農家さんもアーティスト・壬生農園さん【AIR日高村10日目】
こんにちは。フリーキュレーターの牛込麻依です。
2023年10月に参加しているAIR日高村の活動レポートをお届けしています。
instagram活用法伝授@霧山茶園さん
霧山茶園さんでの活動も最終日。これまで撮り溜めたinstagramのリール動画、写真を共有し、「SNS運用企画」ということで企画書をお渡ししてきました。
共有の場には娘さんもお越しいただき、実際に携帯で画面を見ながらレクチャーさせていただきました。「こんな使い方あったんだ!」という点も。instagramを見る専門にしているとなかなか知らないことってありますよね。
今後もぜひ活用していただけると嬉しいと思っています。合間のシール貼りもとても楽しいものでした。
お土産もたくさん購入させていただき、お裾分けもいただいてホクホク。本当にお世話になりました。ありがとうございました!
生姜農家の壬生農園さん
夕方には車を走らせて30分ほど、村の境界線近くにある壬生農園(みぶのうえん)さんにお邪魔してインタビューさせていただきました。精力的に活動されている生姜農家さんです。
高知県は日照時間が長く、降水量も多い。朝晩の寒暖差もあることから、生姜の栽培に適した土地です。同じ条件で、ピーマン、ナスも盛んだそう。
壬生農園さんは今年、会社にして5期目。毎年4月ごろに植え付けした生姜を11月ごろから収穫、収穫した生姜を加工して販売されています。
壬生農園さんは第一回のAIR日高村から受け入れされており、今年で3年目。これまで5人のアーティストさんを受け入れされてきました。
ーなぜ、AIR日高村の受け入れ事業者になろうと思ったんですか?
壬生さん
生姜農家は植え付けの4月と、収穫の11月だけ、スポットで人手がたくさん必要になります。繁忙期にどうにか手伝ってもらえる人がいないか、ということを役所に相談したときに、ちょうどAIR日高村の企画があって、うまく組み合わせたらいいのではないかと提案してもらいました。アート×生姜、という形にしようと。
ー人手が必要、とは言っても、アーティストは農業に関しては素人。素人がいきなり来ても役に立てるものなんでしょうか?
壬生さん
全然大丈夫です。収穫は80代の方まで一緒に作業できているくらいなので、誰でも力になってもらえます。体力や力に自信のない方は工場の作業をメインに手伝ってもらうこともできるので、とにかく一人でも多く人が来てくれるのが助かっています。
これまで来てくれたアーティストさんたちは皆さん器用で、要望にすぐ応えてくれたので即戦力としてとてもありがたかったです。
ガッツリ仕事の関係ではなく、「お手伝い」という名目で来てもらっているのでお互い気を使いすぎずに過ごせたのも良かったと思っていますね。
ー80代の方も一緒に作業されていたとお聞きしましたが、アーティストさんたちは、みなさんと馴染めていましたか?
壬生さん
無理なくコミュニケーション取れていたようです。生姜の収穫は全員で一緒の場所で一緒に作業するので、嫌でも話しかけないといけません。1日中一緒にいると自然と言葉が出てきていました。
また、農作業で手を動かしているからこそ、話しかけやすかったり、交流しやすかったみたいです。
ー農業が媒介してコミュニケーションを促進していたのかもしれないですね。農家の皆さん、明るい性格の方が多い気がします。
壬生さん
農業をしていると、繁忙期に初めましての人に手伝ってもらうことが多いので、コニュニケーション能力が鍛えられます。人と触れ合う機会が多いですね。農業をしている人は元々明るい性格の人が多いのかもしれません。
ー去年参加された浅沼さん、奥澤さんは能津小学校で練習を公開していたと聞きました。
壬生さん
そうですね。授業の一部を使ってのトークショーや公演もやってくださったので見に行きました。学校からのイベント告知のお知らせがあったので、地元の方もたくさん見に行かれていたようです。
ーAIR日高村の今後に期待することはありますか?
壬生さん
高知はやはり車がないとどこにもいけないので、車を持っている方に来ていただくか、事務局の方でレンタカーを用意して車を使えるようにしてもらえたらいいと思います。
ーAIR日高村、今後もアーティストを受け入れしたいと思いますか?
壬生さん
ぜひお願いしたいです。アーティストさんにとってプラスになることがあるかどうかわかりませんが、こちらとしては単純に人手が増えるのがすごく助かっています。
来てくれたアーティストさんには、「来て良かったな」と思ってほしいですし、帰った後にどこか別のところで日高村について発信してくれていたら嬉しいですね。
初めましての人を受け入れすることにとても好意的な壬生農園さん。壬生さんはとても明るく、笑顔が素敵で話しやすい雰囲気を作ってくださる方です。これまで参加したアーティストたちも話しやすかったことでしょう。
最後には、「農業=アート」「農家=アーティスト」ではないか、という話で盛り上がりました。生姜の栽培は難しく、毎年天候やその他状況に応じて栽培を変えているそう。ベテランの方でも難しいと感じるらしく、まさに、「全く同じものは作れない」。でも、「どうにかいいものを作りたい」という思いで、0から1を作り出している。
これって、全くアーティストがやっていることと同じですよね。
農業とアートの相性がいい、という話はちらほら聞きますが、その所以はここにあるのではないかと思いました。農業だってアートなのだから。
AIR日高村のプログラムは実はとても先進的で、この「農業=アート」を地方活性に結びつけた素晴らしい事業なのではないでしょうか。
全国各地で行われているアーティスト・イン・レジデンスは、地域住民と交流するにしても、元々アートに興味を持っている人ばかりになる可能性が高いと思います。
それを、AIR日高村は、農業を媒介させることで、全くお互い触れ合うことのなかった人々が交流し、共に汗を流し、仲良くなる。アーティストは、自分の制作活動とは別の形のアート(農業)を、非日常の空間の中で取り組める。
それがAIR日高村の優れた点であり、このプログラムの本質なのではないでしょうか。
壬生さんとのお話の中で、たくさんのことに気付かされ、学びを得ました。本当にありがとうございました。
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