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大怪獣のあとしまつを観て(感想・批評・ネタバレあり)

はじめに

えーっと、初めましての人かTwitter見てくれた人だと思うので簡単な自己紹介からいきますね

やたらゴルシ好きな多趣味と申します。名前通りの男です、20代です。以後よろしくお願いいたします。

怪獣映画ゴジラとガメラは全部見てるんで、結構うるさい方だと思います。

まぁ、必要な事はこんくらいでしょうからつまらん話題はこのくらいにして

本題

さて本題にいきましょう

僕も遅ればせながら見に行きました

大怪獣のあとしまつ

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で、どうだったかというと

結論からいうと残念ながら

駄目駄目映画です。

どこが駄目ってほぼ全部です、8割方駄目です。前評判で期待値下げて見に行ってこれです。

駄目だ駄目だだけいってもしょうがないので大別して何が悪いのか書き出していきましょう

①登場人物が軒並み無能、テンポロスが酷い

②コメディセンスが壊滅的、下ネタがすぎる

③人物描写などのドラマパートがやっぱり無駄

④上三つに押されて現場で死体処理やその他の仕事してる特務隊(本作での所謂防衛隊)の描写が少ない

の大きく分けて4点です。

①から説明しますね。

政治スペクタクルとして

①登場人物が軒並み無能、テンポロスが酷い

この映画ってだいたい「主人公達がいる現場」「総理達指揮する政治家」「その他の人」って感じで登場人物を分類できるんです。まぁ軒並み無能ですが……。

特に政治家達の無能描写は酷く現場そっちのけで脚の引っ張りあいや責任の押し付けあいを延々してます。これがテンポ感が最悪かつ、非常に無駄に感じさせる要因なんですね。

確かに省庁間で責任の所在はどこか?とか確かめることはあるとは思います。現行法でなんとかしようか、それとも超法規的措置か?なんて話も出てくるでしょう。それがリアリティってモンです。

残念なことに今言ったような描写は一切含まれておりません

代わりに「怪獣の死体は燃えるゴミか?」「防衛軍の攻撃を防いだんだから燃えないゴミだろ」「失礼ですが生ゴミかと」とかいうまぁ下らない話が出てきます。そうはならんやろ。

(第一、召集令状出して各地で反戦デモ起きてるのに今更超法規的措置や特措法の一つや二つ成立させるぐらいの描写ないのか……?)

これらの議論(?)はシナリオ的に何ら意味を持ちません。ただただテンポを悪くしてるだけですね。

他作品でいうとスター・ウォーズエピソード8シナリオ面の失敗を強化して植え付けたようなモンですね。

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政治家が一番酷いというだけで登場人物は全員こんな感じです。つまり、全編こんな感じです。(救いようがねぇな全く)

そんな感じなので政治スペクタクルとしては落第点ですね

コメディ映画として

②コメディセンスが壊滅的、下ネタがすぎる

先程紹介した「怪獣の死体は燃えるゴミか?」のやりとりもそうなんですがどうもこの映画笑わせようとしてくるんです。

言い忘れてましたけど、どうも監督はコメディのつもりで作ってるみたいなんですね。

いや、怪獣映画でコメディやっちゃ駄目って事ではないんですけど、なんで僕が難色を示すかっていうとかなり高度な事が要求されるからなんですね。

コメディばかりだとシリアスさがなくなりますし、シリアスさを重視するとコメディの意味がそもそも失くなるし。バランスの調整が繊細で結構難しいんです。

それに見に来た観客はシリアスで緻密なシミュレーションを期待してきた人がほとんどでしょうから、その期待を良い意味で裏切らなければならない、結構高いハードルです。

そんな結構高いハードルを全部なぎ倒して駆け抜けてきやがったんですね。この映画。

何が酷いって恐ろしくサムい下ネタの一辺倒です。

例えば、怪獣も腐敗してくるとガスが出てきますから、ガスだまりが隆起して破裂して臭い匂いが出ます、これがウ○コの匂いかゲロの匂いらしいんですね。(僕の品性が疑われるんで伏せ字にしましたけど作中だとこれモロですよ)

これにマスコミは「ウ○コの匂いなんですか?ゲロなんですか?」と詰め寄ります。

困った総理は「そうだ!間をとって銀杏にしよう!」と言い出します。(よくよく考えたら銀杏にも失礼な話だな……)

けど外では環境団体らしい集団が「あれは銀杏じゃないだろー!ゲロプラスウ○コだー!」って叫んでるんです。

たぶんこの一連の流れで監督は笑うだろうなと思ってるんですよ。

いや、笑わんて。ウ○コとか下ネタ大好きな小学生でもこのなんちゃって政治スペクタルな空気感では笑えんでしょう。

ヒデェもんです。これが2時間映画全編通してこの感じです。仮に時々挟まる程度ならまだしもずーっと見せられてるんですからね。

他のエピソードだと

怪獣から放出された菌糸から感染した男からキノコが全身から生えてくるんですが何故か股間が黒塗りで……

言わずもがな。

たぶんこれは『マタンゴ(1963 )』のオマージュだと思いますがこんなオマージュのされかたをした『マタンゴ』もいい迷惑でしょう。(こちらは本格的なSFホラーなので興味のある方は是非)

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もちろん僕は映画館で見ましたが、他のお客さんも笑ってなかったんで、まぁ皆さん同じ気持ちでしょう。(でなければあんな話題になってないと思います。)

というわけでコメディとしても笑えないという存在意義を問われるレベルの弱点があります。

そもそもキャラクターの掘り下げが……

③人物描写などのドラマパートがやっぱり無駄

本作とよく『シン・ゴジラ(2016)』は比較されてますが、よく聞く批評に「『シン・ゴジラ』ではカットした人間ドラマをこれでもかと放り込んで台無しにした」というのがあります。

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これは半分正解で半分的ハズレだと思ってます。

確かに『シン・ゴジラ』は人間ドラマはあまり描かれなかったですが、巨災対のメンバーは風変わりだけどそれ以外没個性的にして共感させるだけの想像の余白を与えつつ、情報量を絞って上司で主人公の矢口蘭堂中心の人間ドラマに焦点が向くようにしてます。ゴジラ関連の情報量が多い作品ならではの配慮ですね。

つまり『シン・ゴジラ』も全く人間ドラマがなかったという訳ではないんです。そもそも人間ドラマが売りならそこに焦点を当ててもいいと思うんですよね。

じゃあ「『あとしまつ』はどうなんだよ」と言われると「大惨敗だよ」と返さざるを得ないんですけど

個人的に考える無駄の極致はこの男、オタギリジョーさん演じるブルース

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元特務隊なんですが爆破のプロの彼が戻ってきてくれないと作戦が遂行できない!ヤバい!今何処にいるかわからないぞ!という話になるんですが

結構あっさり見つかるし、なんか謎に主人公追い返して、なんか謎に回想シーン挟んで、結構あっさり仲間になります。

いやそうはならんやろ

謎の回想シーンの前に「帰る場所失くなっちゃった」と話す女性と会話するシーンがあったりしますけど

それくらいで翻意するなら最初から主人公の話聴いたれよ

という感想しか出てきません。(後、主人公も主人公でもう少ししつこく気合い入れて説得しろや。)

正直シナリオ的に他のキャラクターが役割を担ってもいいキャラクターです。

で、そのくせキャラクターの掘り下げが浅いくてヒロインの兄という設定以外追加の情報が無いとかいう酷さです。

イヤ、君らからしたらお兄さんで先輩かもしれんけど僕らからしたら大した葛藤も無いのに面倒臭そうに仕事断った人だよ?共感できんでしょ?

という置いてけぼりを喰らうこと受け合いです。

ちなみにこの映画にはこんな掘り下げの浅いくせにでしゃばるキャラクターがゴロゴロいます。

という訳でキャラクターの掘り下げも深くないといけないキャラクターは浅いし、浅くていいキャラクターは深いという映画の脚本として大丈夫なんか?というレベルの話でした。

でも格好よければ……も駄目。

④上三つに押されて現場で死体処理やその他の仕事してる特務隊の描写が少ない

「シナリオに粗があっても良いじゃん!防衛隊(特務隊)が格好よければさ!」

という考え方も出来るかもしれないですが「あとしまつ」な以上緊張感は既存の怪獣映画に劣りますし、他のシナリオに押されててそもそもの活躍も少ないです。

ただ唯一と言っていい活躍シーンのダム爆破格好よかったです。

このシーンはもっと時間をかけてやっていいと思いました。

まぁ、作戦は失敗するんですが(ネタバレ)


もう一つだけ(ネタバレ)

そうなんです。

この映画全部の作戦失敗しちゃうんです。

しかも熟慮上の失敗ではなくアホな政府をアホなキャラクターが引っ掻き回してめちゃくちゃな見切り発車して失敗なんです。

映画的にあんまりでしょう。

この映画は「怪獣」という災厄、災害のメタファーを使って何を伝えたいのか?という問いに答えられてないんですね。

もしかしたら「後始末も出来ねぇのかよ」という問いかけなのかもしれませんが

最後に

紹介しきれなかった悪い点はまだありますが、これ以上長く書く必要はないでしょうしここまでにしときます。

ここまでボロクソに叩いておいてなんですが、悪いのはあくまでシナリオとキャラクターの掘り下げなんで誤解なきようお願いします。

特に役者さん方は主演の山田さんを筆頭に難しい役どころを上手く演じられていたこと、造形の若狭さんを筆頭に特撮部門は素晴らしかったことを明記しておきます。

そしてこの苦行に向かわれる奇特なマz……奇特な勇者の方はどうぞ劇場へ

(こうなっても僕は責任とれませんが)

https://twitter.com/Golshiniumgokin/status/1495968064730714115?t=_46nDZaa5yVBjjGEoFiVFw&s=19

それでは長々とお付き合いくださりありがとうございました。(了)


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