sorting ★オススメ!
トピックに関連する要素をいくつかカードにして用意して、好きな順に並べたり、嫌なものを避けたりしてもらってから話を聞く。インタビュイーの興味にアタリがつくので、時間をかけるべきトピックが見えやすくなる。
■Diaries
長期的調査に向いている。例えば高齢者に毎日の行動と気持ちを記録してもらうなど。「毎日バスに乗る」と話していたが実は水曜だけ電車に乗っている、など、突っ込んで話を聞くべきポイントが見えやすくなる。
■Roleplaying
シナリオを用意して役を演じてもらう。例えば偽のお金を用意して買物の演技をしてもらい、価値観や意思決定プロセスをあぶり出すなど。

これらのアプローチを、引き出したい情報やインタビュイーの性質に合わせて、複数組み合わせて使えるようになりましょうね、とのこと。特にCard Sortingは講師2人とも激推しで、この後のインタビューでも絶対やるように、と指示が出るほどでした。

さて、初日に「自分のコネクションからインタビューの約束取り付けておいて」と言われていたので、この日は知り合い2人にインタビューのお願いをしてありました。ここまで教えてもらったことと、前日の路上インタビューの様子を踏まえてDiscussion Guideを見直し、再び2チームに別れて30分×2回のインタビューを行いました。

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In-depth Interviewは普段の仕事でもやることが多いので、実践レポートは割愛します。Card Sortingの手法は、どのトピックでどんなカードを用意するかを決めるのが難しかったけど、チームの予想と全然違うところにインタビュイーの関心があったりして、発見は得られやすくなりそうでした。また、2人のうち1人は電話インタビューにしたのですが、Observationのカードが全然出せなくて、遠隔インタビューの難しさを痛感しました。

Syntesis 2

戻ってからは路上インタビューの時と同じ手法でSyntesisをして、1回目の「発散」フェーズは終了です。このあとは取り組む課題を見つけるための「収束」に入っていくので、続きは次の記事に書きます。

Quick Review for Day2

印象深かったこと
・「今は発散フェーズ」と自覚していると、ResearchやSyntesisでクソ小さい気づきもどんどん出さなきゃ!という精神になって良かった
・同じテーマの調査なのに、最初にサブトピックをチームで分けたのは、確かに問題が立体的に見えて良かった
Ecosystem Mappingは初めて作った、これが後々サービスにどう活きるのか見るのが楽しみ
疑問に思ったこと
・こういう課題抽出から始める開発プロセス、新規の開発だとやりやすそうだけど、既存サービスや既存機能の場合はどう取り入れるんだろう?
・なんでCIIDはFocus Group Interviewに否定的なんだろう?

note初心者です。発信力を研鑽したくて書いています。