農業を通じて地域に貢献していきたい・日高みよし農園さん【AIR日高村11日目】
こんにちは。フリーキュレーターの牛込麻依です。
2023年10月に参加しているAIR日高村の活動レポートをお届けしています。
日高みよし農園さん
高知県日高村は、「とまと村」としてトマトを全面に出したブランディングをしているほど、トマトの栽培が盛んです。
JAの近くには、巨大なビニールハウスが連なるエリアが。
ここで、たくさんの方がフルーツトマトの栽培に従事されています。
本日は、AIR日高村で初年度からアーティストの受け入れをしている、トマト農家の日高みよし農園さんにお話をお伺いしました。
三好さんは2018年に神奈川県から高知県日高村に移住し、地域おこし協力隊として3年間活動された後に新規就農されました。元々市場の仲卸の営業職だったところ、生産現場に興味をもち、色々な条件の中から高知を選んで移住されたそう。
協力隊の期間中に農業の研修機関で修行した後、たまたま離農される方のハウスを継ぐことができ、現在はたくさんのパートさんと共にフルーツトマトの栽培をおこなっています。
ーAIR日高村のプログラム初年度からアーティストの受け入れをされていらっしゃいます。なぜ受け入れをしようと思ったんですか?
三好さん
初年度は独立開業した最初の年だったので、単純に繁忙期に人手が欲しかったんです。トマトを植える作業は8月で、6月までに収穫して終わる、というサイクルで栽培をしているのですが、繁忙期は毎年忙しく、閑散期は人手が余ってしまうので、スポットで助っ人が来てくれるのは単純にありがたいことでした。
ーアーティストは農業に関しては素人だと思いますが、お役に立てるものですか?
三好さん
僕自身も最初は素人だったので(笑)作業してもらうのも2週間とかですし、それはそこまで気になりませんでした。最初の1週間はずっとついて教えながらになるので負担にはなりますが、労働力としてはやはり助かりました。
ー他のパートさんと比べて、アーティストならではの特徴はありましたか?
三好さん
これまで来てくれたアーティストさんは二人とも絵描きの方だったのですが、二人とも手先が器用で、観察力に長けている方だなと思いました。
トマトの作業は、見本を見せて、「こんな感じにしてください」とお伝えするのですが、一般の方よりも見る能力、真似する能力に長けているらしく、近い状態にしてくれるのが助かりました。こなし力が高かったですね。ちゃんと伝わっているなと思いました。
生姜農家さんでの収穫作業だと、とにかく体を動かす、みたいな特徴があると思うのですが、トマトはセンスと技術が必要です。その点、観察力に長けていて、手先が器用な絵描きの方はトマトと相性が良かったと思います。
ーアーティストさんはパートさんたちと一緒に作業することが多かったようですが、交流はうまくいっていましたか?
三好さん
パートさんたちとは話が盛り上がっていましたね。なかなか外の人と触れ合う機会がないので刺激的ですし、2週間という期間も長すぎず短すぎずちょうど良くて、みなさんアーティストさんにたくさん話しかけていました。
ー外部の人を受け入れするのは最初抵抗があることだと思います。その点はどうお考えですか?
三好さん
自分自身は外部の人を受け入れするのは抵抗ありませんが、他の農家さんはまだまだあるようです。日高村は穏やかで、正直、外部の文化が違う人を受け入れるのはいらない刺激ではあるんですよね。
AIR日高村も3年目になって、参加されるアーティストが増えていますが、受け入れ側が少ないのが現状です。当初は日高村に滞在しつつ他の町の事業者に受け入れしてもらう話も出て、情けないと思いました。なかなかない機会なので勿体無いと思います。
AIR日高村の受け入れは、農業を通して地域に還元できることで、村への投資の一つだと思っています。自分はその気持ちが強いので、これからもAIR日高村の受け入れを続けて行きたいですね。
ーAIR日高村を受け入れして良かったことはなんですか?
三好さん
労働力として助かったのはもちろんですが、ワークショップや体験会などで自分の子供が、本物の芸術に触れられたのがすごく良かったと思っています。
昨年来てくれた浅沼さんと奥澤さんは能津小学校での練習を公開してくれていたので、自分も子供を連れて見に行ったのですが、そこで世界で活躍するアーティストと一緒に子供が踊っている光景を見て、「なんていい経験をしているんだ!」と感動しました。
都会に住んでいたとしても、田舎に住んでいたとしても、芸術に触れるのは、時間やお金の余裕がないとできない贅沢なことだと思います。それをAIR日高村のプログラムで気軽に芸術が触れられるのはとてもありがたいことだし、地域に還元されていることだと思います。
今後参加されるアーティストさんたちも、ワークショップなり何かしらの形で子供に還元できるような、地域の方々が芸術に気軽に触れられるような何かをやってほしいですね。
小さなお子さんを育てているからこその思い、考えを聞かせていただきました。子供に芸術に触れてほしいと思いつつも、なかなか機会がないと難しい方がほとんどだと思います。
AIR日高村のプログラムは成果発表の義務がありませんが、何名かはワークショップや公演会、地元の祭りへの参加など、目に見える形の発表をされています。
農業をアートと捉えた従事するだけではなく、やはり目に見える形で何かしらを残せると、より地域に還元される、地域のためになることは確かでしょう。
農家さんへのインタビューはこれで最後。色々な立場から参考になるご意見を頂戴でき、とても勉強になりました。
屋形船仁淀川を体験
インタビューの後は、日高村のおすすめ観光スポットとして何度も紹介された屋形船を体験しに行きました。インバウンドのお客様も多い人気コンテンツです。
大満足の光景をたっぷり堪能できました!50分、リラックスタイムをのんびり過ごせました。終始美しくてため息がこぼれます。高知に訪れた際はぜひ利用して見て下さい。おすすめです!