【東方Vocal曲紹介 Track.18】Luna on Ritardando

焦る心とは裏腹に、時の流れは遅く。
この秘密を打ち明ければ、きっと貴方は――


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基本情報

【タイトル】
Luna on Ritardando
(るな おん りたるだんど)

【サークル】
SWING HOLIC
(すうぃんぐ ほりっく)

【収録アルバム】※初出のみ記載
SWING HOLIC VOL.04 [2009年]
(すうぃんぐ ほりっく ぼりゅーむ ふぉー)

【原曲】

  • 月時計 ~ ルナ・ダイアル

出典:『紅魔郷』5面ボステーマ
関連キャラ︰十六夜 咲夜(いざよい さくや)

評価

【オススメ度】
★★★★☆(並←→極)
ジャズアレンジがあまりにもカッコいい!
仕事でミスしたばかりの人はあまり聴かないほうがいいかも……

【前提知識】
★☆☆☆☆(少←→多)
原作での咲夜さんの瀟洒度を把握した上で聴いてみましょう。
これも一種のギャップ萌え?

【原曲度】
★★☆☆☆(弱←→強)
結構大胆にアレンジしていて、パッと聴くだけだと原曲は認識しにくいかも。
並べて聴くとしっかり面影残ってます。

【雰囲気】
★★★☆☆(軽←→重)
曲の雰囲気はいいけど、歌詞上では珍しく狼狽してる咲夜さん。
最後まで救いがなく終わるし……がんばれ咲夜さん!

【カラオケ】
JOYSOUND

解説

さむい! さむすぎる!
(※これを書いてたときは最低気温が氷点下になってた)
これは間違いなく冷え性を殺す寒さ。
てがかじかんで、うまくもじが、うてないよぅ……

なので省エネでいいよね!(屑)

選定理由

前回がSOUND HOLICさんだったんで、せっかくならこちらも紹介したい!
ということで、よく似た名前のSWING HOLICさんの曲をご用意させていただきました。
もちろん偶然似てしまったわけではなく、SOUND HOLICさんが母体となって運営しているサークルさんです。

以前の記事で紹介しているような独立した姉妹サークル(発熱巫女~ず&FELT、森羅万象&Liz Triangle)とは少し毛色が異なり、同じサークルの別形態というか、例大祭などのイベントでは同じブースで商品を取り扱っているイメージ。
幽閉サテライトさんと少女フラクタルさんが関係性としては近いでしょうか。
リージョンフォームではなくフォルムチェンジ的な。

また、前回ちょろっとTrack.7に触れたこともあって、もっかいレミ咲こすってもいいかなって。
あのときと違って現代の時間軸なのでご安心を。
ちなみに咲夜さん、上記記事の紹介曲ではヒロイン的な扱いになっていて、キャラの説明もガッツリしちゃいましたが、物語に直接登場していたわけではありません。
今回は逆パターンで、ちゃんと主役として咲夜さんに目立ってもらいますが、お嬢様は言及されつつも表には出てこない感じです。

原曲について

紅霧異変を解決するため紅魔館へと乗り込んだ主人公ズを、咲夜さんが5面ボスとして丁重にお出迎えするときに流れてくるのが、この『月時計 ~ ルナ・ダイアル』です。

イントロが一番激しい、という全原曲を通しても珍しい構成となっています。
やはりメイド(※)といえばハードロック(嘘)
デーデデッ! があまりにもカッコいい。
某東方野球動画でさがら咲夜さんのオーエン歌として歌詞付きだったのもこちらのイントロ部分ですね。
(あまりにも古すぎて一体誰がわかるんだレベルのネタ)

その後、ロック感は少し落ち着いてサビへ。
こちらは美しくも小気味のいいメロディとなっています。
しかし、このころには「時間停止」を応用したこれまでにない弾幕が襲ってきており、テンポの良さが逆にプレイヤーの緊張感を煽ります。
鍵盤系の打楽器を思わせる可愛らしさもある音がメインとなりますが、裏では変わらずドラムがリズムを支えており、そのギャップがミステリアスでクールな印象をより一層強めているのかなと。
途中で音を下げて同じフレーズを繰り返していくところ、好きです(告白)

ちなみにタイトルの「月時計」、シンプルでオシャレですがいろいろな意味がかかっていそうです。
名前で言えば、十六夜昨夜は十五夜で、満月と密接に関わります。
設定としては、この名前もお嬢様から与えられたものらしく、満月を主人に見立て、その後ろに付き従うという意味合いかと思われます。
おぜうにしてはネーミングセンスいいな
また、「十六夜」はそのまま時間を示す言葉でもあります。
もちろん、咲夜さんの「時間を操る程度の能力」や、トレードマークのひとつである懐中時計とも関係しているわけですが……どちらの設定が先に生まれたのかは、今となっては鶏卵問題ですかね。

咲夜「鶏卵……今日のおゆはんは親子丼かしら?」

サブタイの「Luna Dial」も英訳(Lunaはラテン語由来)しただけで同じ意味。
《闇の神-ダークゴッド》さんかな?
一応、日時計と同じような仕組みの月時計が存在するようですが、英訳は「Moondial」となっており、そちらとは明確に区別しているみたいです。
あるいは、即物的ではなく、もっと幻想的な印象を与えるための言葉選びかもしれません。


※【Topics!】紅魔館が誇るメイド長の一日に迫る――
咲夜さんの基本情報はTrack.7を参照していただくとして、こちらでは彼女のメイド長としての一面にフォーカスを当てていきましょう。

一般的な家事を一手に引き受けている咲夜さんですが、特に時間がかかっているのはお掃除のようです。
紅魔館自体も大きいですが、「時間を操る能力」の応用で内部空間をより大きく広げているため、それによってお仕事が忙しくなっているのは少し自業自得感もあります。
居住者数を考えると、外からの見た目通りの大きさでも十分な気もしますが……

そんなこんなで膨大なお仕事を抱えている咲夜さんですが、これらをこなすため、大まかには以下の対策をとっているようです。

  • 時間を止めて自分でがんばる!
    というかそうしないととてもやってられないそうで、日々の苦労が垣間見える……
    咲夜さんは積まれた仕事を減らす立場なので、この方法でもある程度は「瞬時」に解決できるわけですが、もちろん仕事を積み上げてくるのは時間を止められない周囲の存在です。
    作った料理はお嬢様方のお腹に入るまで待つ必要がありますし、いつ侵入者(主にドスメラルー白黒魔法使い)に荒らされるかも制御できません。
    あと結局、時間を止めてもやること自体は変わらないので、周囲の経過時間に違いがあるだけで負担を減らすことができないのもキツいところ。

  • 一緒に働いてくれるメイドさんを雇う!
    というわけで、咲夜さんほど優秀な手腕は持っていないにしても、ある程度咲夜さんの不在や負担をカバーしてくれる存在は必要です。
    そのため紅魔館ではメイドとしてご近所の妖精さんたちを雇っています。
    ただ、幻想郷における妖精という種族は、基本的に知能が低めで享楽的。
    料理や給仕、掃除は楽しくやってくれますが、「つまらない」後片づけはやってくれないので、そのあたりは咲夜さんに回されます。
    最近では妖精よりお仕事が丁寧なホフゴブリン(誤字にあらず)や、番犬代わりのチュパカブラも増えていて、少しずつ賑やかになりつつも咲夜さんの負担を軽減してくれている……と、思いたい。

また、非定常業務として、紅魔館ではよく客を招いてパーティを開くほか、外部で実施される宴会に参加することもあります。
前者はメイドさん一同で協力して対応しますが、後者でも当然のように咲夜さんが料理を振る舞う描写があり、紅魔館の外でもその卓越したスキルは頼りにされている様子。

その努力はもはや「あたりまえ」のものになっていて、『萃夢想』では萃香から「誰もその事に気が付いていない」「誰もあんたに感謝はしていない」となじられてしまいます。
しかしそこは咲夜さん、メイドとしてのプライドからか、「気を遣わせてしまうから気付かれるべきではない」と一蹴。
さすが咲夜さん! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる! あこがれるゥ!

なお、異変解決は兼業とのことで、一応メイド長としてのお仕事とは別枠扱いになっているそうな。
いざ妖怪退治への乗り出した際は、相手を見てある程度丁寧な振る舞いを見せるものの、好戦的な性格が見え隠れします。
両方の要素がある『永夜抄』でのお嬢様とのデート時はどうだったかというと、ご主人様に対しても言動が少しやんちゃになっていて、どうにも異変解決モードに引っ張られがちのようです。
もともとそんなに敬意を払ってない説はありますが、間違いなく忠誠は誓っているので、二次創作では原作に忠実になろうとするほど扱いが難しくなるキャラと言えるかもしれません。


感想︰曲調とボーカル

SWING HOLICさんといえばやはりジャズアレンジ!
この曲でもピアノにドラムにサックスと、しっかりジャズやってます。
ちょっと原曲薄めになっちゃってる印象もありますが、しっかり聴くとちゃんとわかります。
このあたりの塩梅はアレンジの妙とも言えるでしょう。

イントロからサックスの音色が聴こえてきますが、少し重い雰囲気を感じさせるメロディで、どことなく怪しげなバーにでも迷い込んだかのような気分に。
ボーカルが乗るときはさすがに控えていますが、間奏ではジャズならではのサックスソロが高らかに鳴り響きます。
イントロ(サックス)→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏(サックス)→Bメロ→サビ、というボーカル曲としては少し構成ですが、ジャズらしくサックスもボーカルと同格の扱いを受けていると考えると納得です。
(全体としては4分弱なので、そこまで短いというほどでもないです)

そんなボーカルを務めるのはSYOさん。
大人びた咲夜さんを完全で瀟洒に演じきっていただいています。
これがまたジャズアレンジに映えてたまらんのですよ。
どこか色っぽささえ感じるその歌声には、思わず吐息が漏れてしまいそうです。
特に1番サビの最後、絞り出すような切ない歌声が、歌詞と併せてキュッと心を締めつけます。
その儚さがまた美しいので、ぜひ一聴していただければ!

感想︰歌詞

簡単にまとめると、お嬢様の大切なものを壊してしまって狼狽する咲夜さんの心境を歌ったものになります。
素直に考えるなら妖精が粗相した可能性のほうが高そうですが、あまりに深刻なので、咲夜さん自身の手でやってしまったのかもしれません。
残念ながら顛末については描かれていないため、咲夜さんがどのような選択をしたのかまでは判然とせず。
ファンとして、救われてほしいところではありますが……

タイトルの「Ritardando」は「だんだん遅く」というクラシック用語。
月の動きが遅くなる……?
これはつまるところ、アインシュタインさんの「ストーブの上に手を置いた1分は1時間にも感じられる」という例え話と同じで、苦境に立たされる咲夜さんの心情を詩的に表現した題名のようです。
(楽譜で実際に使われているかは不明)

咲夜さんが悩んでいるのは、お仕事の失敗をお嬢様にいつ打ち明けるかどうかです。
企業戦士であれば即座に報告するのが「最善」とされていますが、このケースはプライベートのお話なので、周囲の状況に合わせていくらかコントロール可能です。
ただ、「知らぬが仏」をよしとしているわけではなく、ずっと秘匿できるとも考えていません。
壊してしまった何かを隠すことはできても、咲夜さん自身の態度にどうしても表れてしまうと自覚しているようです。
その理由が「いつまでも隠し通せるほど あなたへの愛は軽くない」というのがまたステキですね。

何を壊してしまったのかについても、曲中では説明がありません。
(強引な解釈はできなくもないですが……)
とにかく、一度白状してしまえば叱られるどころか、二人の関係にすら致命的な溝が生まれるだろうと考えているようです。
そのうち明るみに出てしまうとはいえ、なかなかそのラインを越えることができないという気持ちはとてもよく理解できますね……
そんな憂慮の念が、差し込む月の光を「躊躇いの色」に見せるという、これまた詩的な表現での締めくくりとなります。
ってか夜だったらお嬢様もバリバリ活動時間じゃないですかやだー!

うーん、レミリアならあっさり許してくれそうな気もするけどなぁ。
というかもうバレてて泳がされてる可能性も……?

ああ失礼しました、よく屋敷で音楽鑑賞をするので

『あっしはいい曲を聴くと変身するでガンス』……って、誰だよ。
そりゃ影狼さんも絶句しますわ。

身近にもこんな曲があったんですね。うーん面白い

  • Devil's dining(原曲︰メイドと血の懐中時計)

同じアルバムに収録されていて、こちらは英語歌詞でA~YAさんが担当されている陽気なアレンジの一曲。
原曲は咲夜さんですが、この曲の主体はどうもお嬢様っぽいです。
この紅いスープうめぇなぁ! お前も飲む? ハハッ、冗談だ。
って感じのちょっとウザいゴキゲンな内容になってます。
もちろんお嬢様は吸血鬼なので、スープが「紅い」のは――

ちなみに収録順はこちらが先。
なまじ機嫌がいいお嬢様を目の当たりにしてしまっているため、紹介曲での咲夜さんはより失態を言い出しにくくなっているのかも……?

次のサークルでも探さなきゃね

  • 月光照らすはシリアルキラー(サークル:凋叶棕)

お嬢様と出会うより前の咲夜さんを描いたクールで美しい一曲。
今回の紹介曲と咲夜さんのイメージは似通っていますが、タイトルからしてより不穏な感じがしますねぇ……
咲夜さんのスペルカードである『幻葬「夜霧の幻影殺人鬼」』や『時符「ミステリアスジャック」』をベースにしたタイトル&歌詞になっているのかなと思ってます。

毎度おなじみのてぃあめら曲ですが、咲夜さんとモブおじの2役を演じており、実はかなり珍しいパターンだったり。
(老若男女混合の1人6役やってるトンデモ曲もありますが……)
紳士(?)と淑女(?)による掛け合い部分は必聴です。

紹介曲と同じく大人っぽさで溢れる咲夜さんになってますが、原作で(自称)十代後半を公言していることを考えると、お嬢様と出会う前ってもう少し幼いはず。
阿求さんは何百年も生きてそうという印象を受けているため、早熟というか、それだけ時止めの時間が長いというか……
あれ? じゃあ咲夜さんってもしかして、時間止めてる間は自分の身体の時間も進まないんすか?


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少女祈祷中…
(筆ノッてるし次の出張前に上げたい、ってフラグ)


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