こんにちは。フリーキュレーターの牛込麻依です。
2023年10月に参加しているAIR日高村の活動レポートをお届けしています。
2022年のAIR日高村
今回はAIR日高村2年目となる2022年参加アーティストのまとめ第二弾ということで、浅沼圭さん、奥澤秀人さんのお二人を紹介したいと思います。お二人はユニットとして2022年11月に滞在されました。
2022年度参加アーティスト・浅沼圭さん・奥澤秀人さん
2022年度のプログラムで3組目となるアーティストは、ダンサー・振付家の浅沼圭さんと、元シルク・ド・ソレイユのパフォーマー奥澤秀人さん。浅沼さんが最初にプログラムに申し込み、後から奥澤さんを誘う形で、2名での参加となりました。
浅沼さんたちの受け入れ事業者となったのは、生姜を育てる壬生農園さん。11月はちょうど生姜の収穫時期で繁忙期。壬生農園としてはとにかく人手が必要な時期なので、アーティストが来て手伝ったことで助かったそうです。特に、体を資本とするダンサーさんだったので、相性は良かったことでしょう。
滞在中は、1日中農作業をして2時間ほど練習をする日と、半日作業で午後練習する日があったようです。能津小学校の体育館を利用して、ダンスやサーカスの練習などで体を動かし、その様子を公開されていたそう。
近所の方をはじめ、先生方、子供達が覗きに来て、一緒に踊ったり、体を動かしたりと、直接的なコミュニケーションを取られていました。
AIR日高村のプログラムは成果発表の義務がありません。その中でも、自分達の技術を使って地域の方と繋がる活動をされていたのが印象的です。色々な方にお話を聞く中でもお二人の名前が出てくることが多かったです。
滞在中には地域の神社でお祭りがあって、そこのステージに飛び入り参加してパフォーマンスされた、というエピソードも。地元のお婆さんが、「ダンスとかはよくわからないが、世界を相手にしてきたプロで、すごいことはわかる」とおっしゃっていたそうです。
日高村はとても暮らしやすいところ。でも、自分から積極的に動かないと、芸術に触れられる機会はほとんどありません。
そんな中、日常に(小学校の体育館に)プロのダンサー、パフォーマーが来てくれて、一緒に体を動かしてくれる、というのは村の人々にとって途轍もない、貴重な経験だったことでしょう。
浅沼さんがインタビューの中で以下のように話しています。
同様に、奥澤さんも。
AIR日高村のプログラムが村に及ぼす影響の一つは、「子どもに広い世界を見せて、選択肢を広げること」なのかもしれません。もちろん大人もですが、より影響を受けやすいのは、きっと子供世代。
普段の生活で出会うことのできないアーティストという人類に日常の中で出会い、交流し、その出会いがきっかけで、新たな世界が広がる。選択肢の広がりを知る。
単純に農家さんにとっての労働力として人が必要なのであれば、アーティストである必要はない。ここに、アーティストを地方に呼ぶことの理由が詰まっている気がします。
大野くわ製造所見学
本日午前中は、日高村の村の駅からほど近くにある大野くわ製造所に見学に行ってきました。村唯一の鍛冶屋としてくわの製造・修理などを中心に鍛冶仕事をされていらっしゃいます。