【東方Vocal曲紹介 Track.5】Everflowering
夢を咲かせ、愛を奏で。君と二人なら未来は輝く――
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基本情報
曲名
Everflowering
サークル
発熱巫女~ず
収録アルバム ※初出のみ記載
BOUQUET -Grand Finale-(2013年)
※リンク先でクロスフェードデモの視聴が可能です。
原曲
幽夢 ~ Inanimate Dream
出典:『幻想郷』6面ボステーマ
関連キャラ︰風見 幽香 [かざみ ゆうか]
桜花之恋塚 ~ Flower of Japan
出典:西方Project『稀翁玉』vs幽香テーマ
関連キャラ︰風見 幽香 [かざみ ゆうか]
評価
オススメ度
★★★★★(並←→極)
夏バテを吹き飛ばしてくれそうな元気の出る曲。
ラスト、サビ2連を繋ぐ部分がよく効く。
前提知識
★☆☆☆☆(少←→多)
幽香と花の関係がイメージできていればOK。
原曲度
★★☆☆☆(弱←→強)
2曲とも主旋律は少しずつ使われている。
ただ、ちょっとわかりづらいかも……
雰囲気
★★☆☆☆(軽←→重)
もうなにもこわくない!(意訳)
解説
おい誰だ、今回は短いとか言ったやつ!
選定理由
前回Track.4でも少し名前の挙がったあのサークルから……というわけで、今回はFELTさんと姉妹サークルの関係にある発熱巫女~ずさん(こちらが本家)をご紹介!
姉妹というだけあってブースがお隣構成メンバが一部重複しており、ゆえに雰囲気が似ている曲もあると言えばあるのですが、やはりまた違った個性があります。
というか、個性の強さで言えば間違いなくこちらに軍配が上がります。
まぁそもそもサークル名が(ピチューン!
原曲について
この曲には、原曲2作が組み込まれています。
どちらも風見幽香というキャラをイメージしたものですが、出演作品が異なっており、シナリオやシチュエーションなどに合わせて雰囲気が大きく違っています。
そのため、原曲だけ知っている状態だと「コレ混ぜるの?」と言いたくなるレベルなのですが、そこを上手くやりくりするのがアレンジの妙ってやつですね。
『幽夢』は恐怖、『桜花之恋塚』は開花がイメージされる曲調となっていて、この曲では後者を優先して組み立てているようです。
幽香は旧作『幻想郷』の5, 6面ボス(Exにも分霊?っぽい感じで出てくる)ですが、『幽夢』は6面ボスとしてのテーマ。
とある館の主である幽香の威厳が、妖しくも高揚感のあるメロディラインで表現されています。
(5面のせいで威厳もクソもないとか言わないで♥)
出だしの1フレーズだけでそのカッコよさは伝わるはず。
ちなみに『幺樂団の歴史』には「未使用バージョン」が収録されていて、こちらではサビが少し高音になって、お蔵入りとなったメロディ部分が一つ追加されています。
『桜花之恋塚』は、東方Project原作ではなく、「西方Project(※)」という別の同人作品に幽香が出張した際に、ZUNさんが書き下ろしたものです。
(『稀翁玉』ゲーム内ではBGMの再生をMIDI版とWAVE版で切り替えることができ、両方のバージョンが楽しめます)
とても幽香のテーマとは思えない雰囲気に似合った、終始穏やかで和風な、お花見BGMにぴったりな1曲となっています。
サビの笛の音が柔風のように吹き抜けていって気持ちいい……
音楽CD『蓬莱人形』ではサブタイトルを『Japanese Flower』として収録していて、こちらはメリハリが利いたセルフアレンジとなっています。
※【Topics!】パクリじゃないよ、西方Project――
東方Projectの生みの親であるZUNさん。
長きに渡って数々の素敵な作品を世に放ってきたわけですが、その端緒――『靈異伝』から連なる「旧作」を制作していたのは大学生のとき。
ゲーム制作を中心に活動する非公認のサークル(ただし文化祭常連)に所属していて、東方作品自体は個人で開発していたものの、周囲には同好の士が集まっていました。
西方Projectは、ZUNさんの後輩にあたる方々が立ち上げた『瞬殺サレ道?』という同人サークルがリリースしている、弾幕シューティングゲームの作品群です。
『秋霜玉』『稀翁玉』『幡紫竜』の3作品が存在し、前2作にはZUNさんも主にBGM提供という形で制作に関わっています。
(西方秋霜玉、みたいに接頭辞として「西方」が付いたりしないので注意)
そしてその2作品には、東方Projectのキャラがゲスト出演しています。
『秋霜玉』には主人公の霊夢&魔理沙、そして『稀翁玉』には幽香が登場しているというわけです。
西方世界は相当な未来が舞台となっていますが、東方世界と繋がっていて、幻想郷の外――いわゆる現実世界に西方キャラが存在している設定になっています。
(あくまで西方Projectとしての設定。東方Project側の原作に西方キャラは登場しません。二次創作では見かけることがあります)
西方側主人公のVIVIT(メイドロボ)が、とあるアイテムを捜し求めて遠く東方の地を訪ね、そこで魔理沙と霊夢に出会う――というのが『秋霜玉』Exステージのストーリー(おまけの「創曲幻想.txt」より。ゲーム中はセリフなし)。
一方、『稀翁玉』は『花映塚』のような対戦型シューティング系なのですが、ストーリーに関する説明がなく、幽香がどのような経緯でVIVITたちと接触することになったのかは、残念ながらよくわかっていません。
魔法を捨て科学に走った者たちを批判するセリフは確認でき、外の世界にはほとんど興味がないようです。
感想︰曲調とボーカル
原曲として表立って用いられているのは基本的に『桜花之恋塚』のほうですが、結構アレンジされていて、最初は注意しないと聞き逃しちゃうかも。
『幽夢』はちょっとわかりづらいけど、サビに混ぜて使われてる……気がする。
この曲の雰囲気が明るいので、『桜花之恋塚』側をアレンジのベースに据えているのかなと思います。
雰囲気明るいと書きはしましたが、華々しいと表現したほうがしっくりきます。
イントロからもうそんな感じ。
色とりどりのお花畑が瞼の裏に広がります。
幽香さんはちょっとはしゃぐって感じじゃないので、代わりにメディスン(『花映塚』で共演した新米妖怪のお人形さん)を両手広げて走らせたりくるりと回したりしておきつつ、後方母親面で見守ってくれるポジションに。そしてBメロで溜めを作ったら、サビで一気に花開きます。
後述の歌詞に合わせて花々が咲き誇るようなメロディ展開は必聴です。
心の中で……何かが……芽生える……!?
Cメロ部分は歌詞の影響で、一転雨が降ったような静けさが訪れます。
しかし、それもまた自然の恵み。
ラスサビに向けたもうひと伸びのため、また徐々に力強さを取り戻していきます。
ラスサビは2段階、初めはCメロからの繋ぎで抑えめですが、最後にはめいっぱいの元気さを取り戻してくれます。
ラスサビ2段階を跨ぐ部分がミスチー鳥肌ポイントなのでぜひここまで聴いてくださいお願いしますなんでも(ry
この曲を歌っているのは陽花さんという方で、発熱巫女~ずさんを代表するボーカルです。
幽香の曲を歌うために生まれたかのようなお名前がまたエモい。
(もちろん他の曲も担当されてます)
鼻腔に一度音を溜めたような歌声が特徴的なのですが、もしかしたら苦手なヒトいるかも。。。
でも陽花さんからしか摂取できない栄養は間違いなく存在する……!
聴くと一生耳に残るタイプの歌声なので、一度ハマると依存症になること請け負いです。次のボーカル曲を探し始めます→一時的に欲求は満たされます→なぜこの方に素晴らしい曲の数々を歌わせてしまったのか……ここで紹介しちまったら人類滅びたりしない?大丈夫?
(注:言葉選びがヘタクソなだけでめっちゃくちゃ称賛してます)
感想︰歌詞
幻想的な風景を舞台として、絶望の淵に立っていると思われる「君」に「一緒に生きよう!」と元気づけるような歌詞となっています。
深く落ち込んでいるときは救いの手すら煩わしく感じることもありますが、ここまで言ってくれる人がいるなら、自分の苦悩が馬鹿馬鹿しくなって「また歩いてみてもいいかな」と思えそうです。
2番Aメロでは、具体的な花の名前として「桜」と「蓮」が登場します。
桜はもちろん春に咲くみなさま大好きなあのお花。
こちらは原曲『桜花之恋塚』からでしょう。
蓮は夏が開花時期です。
そして、コアな東方ファンならば、この蓮が幻想郷を暗示するものであることはよくご存知かと思います。
(原作『幻想郷』のサブタイトルも「Lotus Land Story」です。仏教において極楽に咲くと言われており、幻想郷を象徴するに相応しい花だと思います)
続くBメロでは「枯葉」や「淡雪」という言葉が使われていて、移りゆく四季とともに幻想郷の原風景が目に浮かぶようです。
その美しさは、Cメロでは「言葉にできない」と歌われています。
ありふれた言い回しかもしれませんが、ありふれた日常を彩るその景色を描くからこその表現だと思います。
この曲の歌詞をみる限りでは、登場人物に関する情報はほとんどありません。
「君」に呼びかけている人物を示す一人称すら出てこないくらいです。
しかし、幽香というキャラを重ね合わせてみると、「咲かせる」という言葉を使っている歌詞の主体が幽香っぽいなと推測できます。
また、2番サビでは、久しぶりに出会えたという旨の歌詞が出てきます。
旧作『怪綺談』で幽香の活躍を見届けてから、『花映塚』で再登場を果たすまでの7年間――『花映塚』をプレイして、まさしく「久しぶり」という言葉を心の中で呟いた古の東方ファンも多いのではないでしょうか。
そう思うと、もしかすると「君」はこの曲を聞いている私たちのことを指しているのかもしれませんね。
※【Topics!】旧作とWin版の世界観――
『怪綺談』までの旧作と、『紅魔郷』以降のWin版は、世界観自体は地続きである旨が明言されているものの、一方で「設定は一掃」されています。
そのため、キャラはごく少数の例外を除き、再登場していません。
ZUNさん曰く「隠居しているんじゃないか」とのことで、歴史から完全に消されてしまったわけではありません。
で、その例外の半分である主人公の霊夢と魔理沙についてもキャラデザは調整されています。
特に霊夢は差分が大きく、なんなら漢字まで変更(靈→霊)されていたり、おじいちゃん亀に乗らなくても空を飛べるようになっていたり。
(そのため、旧作靈夢を「先代巫女」とする二次創作も少数ながらあったりします)
おそらく刷新にはいくつか理由があり、『紅魔郷』以降でZUNさんが旧作に関して言及した内容からおおよそ察しがつきます。
要は、新しい東方Projectを作りたくなった、ということです。
旧作はプロトタイプであり、両者の間で設定の矛盾が発生しても気にしない。
ゆえにファンには、旧作ではなく新しい作品に触れてほしい――と、基本スタンスはこんなところでしょうか。
※というより、ZUNさんとしてはWin版含め過去作は糧としつつもあまり引っ張らない方針っぽいです。
常に「前より良いもの」を生み出し「自分の好きなもの」を表現するための彼なりの心がけ、なのかもしれません。
そう考えると、今もなお東方Projectが同人活動を主軸に展開されている理由がなんとなく見えてきますね。
とはいえ、すべてが一新されているわけでもなく、Win版作品でも旧作の面影が感じられる場面がいくつか見受けられます。
『妖々夢』のアリス、『花映塚』の幽香は旧作出身キャラ(ただし「昔」のことについてはほぼ言及なし)
魔界の設定が共通している(意外と都会!)
BGMや弾幕に、旧作からの意図的な流用がある
旧作要素が明確な形でWin版に露出することは、今後もほぼあり得ないでしょう。
ただ、もちろんWin版作品だけでも十分に東方を楽しむことはできますが、旧作を知っていれば、これから出てくる作品でニヤリとできるときがあるかもしれません。
なお、幽香に関して言えば『稀翁玉』を挟むため若干特殊ではありますが、キャラデザはおおよそ一致しています。
(旧作ではスカートではなくズボン、傘も色や形状が異なる)
名前は大きな変更があり、なんと『花映塚』で初めて「風見」の姓があることが判明しました。
旧作幽香さんは「風見」っぽくないんで隠しててよかったかも。
その他の設定面についてですが、『花映塚』以降も書籍で存在を確認することができるものの、旧作関連の情報についてまったく触れられていないため、どこまで引き継いでいるのかは不明です。
今も夢幻館に住んでいるのか(そもそも夢幻世界があるのか)、背中から生える羽は今でもあるのか……いろいろ気になるところではありますが、ここは旧作で自機経験もある幽香さん、花に関するストーリーであれば機会もゼロではないと思いますし、今後の登場に期待しましょう。おーい、誰か魅魔様の行方を知らんか?
※【Topics!】幽香といえば向日葵?――
現代の東方界隈において、幽香=向日葵のイメージが強いと思われますが、この曲の原曲が収録されている2作品では、幽香と向日葵の間に明確なコネクションを見つけることができません。
旧作『幻想郷』で初登場した際は、幻想郷ともまた違う「夢幻世界」との間に立つ「夢幻館」が舞台。
5面ボスとして戦う際は、就寝中にカチコんでしまったので、なんとパジャマ姿の彼女と戦うことに。
(歴史の長い東方といえど、さすがにパジャマで戦闘するのは後にも先にも彼女だけ)
さすがに余裕がなかったのか、向日葵の「ひ」の字もなく終わります。
一時撤退後、原曲『幽夢』が使われる6面で再戦することになりますが、きちんと着替えたにもかかわらず、またも向日葵要素なし。
どころかそもそも花っぽさが見当たらない……?
自機としての出演を果たした『怪綺談』では、通常攻撃が「フラワーショット」になり花の妖怪としての片鱗を見せてくれますが、何の花かまでは特定できず。
ゲスト出演の『稀翁玉』ではBGM的に桜だし……あれ、向日葵ってどこにあるの?
はい、そろそろ正解出していきましょう。
この曲の原曲としては使われていませんが、実はWin版で出演した『花映塚』での対戦場所が「太陽の畑」という向日葵畑でした。
ストーリー的には春の話なので、本来向日葵は咲いていないはずなのですが、異変の影響で向日葵を含め季節を問わずいろいろな花が咲いていました。
このときの幽香は『花を操る程度の能力』を持っていて、花にまつわる妖怪という設定が明確化されています。
しかし、設定上は特定の種類に限定したものではない、という点が重要です。
『花映塚』では向日葵状の弾幕がウザいくらい確認できますが、スペルカード名には向日葵との関連は見い出せません。
過去を振り返ると、『稀翁玉』でも明確に花と判る形状の弾幕を放ってきて、しかしこちらはフランネルフラワーに近いデザインとなっています。
その他、一応、『幻想郷』の6面タイトルに「Raspberry」の単語が入ってはいますが……まぁこれは置いときまして。
そんな感じで、『花映塚』では太陽の畑で起こった異変をトリガーとして動き始めたので、たまたま向日葵がピックアップされた――という背景のようです。
Win版幽香さんについては、季節に応じて花が咲いている場所を点々と巡っているのではないか、と他のキャラから推測されています。
太陽の畑だけでなく、幻想郷中の様々な場所でお花のお世話しているようです。設定聞くだけだととても暴虐系キャラとは思わんよな東方Projectの人気が爆発的に高まったのはWin版以降、必然的にプレイヤーが幽香に触れる機会が最も多くなるのは『花映塚』なので、そこから幽香=向日葵のイメージがついたものと思われます。
実際この世の全てに花を咲かせたいだけの無害で優しい妖怪だもんね
二次創作においては、そのイメージの強さからか、太陽の畑の中に家を立てている場合もあります。
そこで、イタズラ目的で畑に侵入した者たちを滅「めっ!」したり、べーかりんとなっておいしいパン屋さんを営んだりします。
個人的にはドS(親切)なゆうかりんであればどんな設定でも好きですね(真剣な眼差し)
ちなみに前曲の関連キャラである「因幡てゐ」とは『花映塚』が初共演。
今回の選曲はこのあたりも絡んでいたりいなかったり。
美しい音色は、美しい花を咲かせるわ
く、紹介曲のレパートリーがゴリゴリ削られていく……!
あら、ここにはまた別の花が咲いていたのね
Floral Colors(原曲:今昔幻想郷 ~ Flower Land)
ゆうかりん大好きクラブの発熱巫女~ずさんが、夏の幽香に捧げる清涼感溢れた1曲。
歌詞は槇原敬之さんの『世界に一つだけの花』に通じるところがあります。
Flower of Life(原曲:桜花之恋塚 ~ Flower of Japan)
こちらはお淑やかな幽香さんに癒やされたい方向けの1曲。
原曲感強めなので、原曲好きな人にもオススメです。
さて、そろそろ他の場所にも花を咲かせにいきましょうか
パノラマガール(サークル︰豚乙女)
『桜花之恋塚』の雰囲気を夏に寄せて、スパイスに厭世感を足し合わせたような一曲。
ボーカルのランコさんの声がちょい不良っぽく特徴的で原作幽香のイメージに近く、その素材を活かすようなアレンジとなっています。
一方で、原曲の穏やかさにもやや引きずられているランコさんの声が聞けて、なんとなく人里で買い物してるときの「紳士的」な幽香さんっぽい。
INTO THE CONTRASTS(サークル︰Sister's Spread-i)
風に花びらが舞い、澄み渡る青空へと登っていく美しい風景を、爽やかに歌った一曲。
こちらも『桜花之恋塚』のアレンジ。人気あるなぁ。
ボーカルのまいなすいょんさんは、普段はヘビメタバンド「IRON ATTACK!」という、メジャー/同人、国内/海外を問わず広く活躍するサークルに所属。
しかし本作は、個人サークルとしてリリースしたもので、ヘビメタ感は皆無です。
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