【東方Vocal曲紹介 Track.12】春風
雪解けが春の訪れを告げる。
あたたかな風に揺れる花々が、今、満開に――
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基本情報
曲名
春風
(はるかぜ)
サークル
Liz Triangle
(りず とらいあんぐる)
収録アルバム ※初出のみ記載
SPRING★(2010年)
(すぷりんぐ)
※ふぉれすとぴれおさん主催のオムニバスアルバムです。
(今は残念ながら活動停止していて、サイトも閉鎖してます……)
のちにLiz Triangleさんのアルバムにも再録されています。
原曲
天空の花の都
出典:『妖々夢』4面道中テーマ
関連キャラ︰リリーホワイト
カラオケ
JoySound
評価
オススメ度
★★★★★(並←→極)
幻想郷に訪れる春の目覚め美しく描いた曲です。耳と心に優しい!
前提知識
☆☆☆☆☆(少←→多)
原風景を思い浮かべるのに特殊な知識は要らんのですよ。
原曲度
★★★★☆(弱←→強)
原曲にあまりパターンがないのもあって、サビはオリジナル。
でも原曲使っている部分はほぼそのまま。
雰囲気
★☆☆☆☆(軽←→重)
最初の歌詞だけちょっと悲しい感じ。
それ以降はもう、吹いて咲いて春になる!
解説
曲のレパートリーよりもここに書くことがなくなってきた。
……まぁ、今までも関係ないことしか書いてないし、別に何もなくていいか?
選定理由
前曲は『地霊殿』の原曲を使っていて、『地霊殿』ストーリーモードの季節は冬だったため、今回は春先の曲を選んでみました。
ん? 今(投稿日)は秋だって?
うるせぇ、春はいつも俺達の頭の中にあるんだよ!
ぽわぽわ~
収録アルバムは少し特殊な内容で、いろいろなサークルさんからゲストを集ったオムニバス形式となっています。
この曲はLiz Triangleさんからの提供となっており、Track.8と同様にlily-anさんが歌われています。
(そのため本記事では、アルバムはふぉれすとぴれおさん名義でも、Liz Triangleさんの曲としてカウントします)
ちなみにこの曲はトリを飾っていて、順番決めた人たちGJです。
しかし、こんな短いスパンで同じサークルさんの曲紹介して大丈夫か……?
でも次の曲考えてるときにパッと思いついちゃったから仕方ない。
余談ですが、個人的に思い入れのある曲でもあります。
お恥ずかしながら、学生のころに東方の二次小説を1作だけ書いてまして……
拙作ではメインの季節は冬となっており、後日談だけ春――桜が咲く光景で締めくくったのですが、そのプロットにも粗筋にも満たない漠然とした流れの源泉となったのがこの曲です。
仮にアニメにするなら間違いなく最終話のED曲で、実際そんな妄想に現を抜かしながら駄文を書き連ねていました。
……うん、なんか書いててマジで恥ずかしくなってきたから次行きましょう次。
原曲について
道中曲が続きますねぇ!
今回は『妖々夢』から、4面道中で流れてくる少し長めな曲です(4分くらい)。
人気……とは言えないかもしれないですが、実際に『妖々夢』をプレイした方の耳には馴染みのある曲だと思います。
ステージが長いことに加え、道中のくせにそこそこ難しいので、つまりピチュってリトライして必然的に繰り返し聴くことが多くなるためです。
(そのたびに3面までの曲もまた聞けるからおトクだなー!)
ストーリー上、体験版の範囲である3面までは地上で情報収集――は特にせず、迷ったり暴れたりすることになりますが、4面からは一気に上空へと舞い上がります。
とはいえ、曲名にある「都」が広がっているということもなく、冥界に繋がる扉が浮かんでいること、そして異変の影響で桜が待っていること以外は普通の空(notうつほyesそら)です。
4面に入った瞬間はあたりが暗いのですが、中ボスのリリーホワイト(※)と遭遇したタイミングから徐々に明るくなり、十分に明るくなったころに曲としてもサビに入る形となります。
でもたぶん、実際プレイしていてその連動に気づく余裕はない気が……
メロディ構成はイントロ→サビ→Aメロ→サビ→……って感じだと思います。
いまいちサビにサビ感がなく盛り上がりきれないあたりが、認知度はそれなりにありつつも人気が出にくい理由かもしれません。
ちなみに神主さんの供述によると、全然関係ないけど西遊記をイメージしているそうです。
……いや、マジで関係ねーな。
※【Topics!】春を告げる妖精、リリーホワイト――
周囲に春の訪れをお知らせする習性を持っている妖精さんで、春っぽくなってきた場所にどこからか湧いて出てきます。
春以外の季節は身体を動きにくくなるそうで、その分春になったときはテンション上がるんだと思います。
意外と登場実績はあるものの、ゲーム中では一切台詞がないという少し不憫なキャラです。
『妖々夢』では、異変(Track.6参照)の影響で地上になかなか春がやってこないため、冥界から漏れ出ていた春を感知して上空にやってきたところ、自機勢に遭遇した模様。
ようやく春が来たことを彼女たちに教えてあげようという無垢な気持ちを、容赦のない人間たちは接敵行為を捉えて返り討ちにしてしまうのでした。
あまりにも不憫すぎない?
これだから人間は…… ※原作では平常運転です。
普段は全身白い服に身を包んでいますが、『花映塚』ではなぜか黒服へとイメージチェンジ。
当初のファンは同族の別キャラとして扱っていたものの、なんと公式で「裁判官のコスプレ」と明かされ界隈に大きな衝撃が走りました。
ちなみにそのころの名残で、今でも別キャラとして扱っている二次創作も存在します。
しばらくして、小数点作品の『妖精大戦争』で再登場した際は、ステージによって白黒(+弾幕)が変わるという特殊な仕様に。
おそらく『妖々夢』のステージにもなった「魔法の森」にはホワイトを紐づけているのでしょう。
一方の「春の小径」ですが、『花映塚』の霊夢テーマが『春色小径』という曲名で、そちらに合わせたもとの思われます。
しかし、キャラ設定とステージ構成を照らし合わせると、昼と夕方で数時間のうちに服装を変えてきているということに……
場所に合わせたコスプレをするという点において、リリーホワイトさんはプロ並みの強いこだわりを持っているのかもしれません。
感想︰曲調とボーカル
ボーカルのlily-anさんについてはTrack.8を参照していただくとしまして。
あまり曲とは関係ないですが、Liz TriangleさんはTrack.2で紹介した曲の生みの親、森羅万象さんの一部構成メンバーで結成されたサークルです。
どちらも個性があって片方に軍配を上げることはできないものの、森羅万象さんのほうが活発で(エンタメの幅があり)、Liz Triangleさんは大人しめな優等生、といったイメージです。
……そもそも人数に差があるから当然といえば当然なんですが。
自分は割と毎日同じもの食べられる派なので(ほうれん草の胡麻和えとか)、Liz Triangleさんの安定性を「実家のような安心感」と好意的に捉えていますが、人によっては退屈に感じてしまうかもしれません。
そういった方は、ぜひ相性のいい森羅万象さんの曲を織り交ぜながら聴いていただくのがいいと思います。
だから両方のアルバム買って❤
曲の話に戻りますと、Aメロの部分で3, 4音節ごとに区切りを入れながら歌われているのが特徴的です。
おそらく、あえてタメを挟みながら進行することで季節の緩やかな変化を演出しつつ、サビでの花開くような展開を強調しているのかなと思ってます。
その間のBメロは、前半でAメロの特徴を自然に引き継ぎつつも後半で上手くサビに繋げていて、地味ながらも個人的に好きなところです。
また、サビの末尾部分を毎回変化させているのも地味好きポイント。
一番盛り上がる最後ももちろんよきなんですが、一度落としてくる2番サビが妙に刺さるんですよねぇ……
説明順間違ってる気もしますが、イントロにも静→動の変化が明確にあって、導入部でのワクワク感がすごいです。
弦を一つひとつ丁寧に鳴らす入りから、クラッカーが弾けるようなメロディに一転します。
なんならここが曲の中で一番音が明るいところかも。
ライブでこれ聴いたら泣くほどテンション上がる自信があります。
あまり原曲感はない部分ではありますが、東方Vocal曲の中でも屈指のイントロだと自分の中で話題になってるらしいです(無責任)
感想︰歌詞
冬から春へ、季節が移り変わる様子が丁寧に描かれています。
1番はまだ冬の様相が強いものの、サビからは春の到来を思わせる暖かな風が幻想郷中に広がっていきます。
一方で、「僕」の心は何らかの要因でしばらく凍ったままとなっているようで――その要因について曲中で語られることはありせんが、何やら「キミ」のことを待っていたご様子。
周囲はすっかり春モードとなった2番で「キミ」が現れて、ようやっと「僕」も心を溶かすことができました。
ただ、大サビでは「キミ」に触れられない旨の歌詞があり、どうやら単純な関係性ではなさそうです。
「僕」と「キミ」がそれぞれ何者なのかについては推測の余地を大いに残していますが、そのあたりは自分も見解を持っていないので各人のご想像にお任せするとしまして。
ともあれ、ラスサビでは春を乗せた風が遠く果ての空まで吹き渡っていく様子を見届けており、その高揚感が最後の「満開の花咲かせ」というフレーズに現れています。
なんかもうこれだけで情景が目に浮かぶようです。ふつくしい……
冒頭では雪に埋もれた狭い視界から、無窮とも形容できるほど広がる遠景へと視点が引いていく感覚が、lily-anさんの美しい声を通じて得られる――そんなところにこの曲の魅力があるのかなーと思ってます。
……お、今回はいい雰囲気出しつつ結構すんなり終わったな(台無し)
春ですよー
原作で本人がこの台詞を口にしている場面はない……んだけど、原作でも台詞だけチラッと逆輸入されてるのが面白いですよね。
リリーホワイトさんは敬語キャラじゃないから否定されがちだけど、春を告げるときだけは敬語使ってるって可能性も、一応まだ残ってます。
その場合、書籍『The Grimoire of Usami』のアレは個人インタビューで、春告は公共放送だから……みたいな説明になるのかな?
まぁでもかわいいからなんでもいい!
春ですよ~?
ヒャッカ(原曲︰さくらさくら ~ Japanize Dream…)
同じアルバムで一つ前にある、RegaSoundさん提供の一曲。
原曲は『妖々夢』のスタッフロールで使われているのですが、童謡の『さくらさくら』がベースとなっている珍しい曲です。
サビのインパクトが大きいのでそちらに意識が寄りがちかもしれませんが、個人的にはボソボソと独白するようなAメロが刺さりました。
(そういう意味では今回の紹介曲とちょっと似てるかも)
歌詞はわかりにくい部分があるものの、その分いろいろと想像の余地もあります。
もしかしてこの曲の幽々子って……?
はーるーでーすーよー!
幻想浪漫綺行(サークル:凋叶棕)
同じ原曲で、サンホラとか水樹奈々さんみたいなルビ使いの一曲。
原曲名を「あのばしょ」と読ませるのはまだいい(?)として、「幻想」「浪漫」を同じ「まぼろし」で読ませてくるし、「重力」は単に「ちから」だし。
そりゃあ「Brazin' Star」も「ながれぼし」になりますわ。
(マジレスすると最後については『永夜抄』で魔理沙が使うスペカ名が元になってます。なぜ魔理沙なのかは歌詞を見ればわかる)
個別記事で取り上げたいくらいの名曲ではありますが、ほかのサークルさんの曲にも席を空けとかないと……
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