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スターバックス中国市場で苦戦—ブランドの台頭と消費変化の影響

スターバックスが中国で苦戦しています。昨年11月にはこんな記事も出ています。

スターバックス 中国事業の株式譲渡を検討 CEOは「中国での競争は激しい」

スターバックス中国市場での苦戦の背景

この記事の中にありますが、スターバックスのCEOは、『中国の競争環境は「非常に激しいよう」で、マクロ環境も「厳しい」と指摘した』ということです。そういえば、個人的にも最近中国でスターバックスに言った記憶があまりありません。一番の理由としてはコーヒーショップの選択肢が増えたこと、それとやはりスターバックスはよそと比べて高い、個人的にはこの二つが理由でありますが、中国ではどのように見られているのか、今日はこれについて紹介していきたいと思います。

1.賃料と効果の要因

(1)賃料の上昇
都市中心部の商業施設の賃料は非常に高額であるのですが、スターバックスは高級コーヒーブランドとして商業施設の入口に位置し、広いスペースを占めていることが多いのですが、この状況について、賃料の貢献度と位置が一致しないという見方をされているようです。また、ブランドの付加価値が高いため、商業施設側が優遇政策(装補、改造など)といったサービスを提供していました。つまり、家賃が場所の割のは家賃が安いものの、それは商業施設への集客力を期待したうえでのものということだと思いますが、以前ほどの集客力がなくなったとみられているのでしょうか。
(2)投資と効果の不一致
スターバックスの賃料は固定賃料ではなく「営業歩合」を採用しています。そして商業施設側はスターバックスの来店客が商業施設として満足するに足る売上と賃料を生み出していないと考えているようです。
(3)坪効率の低下
特に一線都市や二線都市の商業施設では、別のコーヒーショップに取って代わられ、坪効率が新興茶飲料や特色レストラン店よりも低くなってきているようです。

2.市場競争の要因

3.消費者の需要変化


(1)嗜好の多様化

若い世代の消費者は選択が多様化しており、トラディショナルなコーヒー以外にも、個性的で創造的な地元のコーヒーブランドや特色のある飲料を好む傾向があります。例えば、瑞幸のコラボレーションコーヒー(マオタイ酒とのコラボが思い出されます)や、「黒糖タピオカミルクティー」、「ストロベリーラテ」などの以前あまり見られなかった味の飲料が若い消費者に人気となってきています。

(2)消費習慣の変化

消費者がデリバリーやテイクアウトサービスを好むようになってきています。スターバックスはビジネスマンややホワイトカラー層の店内消費シーンにはマッチしますし、そこが優位性でもあるのですが、デリバリーやテイクアウトはスターバックスの売りである「空間の提供」を行わないビジネスモデルであり、対抗するのは難易度が高いといえるしょう。

(3)消費のダウングレード

景気の低迷により、人々はより理性的な消費といえば聞こえはいいのですが、ケチ決するようになってきています。それもあって、消費者はコストパフォーマンスの高い代替品を探す傾向が強まり、数多くあるコーヒーブランドにとってかわられてしまっているというのが現状でしょう。

4.商業施設の位置づけとレイアウトの調整

(1)業態の多様化ニーズ
消費者の需要も変化しており、商業施設は業態のアップグレードと転換を急いでおり、より多機能でインタラクティブなショッピング体験環境を重視しています。多様な消費シーンを提供できるブランドを導入したいと考えており、従来のように単にコーヒーを提供するスターバックスに物足りなさを感じるようになってきているようです。
(2)若い客層の引き寄せニーズ
一部の商業施設は若い消費者を引き寄せるために業態を調整し、若者の嗜好に合った「新興ブランド」を導入しています。スターバックスの客層は比較的固定されており、ターゲット層も単一で、若い消費者を引き寄せにくく、市場競争力が相対的に弱くなっているとみられています。
(3)差別化経営のニーズ
業界競争が激化し、同質化した商業施設が増えており、商業施設としての生存能力が求められるようになってきています。そんな中で一部の商業施設はアニメ、スポーツ、親子、遊園地といったテーマでテナントを調整しており、スターバックスというブランドが以前ほどの魅力や輝きを失ってきているようです。

競争か、戦略転換か?スターバックの未来

中国でのスターバックス凋落の要因として1から4まで挙げましたが、冒頭に私が書いたように

  • コーヒーショップの選択肢が増えた

  • 現在の景気動向の下ではスターバックスはよそと比べて高い

この二つに集約されるのではないあと思います。スターバックスでアメリカン(中杯)を注文すると27元。ラッキンコーヒーだと約10元。価格差が大きいとはいえ、景気がよかったころであればスターバックスの空間を味わうためにこの価格差を受け入れていたのが、ここ最近の節約志向の中では難しくなってきているようです。はたしてスターバックス中国事業の株式譲渡は実際に行われるのでしょうか。景気さえよくなればこのような話は立ち消えになると思うのですが、今年はどんな一年になるでしょうか。

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