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安定供給と中国「ワクチン外交」への対応「ワクチン安全保障」戦略を語る

NewMedia2021年5月号より、河野太郎行政改革担当大臣(当時。現在自民党広報部長こと自民党広報本部のBIGBOSS)巻頭インタビュー記事。をレビュー

ワクチンナショナリズムを警戒全世界での協力体制構築が課題

河野「しかし、先進国の中には人口の2倍、 3倍もの量を確保しようとしている動きがあります。 ワクチンナショナリズムにあまり走らないよ うにしなければいけません。

EUはワクチン確保のために先行投資をしま したが、思ったようにワクチンの供給が行われ ないということで、EU域内で製造されたワクチ ンを輸出する際には承認を取る透明化メカニ ズムが適用されたため、日本も現在苦労してい ます。 日本との関係により、日本への輸出は問 題ないとEUは言いながらも、 輸出全体の一括した承認を要請しても飛行機1便ずつの承認 を取ることが求められています。 今のところは EUの承認をもらって順次日本に輸出していま すが、 今後も継続的に承認を取れるかが不透 明だというのは、ワクチン接種を担当する大臣 として非常に困っているというのが正直なところです。

新型コロナのような感染症は、世界の中で どこか1カ所でも感染が収まらなければ、そこか ら人が移動して感染に再び火が付くということ があるわけですから、抑え込もうとするならば全 世界で協力し合わなければいけません。 今後 ワクチンナショナリズムに陥らないように、世界 で足並みを揃えていく方法を考えることが、国 際政治の中で非常に大きなイシューになって いると思います。」

ワクチンナショナリズムとは?

それは、資金や科学技術力のある少数の先進国がワクチンを独占し、大多数の途上国は、必要な時にワクチンを入手できないという問題です。今後、途上国を中心に、とてつもなく多くの犠牲者が出る恐れがあります。

河野氏が輸入交渉で大変苦労したという、EUの透明化プロセスとは?

欧州委は加盟27カ国を代表して製薬会社と交渉し、開発段階から資金供与して6種類のワクチン計約23億回分の購入枠を確保している。だが、契約通りに供給されない事態が起き、英アストラゼネカの「英国優先」の対応も明らかになった。不信感を募らせたEUは「我々のワクチンの動向を知りたい。供給を確保する契約を結んでいる以上、知る権利がある」(高官)と対策に乗り出した。
 ベルギーやドイツなどEU域内の工場から域外にワクチンを輸出する場合、関係国の政府に報告したうえで許可を得る仕組みを想定。各国政府や欧州委がEUとの契約に照らして問題がないかを点検できるようにする。問題があると判断すれば、輸出の差し止めもありえる。人道目的での輸出は対象外だという。


国内のワクチン開発・製造基盤が公衆衛生と安全保障に重要

河野「現在、政府が補助金を出して国内で新型コロナワクチン開発の複数のプロジェクトが走っていますが、日本は欧米と比べて新型コロナ対策がうまくいっているがゆえに発症者が少ないため、国内での治験に時間がかかりワクチンの開発が 進まないという事情もあります。

 新型コロナが大きく変異した時新たなワクチンが必要になるのかどうかいろいろな説が ありますが、新型コロナの変異は他のウイルス と比べてかなり早いことを考えると、また過去 の新型インフルエンザ、 SARS、 MERSの知見から、国内でなるべく早く新しいワクチンを開 発して供給できるようにすることは、 公衆衛生上だけでなく安全保障上からも非常に重要です。(中略)

東京大学や大阪大学などがいろい ろなところと組んでワクチンの開発を進めてい ます。発症者が多い海外で治験を行うことを 考えているグループもあるようです。日本も負け ずにがんばってほしいと思います。」

国産ワクチンの現状


日本で開発したワクチンをアジアに供給する体制が必要

河野「中国がマスク外交、 ワクチン外交をやっていますが、私はパンデミックの収束に必 要なワクチンについては、国際的な取り決め の中で供給していくのが正しいと思います。 ワ クチンを外交に使うというのは、いかがなもの かと思っています。 しかし、ワクチンが必要な国 にとっては、ワクチンを供給してくれるのは中国 しかないという状況になれば、中国のワクチン 外交に応じざるを得ません。 そのためにも日本は自力でワクチンを研究開発して国内で製造し、国内だけでなくアジアの諸国が必要としているワクチンを供給できるという体制にしなければなりません。」

中国のマスク外交とは?

中国は、新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむ各国に、マスクや防護服などの医療物資を提供する活動を展開している。これは、「マスク外交」と呼ばれている。支援活動自体は評価されるべきだが、この「マスク外交」という言葉は、批判を込めて使われることも多い。それは、中国の支援活動が、純粋に人道的な観点からなされるものではなく、国際的な覇権拡大の手段と捉えられているためだ。

中国のワクチン外交とは?

インドネシアの報道

こうした中、国民をさらに不安に陥れるニュースが報じられている。治療にあたる医療関係者の感染死が相次いでいるというのだ。しかも、亡くなった医療関係者の多くは、「優先接種」で中国製ワクチンの接種を受けていたという。そのため中国製ワクチンに対する不信感が高まっているのだが、さらに最近、衝撃的なニュースが伝えられた。中国製ワクチンの臨床試験を担当していた責任者が新型コロナに感染し、死亡したのだという――。


変異株など多様な事態を想定し一日も早く必要な国民に接種する

河野「新型コロナワクチンははしかワクチンのように1回接種すれば一生有効なのか、インフ ルエンザワクチンのように毎年打たなければい けないものなのか、 効果がどれくらい続いていくのか、まだわからないことがあります。 また、現在のワクチンが今後も変異株に対応できるかどうかもわかりません。 この先を考えいろいろな ことを想定しながら、とにかく一日も早く必要な 人に接種ができるようにします。」

国内では現在、ブースターショットに向けて準備が始まっている。


日本は第6波に警戒

アメリカでは2022年にはエンデミックになるであろうと報道がされた。


国内では収束傾向になりつつある新型コロナであるが、私は正直。

ワクチンがいつ打てるか?打ったら副反応は?ワクチンにも薬害はあるしどうしたらいいのか?ワクチンを打つのは怖いが、コロナにも罹患したくないと考えたら、ずっとセルフロックダウン生活をするしかないのか?と思っていた。

未知の目に見えないウィルス、治療薬はない、いつ罹患するかもわからない。他人に感染させるかもわからない。それにばかり囚われていた。

新型コロナワクチンが外交、安全保障上重大な案件であったことは、このインタビューを読むまでは知ることがなかった。

大臣閣議後記者会見において、会見後質疑応答ではワクチンの供給ばかりに質問が集中していたように思う。外交や安全保障上の側面からの報道はもっとしてもらいたかったので、残念である。

河野氏自身も、ワクチン関連でテレビ出演を数多くこなしたが、その番組内でワクチンと安全保障に関して話をしている機会は多くなかった。

数少ない中でも、落合陽一氏との対談では「ワクチンと安全保障」「EUの透明化プロセス」について語っているシーンがあるので、興味を持たれた方はご覧いただきたい。

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河野氏はワクチン接種担当を降板したが、安心安全な日本国産ワクチンを製造し、国内、更には世界へサプライすることで、世界へ貢献し、中国の一方的な覇権拡大を牽制する役割を果たす道はまた半ばであり、課題として残っている。

我々も、自国さえ良ければいい。という考えにならないように気をつけたい。世界中で感染を止めなければ、パンデミックはまた起こる。


株式会社ニューメディア発行。

月刊ニューメディア2021年5月号ナンバー460。巻頭から3ページに渡りインタビュー記事が掲載されています。

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ごまめ報道部
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