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開発区の紹介先は絶対か?

「開発区の言うことを聞かないと後からいじめられるかもしれない」。以前よく聞いた言葉であり、今でも時々聞きます。どういうことかというと、ルールで決まっていることであればいざ知らず、ルールで決まっていないことに関しても開発区の言うことを聞かないとあとから何かしらでいちゃもんを付けられかねないというものです。許認可権を持っているところには逆らえないというやつですね。ここでは開発区が紹介してくる企業という観点から書いてみました。

だいぶん以前ではありますが、消火器は指定企業から購入しなければならないというのを聞いたことがあります。消火器は要件を満たしていればいいと思うのですが、それを指定(あるいは指定ではないが指定と思わせる?)業者から購入しないと消防検査を通さないなんていうのがありました。消火器業者と役所がつるんでいたのだと思います。小さな話ではありますが、こういうのが続くと気分的にしんどいですよね。消火器の話はとても印象が強く、ほかにもあったと思うのですが、今でもこれが頭に残ってます。

以前と比べるとこういう話はあまり聞こえなくなってきている印象があります。おそらくそれは様々なモヤっとしたルールが透明化してきた、ルールにないものを押し付けることが許されない雰囲気になってきた、通達類なんかで出てきそうな言葉でいうと「規範化」されてきたということかと思います。また、反腐敗運動の流れかもしれないですが、よからぬことをして後から見つかった場合大変なことになるからやめておこうという自制心がきくようになってきているというのも理由として挙げられるでしょう。しかしながら、今でもこの「いうことを聞かないと後々いじめられかねない」という呪縛は残っているようで、おそらく中国ビジネス歴が長い人ほどそういう傾向にあるのではないかと思います。中にはそんな目に一度もあったことがないにもかかわらず、そのように思い込んでいるようなケースもあります。前任者からそういう話をたくさん聞かされたか、現地社員から「中国は人脈が大事だから」の文脈でそのように思うようになったか、といったことでこのように思うようになったのかもしれません。古い中国ノウハウ本、例えば谷絹子あたりの本を読みまくっているとその呪縛からよりいっそう離れられなくなるのでしょう。

開発区から紹介されたところを使わないといけない、実際のところはどうなのでしょう。もちろん場所にもよるでしょう。いわゆる沿岸部の先進地域であるとか、国家級開発区とか、そういうところではこのような話はなくなってきているのではないかと思います。いくつかの開発区の方に聞きました。開発区の人の回答なので、回答に公平性がないかもしれませんが、いずれも回答は「そんなことはない」というものでした。そのうちの一つからは「聞かれれば意見するかもしれないが、通常の状況において紹介することはない。」というものでした。とはいえ、開発区から紹介されるというのはいまでもなくはないでしょう。ただし、それもその企業が開発区と関係があるというよりは、その企業が開発区に対して営業をかけた結果であり、開発区の息がかかっている業者とまでは言えないと考えるのが妥当でしょう。

また、日中間の経済交流を支援している団体の方にもお伺いしたのですが、私と同じ印象で、「昔はそういう話をちょこちょこ聞いたが、最近はほとんど聞かない」というものでした。今でもあるかもしれないが、耳にすることはほとんどないということですね。

中国も広いので、ちょっと離れた開発区であれば「開発区の言うことを聞かないと後からいじめられるかもしれない」というのはまだあるのかもしれません。しかし、実のところは開発区はそのつもりがないのに企業側が勝手に構えてしまっているというケースが多いのではないでしょうか。仲良くする残したことはないですが、昔のイメージは忘れて、構えずにお付き合いすればいいと思いますよ。


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