はじめに
本シナリオは「どらこにあん」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『アンサング・デュエット』の二次創作です。
(C)Fuyu Takizato / Draconian
(C)KADOKAWA
また、本シナリオのワールドセッティングは朱石さんのイリュージョンシティを採用しております。
所要時間:1~2時間(推定)
シナリオの公開:OK、ネタバレ表記を推奨します
シフターの作成:どちらでもOK、シフターはカーバンクルなどの人外を推奨、あらすじを改変しない場合はフラグメントに頑固であることを必ず1つ入れてください
バインダーの作成:どちらでもOK、種族推奨もなし
推奨する関係性:大学院教授とその研究室に所属する院生
異界の発生原因:シフターが様々な異界から生還してきたことによる感情と記憶、異界に呑まれてしまった者たちを救えなかったことへの後悔の念
さあ、現地調査の時間です
このシナリオでは、シフターと一緒にたまたま迷い込んでしまった異界を調査という名の出口探索をすることになります。
現実の常識が通用しない空間で、何が起こるか分からない調査という名の冒険をお楽しみください
あらすじ(プレイヤー向け)
このシナリオのシフターとバインダーは共に、イリュージョンシティと呼ばれる多くの世界や種族が交わり、重なる世界のイリュージョンシティ大学院 異界学研究専攻に在籍する教授と院生で、次の学会で発表するテーマに関して2人で話しているところから始まります。
シフターは、過去幾度ととなく異界へ迷い込んでしまったものの、その都度生還してきた経験を持つ異界学研究の第一人者であり、バインダーを指導している教授です。
頑固なものの、いつもバインダーの意見は素直に聞き入れてくれますが、今回の学会発表に関しては「題材を変えろ」の一点張りで、なかなか意見を曲げてくれません。
バインダーはそんなシフターに対し、どうしてもこの題材で発表をしたいと説得していますが、話は平行線。
やがて、お互いに意見のぶつけ合いに疲れたのか、シフターの方から少し休憩して頭を冷やそうと提案されました。
バインダーは同意し、なにか飲み物を入れてきますと言って、研究室内に設置されていたポットのところへ歩いていきます。
ですが、バインダーがカップにお湯を注ごうとした瞬間。ふと意識が飛んでしまいました。
それからどれくらいの時間が経ったのだろうか。
バインダーが目を覚ますと、大学の図書館の中で倒れていることに気付きました。
ですが、おぞましいほどの違和感がバインダーを襲います。
そんな違和感に襲われながらも、バインダーが図書館の中を調べていると、椅子に座って何事もなかったかのように本を読んでいたシフターを発見しました。
ですが、その本はバインダーが知っている言語で書かれている本ではありません。
シフターはバインダーの存在に気付き、静かに本を閉じて顔を上げて見据えました。
そして、冷静な口調でこう言います。
「異界へようこそ、これから一緒にこの異界を調査しながら脱出する術を探そう。ただし、何があっても落ち着いて行動すること」
詳しいストーリー(GM向け)
このシナリオのシフターは、あらすじにも記載されている通り、幾多もの異界へ迷い込み、その都度変わるバインダーたちと協力し、異界から生還してきた経験を持っています。
ですが、無事に2人揃って毎回生還できたわけではありません。
バインダーが異界に呑まれてしまい、シフターだけがどうにか生還できた例も少なくはないのです。
シフターは、バインダーが自分のせいで犠牲になったことへの後悔の念を積み重ねていくうちに、異界に関する研究を行うため、血反吐を吐ききるような努力をして、イリュージョンシティ大学および大学院の教授となり、異界の研究に関する第一人者となりました。
犠牲になったバインダーたちを忘れない、その罪を一生かけても贖罪していく。
ですが、その強烈に焼き付いた記憶と後悔の念は、いずれ爆発して解放され、異界を生むほどの力となるくらいにまで膨れ上がっています。
ここで一旦話は戻りますが、バインダーが学会で発表しようとしていた題材は、異界に取り込まれてしまった者がどうなってしまうのかというもの。
シフターが頑なに拒んでいたのも、記憶がフラッシュバックし、後悔の念が強くなってしまう恐れがあったからです。
ですが、バインダーもこの題材で発表がしたいと譲らず、話は平行線化。
そうしている間にも、恐れていた記憶のフラッシュバックと後悔の念が強さを増し、シフターを内面から蝕んでいきました。
そして、シフターの方から休憩して頭を冷やそうと言ったのが引き金となり、抑え込まれていた記憶と後悔の念が限界を超えて爆発し溢れ出、異界を生み出してしまったのです。
シフターは、バインダーには表面上「調査しながら脱出する術を探そう」と提案していますが、本当の目的は、自分の過去と後悔の念に今一度向き合い、受け入れること。
だからこそ、自分が指導するものとして信用しているバインダーの力を借りようと思ったのです。
イリュージョンシティ大学院について
イリュージョンシティ唯一とも言える、最上位教育機関であるイリュージョンシティ大学に属する大学院で、異界学研究専攻以外には、魔法学研究専攻や現実の分野専攻も存在するかなり大きな大学院です。
もちろん、院生も教授も人間だったり、人間ではなかったり、エルフのような亜人だったりと様々。
サンプルシフター
本シナリオには、サンプルシフターが設定されており、以下のシフターを使用することですぐにプレイ可能です。
なお、シフターを新規に作成しても構いませんが、フラグメントによってあらすじやストーリーを一部改変することを推奨します。
■シフターデータ
名前:フィリス・リフィル・ライラ
種族:カーバンクル
性別:不詳
外見年齢:不詳、大きさは狐程度
所属:イリュージョンシティ大学 魔法学部 異界学科 / 同大学院異界学研究専攻 教授
■フラグメントボックス
チャプター0 「おぞましき図書館」異界深度4
■状況説明
■判定
■ロールプレイ方針
■結末
チャプター1 「悪意渦巻く講義棟」異界深度5
■状況説明
バインダーはあなたの説明に納得し、出口を一緒に探してくれると言ってくれましたか?
OK、納得してくれたようですね。
では再び物語は動き出します、いよいよ判定です。
■手を繋ぐ
■判定「黒板に書かれている罵詈雑言から目を背け、講義室を逃げ出す」難易度:5
■ロールプレイ指針
■結末
チャプター2「異形が生まれる魔法学部棟」異界深度:6
■状況説明
■魔法陣らしき何かについて
バインダーがそのままの状態で魔法陣らしき何かを調べても、魔法陣の類であること以外は
理解できません。
ですが、魔法陣は今までにないほどに嫌な予感を感じます。
GMは、バインダーにシフターへこの魔方陣のような何かを調べるよう促してみましょう。
■判定「魔法陣から出てきた異形の存在から逃げる」難易度:6
手を繋いだことにより見えていた何かはやがて歪な人の形を作り、ゆっくりとこちらへ近づいてきた。
右手らしき箇所には剣のようなものを持っており、顔らしき箇所からはボソボソと「お前の罪を償え」「薄情者」という声が聞こえる。
「…っ、そんなまさか…」
冷静で、このような状況下でも動じなかったシフターが、突如嫌そうな顔に。
なおも歪な人形の何かは、同じセリフをボソボソとつぶやきながら剣を引きずり、迫ってきている。
この何かは、シフターを一刀両断しようとしています。
どうにかして、剣の振り下ろし攻撃が来る前に逃げ出さなくては!
■ロールプレイ方針
■結末
チャプター3「チェーンソー・オブ・グリーンハウス」異界深度:7
■状況説明
■手を繋ぐ
■判定「歪な人形の追跡者改め、チェーンソーの追跡者から逃げる」難易度:7
歪な人形の追跡者改め、チェーンソーの追跡者は、言葉になっていない叫び声を上げながら、チェーンソーをめちゃくちゃに振り回しながらこちらへ向かってきます。
あんなのに当たれば、いくら人外でもひとたまりもありません。
植わっている作物や木々を駆使して、どうにかチェーンソー攻撃をかいくぐりましょう。
■ロールプレイ指針
■結末
ファイナルチャプター「フェアウェル・マイ・リグレット」異界深度:8
■状況説明
■チェーンソーの追跡者
そして皮肉にも、そのバインダーが異界へ呑まれたのがこのイリュージョンシティ大学。
シフターは異界化し、自分と行動したが結果的に帰還できずに異界に呑まれた他のバインダーたちと融合してしまったあのバインダーと再開してしまったのだ。
それを知った時の、シフターの後悔の念の現れようは、相当なものだっただろう。
※GMはこのことを過去の回想として、シフターに語らせるとストーリーに深みが出るかもしれません
※また、上記はシナリオに矛盾が生じなければGMとPLの同意の上で変更しても構いません。
■手を繋ぐ
■判定「異界からの出口を探す」難易度:8
※この判定は「2人とも成功した」状態になるまで終わりません。
つまりどちらか一方が成功しても、一方が成功するまで判定を続ける必要があります。
GMはそのことを伝えてから、判定を開始しましょう。
これが最後の見せ場です。
バインダーはチェーンソーの追跡者の最後の猛撃をかいくぐり、シフターを連れてこの異界から脱出しましょう。
脱出するロールプレイを終えたら、アフタートークへ進みます。
■ロールプレイ指針
■結末
アフタートーク
アフタートークでは、以下の順番で物語の結末を決め、ロールプレイをしましょう。
この物語のゆくえは、果たしてどんなものになるのでしょうか?
■結末の分岐
■変異への抵抗
■現実世界での変異について
■ロールプレイ指針
生還、おめでとうございます!