SaaS企業の事業計画と重視するメトリクスについて考察してみた
どうも、Asobicaのすとうです。X⇒(gomashioJr)
約1ヶ月半振りのnoteとなります。
最近健康診断に行きまして、年齢的にもしっかりめに検査したいと思い人間ドックを初めて受けてみたんですね。結果は大きな指摘はなかったんですが、「君の肺、過去に肺炎かかって治った痕跡があるからちゃんと気遣っておきなさい。」という所見コメントがあり、知らない間に軽い肺炎になってた可能性があるとのことでちょっと衝撃を受けました。ただそれ以外は胃にポリープが数個あったり、コレステロール高めだったりで極めて正当な中年でした。なお、胃ポリープは「極めて良質なポリープ」と、ボジョレーヌーボーみたいなコメントいただたいたのは印象的でした。
さて、本日のメニューはこちらです。
今回のnote記事を書こうと思った背景
本日は、SaaS企業の事業計画策定方法について、SaaSで重視されるメトリクスとの関係性を踏まえて、上場審査観点も織り交ぜながら自分なりの考えを記載したいと思います。
事業計画に関する概念やTipsの記事は結構多くあると思いますが、当該内容に私は概ね賛成しており、内容も一部重複するところがあるかもしれません。
今回の記事は、いろんな企業の事業計画を見てきた中で、自分で作成する立場になっての学びを備忘録的にアウトプットすることが目的であり、特定の企業(弊社含む)の事業計画策定に関する内容ではないので、その点だけご留意ください。
読んでもらいたい方々
なんとなく、以下の方々に少しでも参考になればよいなと考えています。
事業計画の策定方針と作成フロー
事業計画の役割
私にとっての事業計画は、会社のミッション、ビジョン、数年後のあるべき姿を達成するための戦略を定量数値に落とし込んだものと考えています。
そのため、事業計画には社内・社外におけるコミュニケーションツールとなる役割があります。事業計画を達成するために、各部署が戦術を考え実行していくし、経営レベルで戦略が変わるのであれば事業計画も変更がなされ、また各部署が達成に向けてアクションをとっていく。。というコミュニケーションがとられていきます。
ここで最も重要なのは、解像度の高い戦略をしっかりと作り込み、それを丁寧に数値に落とし込むことです。
テキストで書くと1行で済むし、当たり前っちゃ当たり前のことなんですが、ここを徹底的に思考して、不確実性を踏まえて議論をやりきっているかどうかが会社の成長を左右すると思います。
とはいえ、一朝一夕で解像度の高い事業計画が策定することはかなり難易度が高いので、トライアンドエラーの繰り返しで地道な作業になることがほとんどなので、思考力と忍耐力で向き合うことが重要です。
このあたりの事業計画解像度上げは場数を踏んで定量と定性の感覚が研ぎ澄まされて、経営目線の視座があがっていく気がします。
事業計画の策定方針
事業計画の策定方針ですが、上場審査における一般論として、トップダウンとボトムアップの折衷方式が望ましいとされています。
現場がボトムアップで積み上げてきた数値を、経営陣がレビューしてトップダウンでテコ入れする。。というフローを何度か繰り返し、経営と現場で齟齬がない事業計画を策定する、といった流れです。
トップダウンだと、現場から乖離した数値が設定されてしまう可能性がありますし、ボトムアップだと容易に達成しやすい数値となってしまう可能性があるので、これらのデメリットを両者の議論で解消する方法です。
一般的な方法で、それなりにワークしている印象はありますが、策定方針はあくまで手段なので、本質は「解像度の高い戦略をしっかりと作り込み、それを丁寧に数値に落とし込むこと」なので、それが達成すれば、トップダウンでも、ボトムアップでもどちらでもよいのかなと思っています。(ボトムアップのみの策定方針はさすがにみたことありませんが。。)
具体の作成フロー
ここでは実務よりの話を記載します。
事業計画の一般的な作成ルールは以下となります。
ちなみに、事業計画作成フローは上場審査において提出が必要な事項となっているため、フロー図と業務記述書を作成しておくと上場審査対応がスムーズです。
重視するメトリクス
上記で、一般的な事業計画策定について言及しましたので、こちらの編では、SaaS企業にフォーカスして、どのようなメトリクスに注目して事業計画を作成していくのがよいか、記載したいと思います。
SaaS企業における一般的なメトリクス
SaaS企業においては、さまざまなメトリクスがすでに一般化されています。
以下、念のため紹介します。(メトリクスの定義を記載すると冗長になりそうなので割愛します、ごめんなさい。)
(成長性等の各種分類は私の感覚で記載しています。)
経営企画観点では、PLのみならず、これらの指標の数値はすべて計画値を作成し、実績と比較できるようにしておいた方がよいです。
(事業が成長した後も、経営数値として振り返ることができるようにしておいて、将来の経営意思決定に役立てることが目的。)
ただ、すごい大変だけど。スプシの行とかシートがエラく増えて見づらくなるけど。場合によっては関数も複雑になるけど。
こうやって、属人化され、一子相伝の事業計画スプシができあがっていくのは経営企画あるあるだと思います。いわゆる、経企のサグラダファミリアです。これにマクロが入ると、作成者が退職した際、メンテできなくなり詰むところまでがワンセンテンス。やめよう、属人化。
重視するメトリクスはフェーズによって変わる
事業計画を策定する際、重視するメトリクス(いわゆるKPI)はフェーズ毎に変わるということはしっかり認識しておくべきです。
一番よく聞く指標は成長性指標のMRR(ARR)だと思います。CMRRは受注ベースの金額で、MRRはPLに売上に計上される金額という区分が一般的です。(なので、CMRRはMRRの先行指標。)
プロダクトをローンチしてPMFするまでのフェーズは、売上観点でもキャッシュ観点でもMRRをKPIにするべきです。
ある程度PMFがみえてきたら、成長性を維持しつつも、次は再現性のある価値提供の型をつくることが重要なフェーズとなり、Churn rateの指標が重要となってきます。
その次フェーズにおいては、アップセルやクロスセルがしっかりできているかどうかという観点で、NRRが重要となります。
そして一昔前と違って、大体このあたりのフェーズで一定の収益性、生産性を担保することが重要となるため、粗利率、Rule of 40%、1人あたりARRが重要となってきます。この観点で、人員計画、投資計画もしっかりとROIを見極めて計画に含めることがより重要です。
なお、投資効率性や安全性の観点で、Burn multipleとランウェイは常にウォッチする指標となります。たまにいい感じの事業計画作成できたと思ったら、ランウェイの後に新プロダクトローンチがあるというパラレルワールドが発生していることもあるので、このあたりも留意が必要です。
現在のSaaSのメトリクスは定量的に綺麗に整理されているので、各種メトリクスをしっかり及第点までクリアできると、自然とプロダクトも事業も組織もよい感じになる印象があります。とはいえ、全部のメトリクスの及第点とるのはかなり高いハードルがあるので、そのあたりの優先順位付けは経営陣の意思決定に委ねられます。
財務会計と管理会計の整合性
SaaS企業においては、財務会計のPLのみならず、SaaSメトリクスの管理会計PLをウォッチするケースも多いと思います。(COGS、S&M、R&D、G&Aの区分でPLを作成するイメージ。)
両者は、元データは同じ数値で、切り口を変えて管理している関係性となるので、両者の数値は売上や、営業利益ベースで一致している必要があります。両者の関係性が一致していないと、適切な経営意思決定ができないので、ここの数値はしっかり整合性をとることが重要です。
たまに、経営企画部が事業部から出てくる数値で売上を集計して、経理部が財務会計の数値を別途で作成して、両者が一致しない。。みたいなケースがありますが、早めに修正すべきだと思います、切実に。
この両者が一致しているということは、経理財務部(Accounting & Finance)と経営企画部(Financial Planning & Analysis)がしっかり足並みをそろえて両者のあるべき役割を発揮していることになり、強い組織といえます。
さいごに
今回は自分の備忘録的な位置づけでnoteを書いたので、若干乱文だったかもしれませんが、なにかしら参考になりましたら幸いです。
さいごに、会計士イベントでよく交流させていただいている会社が2社、立て続けに資金調達リリースがでたので、共有させていただきます。
スタートアップの仲間のポジティブなニュースが流れてくると自分も嬉しいし、刺激になりますね。
Asobicaもしっかり着実に目の前のコトに取り組んで、成長していきたいと思います。
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