【東方Vocal曲紹介 Track.6】サクラヴコミュニケイション
あと1秒、あと1ミリ。君とのスキマに溢れゆく恋心――
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基本情報
曲名
サクラヴコミュニケイション
サークル
MN-logic24
収録アルバム ※初出のみ記載
サクラヴコミュニケイション(2013年)
※リンク先にクロスフェードデモの動画が埋め込まれています。
原曲
幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life
出典:『妖々夢』6面ボステーマ
関連キャラ︰西行寺 幽々子 [さいぎょうじ ゆゆこ]
ネクロファンタジア
出典:『妖々夢』Phステージボステーマ
関連キャラ︰八雲 紫 [やくも ゆかり]
評価
オススメ度
★★★★★(並←→極)
尊い……
一般の方向けに聴いてもらうならこの曲がイチオシ!
前提知識
★★☆☆☆(少←→多)
東方を知っている人と知らない人で印象が変わる1曲。
人によっては知らずに聴いたほうがいいかも?
原曲度
★☆☆☆☆(弱←→強)
なんとなーくそれっぽいなと感じるところもある、ってくらいほんのり。
雰囲気
★☆☆☆☆(軽←→重)
春の夜、って感じの穏やかさ。
もし重さを感じるのなら、それはきっと愛じゃないかな。
解説
そろそろマジで省エネで書きたい……
選定理由
前回ご紹介した曲から「桜」繋がりです。投稿日は夏だって? この記事が誰かに見つかるころには時間経ってるからバレへんて
5本の指を構成する1本がこの曲。
好きな曲を結構上の方から紹介してしまっていますが、このあとは大丈夫なんでしょうかね?(他人事)
でも大事に取っておいたせいで紹介するタイミングを失ってしまうのも嫌だし……
己の継続力のなさにビビり続ける毎日である。解説短く済みそうだから選んだわけでは決してないですにょ?
情報伏せればメジャーで出しても通用するんじゃないかと空想してしまうくらいにステキな曲です。
歌詞もメロディも歌声も全部好きですが、どれか一つを推すなら歌詞を選びます。
詳しくは後述しますが、特に東方知らなくても、この歌詞には胸キュン(死語か?)必至です。
原曲について
原曲の2作は、どちらも『妖々夢』に登場する重要なキャラクターのテーマ曲です。
まずは後者から。
『ネクロファンタジア』は、Track3でも触れた八雲紫が、Phantasmステージ(※)のボスとして原作に初登場したときのテーマ曲です。
幻想郷全体のラスボスとも呼べる彼女の強大さをを満天の妖しさとともに描き出していて、『妖々夢』発売から20年以上経った今でも東方Project全体でトップクラスの人気を誇っています。
出だしから激しく脳髄を魅了するサウンドから、一転してスキマの中へ吸い込まれ、視界が開けたところでのサビで大妖怪が本性を顕わす――とか、そんなイメージをしながら聴いてます。
そしてやっぱりサビ前に顔を覗かせる一瞬のスキマが好き。
ドラムの主張もいいアクセントになっていてクセになります。
※【Topics!】Phantasm、それは幻想的な難易度――
原作のシューティングゲームのストーリーモードには、4段階の難易度が設定されていて、Easy, Normal, Hard, Lunaticの順に難しくなります。
東方に触れていない方にとって「Lumatic」はあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、「狂人」などと訳される言葉で、気が触れるほどの難易度であることを意味します。
ストーリーモードは基本6面構成で、与えられたボムと残機を減らしたり増やしたり減らしたり減らしたり減らしたりしながら(私怨)、ノンストップで各面のボスを倒していきます。
(大抵の面には中ボスがいて、専用キャラだったりボスがフライング登場したりします)
作品によりブレはあるものの、これを上記いずれかの難易度をクリアすると、ストーリーモードとは別枠で「Extra Stage」が開放されます。
ストーリーモードは異変解決がメインで、Extra Stageは、ストーリーモードでは語られなかった裏側の事情が解き明かされることが多いです。
ストーリーモードクリアが前提のため難易度高めではありますが、1面構成(中ボス、ボス)のため、比較的短い時間でクリアできます。
(リトライを含めると長くなることもしばしば)
……通常の原作であれば、Extra Stageを突破することでゲームクリアです。
しかし、数ある原作の中でただ1作だけ、Extra Stageを超えるモードが存在します――『妖々夢』Phantasm Stageです。
もちろん難易度はExtraより遥かに上で、中ボスはなんとExtra Stageの中ボス&ボスのコンビ。
これを打ち破ることで、幻想郷の原初かつ最奥、八雲紫とようやく邂逅することができます。
彼女がどれほど特別な存在であるかは、この扱いからもよくわかるのではないでしょうか。
※ちなみに、その後『天空璋』で紫と同じ「賢者」の一人であるキャラが登場しますが、彼女も6/Exボス兼任と、形は違えどやや特殊な扱いを受けています。
もう一つの原曲は『妖々夢』ラスボス(6面ボス)である西行寺幽々子のテーマ曲です。
彼女は元人間の亡霊さん(怖くないよ)ですが、見た目は麗しい和服令嬢で、桜に木々に囲まれた「白玉楼」という場所で暮らしています(※)。
そんな幽々子と桜の舞う美しさを幻想的に奏でた、前述の『ネクロファンタジア』に決して引けを取らない名曲となっています。
妖しさよりも雅を主軸に置いた展開で、イントロのピアノで惹き寄せられた心が、直後のサビで鷲掴みにされること請け合いです。
ゲーム中ではセルフアレンジである『ボーダーオブライフ』と組み合わせて使用されており、幽々子が最後のスペルカードを使用する際に曲が切り替わります。
ZUNさんはゲーム中の展開と連動することを意識して作曲していますが、同じボス戦中に(アレンジとはいえ)曲が切り替わるのは、プレイ中のアドレナリン噴出状態も相俟って一際の興奮を味わわせてくれます。プレイしてるとあんま聴いてる余裕ないけど
映像的な演出も素晴らしいので必見です。
※【Topics!】幽々子と紫と西行妖――
白玉楼の近くには、花を咲かせることがない大桜、「西行妖[さいぎょうあやかし]」が静かに佇んでいます。
西行妖もかつては普通の桜だったのですが、高名な歌人に詠まれるほどの美しさを誇っていました。
しかしあるときから、その美しさが人々を強く惹きつけてしまうようになり、そこで命を落とす者も現れます。
そうして有名な怪談「血吸い桜」さながらの妖力を持つに至った西行妖ですが、その最初のトリガーとなったのは、さきほどの「高名な歌人」――幽々子の父親が西行妖の下で亡くなったこと。
生前の幽々子は死霊を操る異能を持っていましたが、西行妖の変化に伴い「死を操る程度の能力」へと至ります。
幽々子自身はその能力を疎んでおり、しかしついには耐えきれず、西行妖を封印するためにその身を捧げることになりました。
幽々子が亡霊として蘇ったとき、生前の記憶は失われていました。
紫と出会い、西行妖とともに幻想郷から続く冥界に移ると、その持ち前の能力を活かして地獄と連携しつつ幽霊たちの管理をすることになります。
(実は、紫は生前の幽々子とも旧知であり、おそらくは紫が亡霊化した幽々子を幻想郷に招いたものと思われます)
2人は友人の間柄で、現在に至る千年もの間、共に幻想郷を見守ってきました。
ところが、幽々子が白玉楼内の書物から西行妖の下に眠る何者かの存在を知ったことがきっかけとなり、幻想郷中から春を集めて強制的に西行妖を咲かせることで、その人物を蘇らせようと画策します――原作『妖々夢』で描かれる春雪異変です。
結局霊夢たちの手によりその目論見を崩された幽々子は、西行妖がすごく満開になることを諦め、これまでと変わらず白玉楼でのんびり過ごしています。なお、紫はこの異変に寝坊した模様
感想︰曲調とボーカル
ボーカルはサークル主催者(というか個人サークル)のminekoさん。
明るい女の子をイメージさせる歌声が、幻想郷の「キレイとカワイイ」を表現するのにぴったりです。
(新海誠さんの映画の主人公に似合いそうな感じ)
実態はもうちょっと(ちょっと?)雑だったり殺伐としているのが幻想郷なのですが、アニメ好きで東方知らない方には、実は信者獲得入門編として最適なサークルさんじゃないかなと思ったりしてます。
原曲感はあまりありませんが、原曲はある種の癖があるため、一般受けの観点ではあまり強調しないほうが有利なのかもしれません。
そんな感じで友人に聴かせてやろうと思って早10年、なかなかそのような機会が訪れず諦めの境地に達したので、なぜかこの記事を読んでしまった奇特なあなたにお願いしたいところ。
(「これ聴いてよ」は押しつけになりそうなので避けたくて、できれば友人が家に来たときにたまたまこの曲が流れてるシチュエーションを目指したいと思ってました。我儘が過ぎる)
Aメロ部分が1, 2番で大きく違っているのが特徴。
1番は自然の中で緩やかな時間の流れを感じさせますが、サビで春風のような爽やかさをご提供したあとは、間奏で一転してコミカルな様相に。
Bメロに入るころには元に戻っているものの、この変則的なメロディを挟むことによって、何度聴いても飽きを感じさせない作りとなっています。
ベーンベベーンベベッベーン
あ゛ぁー癖になるうぅぅ……
……はっ、失礼、一瞬どこか遠い場所へ行ってました。
ちなみに、最後のサビ後、また1番Aメロに帰ってくるところもまたニクい。
音を落として、眠りにつくような心安らぐアレンジになっています。
後述の歌詞とはギャップがあるようですが、minekoさんの歌声によって後味よくまとまっており、聴き終わったときの満足度をぐっと高めていると思います。
感想︰歌詞
んでんで、歌詞がまためーちゃくちゃいいんですよ!(唐突)
登場人物は「僕」と「君」の二人。
で、ストーリーをまとめると「仲はいいけど最後の一押しが踏み切れない恋心」といったところでしょうか。
ラスサビでは「今のままでいい」といった言葉もありますが、最後の最後で「誰かこの想いを届けて!」という切ない内心を零しています。
あぁ~^、心がきゅんきゅんするんじゃぁ^~
1, 2番のBメロで歌詞の対称性が取れているのも好きです。
サビも同様で、こちらは最初の1フレーズがセンス爆発していてたまらんです。
特にラスサビは、二人が並んだ光景をありありと思い浮かべることができて、ついつい頬を緩めてしまいます。
いつか死ぬならこのタイミングで逝きたい(尊死)
……で、結局「僕」と「君」の配役は誰なん?というお話ですが、これが結構な難問です。
明確な手がかりもないので、まぁ各人好きに想像していいと思います。
って言うだけなら簡単なんですが、一応感想枠なんで自分の推測を投下しときます。
結論から言えば「僕」=紫、「君」=幽々子、かなと。
根拠は初め、「君を枯らさないように」とありますが、やはりここでの「君」には桜のイメージと紐づく幽々子を割り当てるのが妥当に感じます。
また、最後に「僕」が「歌にして」と誰かに頼んでいますが、ここの歌を短歌と捉えれば、歌人の娘である幽々子に想いを伝えたい紫が「僕」にあたると考えれば納得できます。
うーん、配役が逆でもそれはそれでエモいんで、いろいろ妄想が捗りますな。
妄想ついでにもう一つ。
2番Aメロは特殊とお話ししましたが、この部分は会話形式になっています。
どちらが「僕」でどちらかが「君」かは歌詞から読み取れませんが、どうやら生前の幽々子と紫の会話のようです。
「どこか遠い場所」=幻想郷への招待を紫が暗示したものと思われます。
そうすると「どこに行くの?」と尋ねている側が幽々子かなーとなんとなく予想がつきます。
皮肉にも幽々子が亡霊化したしたことでそれが叶えられることになりましたが、そのときの紫としては心中複雑だったかもしれません。
とはいえこのシーン、紫が胡散臭いいたずらっぽい台詞で女の子を誘っているという、なんとも不審者めいた微笑ましい光景が具現化されます。
やはりゆかゆゆだっつってんだろダラズが俺の幻想郷だったか……罪袋たちもこれには脱帽(全裸)
ねぇ、もうちょっとだけ聴いていかない?
こっちもサボっていいよね!
紫にピッタリな歌、見つけてきたわ~
ピアスのうた(原曲:遠野幻想物語、少女幻葬 ~ Necro-Fantasy)
同じくMN-logic24さんから、紫の式である八雲藍と、さらにその式の橙[ちぇん]の仲よしっぷりが存分に味わえるほんわかな一曲。
ゲストで歌っている蒼-aoi-さんの一人二役のがんばりを含めて、とてもかわいらしくて癒やされる曲になっております。
シャララララララ♪ちぇえええぇぇぇぇぇん!! みたいな暴走はしないのご安心を
(この歌、幽々子には聴かせられないわね……)
Necro Fantasia(サークル:Alstroemeria Records)
幽々子が亡霊として蘇るまでの紫の想いを描写した、珍しいシチュエーションの一曲。
幽々子と紫の関係を知っていると、切なさがより強く胸を締め付けます。
(原曲名をタイトルに流用するのはAlstroemeria Recordsさんあるある)
カラオケ入りしていること自体はたいっへん嬉しいのですが、キャラ背景を知ってしまっていると歌っていて泣きそうになるのがお困りポイント。
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