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自作データベースでゴルフ上達!~週末ゴルファーのIT活用術~

前回のnoteでは、私の歪んだゴルフ愛の結晶であるゴルフデータベースの概要を紹介した。

今回は、このデータベースをどう活用してスコアアップを目指しているのか、具体的な事例を交えて話す。
スコアアップ戦略とは、つまるところ課題の発見と仮説検証の繰り返しである。
そして、この終わりのないサイクルの中で、データベースが意外なほど重要な役割を果たすことになる。

前回のラウンドでの私の課題は、「球がつかまらない」「フェードまたはスライスが多い」こと。つまり、フェースが開いてインパクトしている傾向にあるようだ。

そこで、私はこんな仮説を立てた。「切り返しでクラブの重さに負け、ダウン初期でヘッドが落ち、フェースが開いている。すなわち、体が右に傾きすぎているのではないか?」対策として、「切り返しで体幹を意識し、右への傾きを抑える」ことを試してみることにした。

切り返し

この仮説を検証するために、データベースで過去のショットを検索してみることにした。

そういえば、以前「体のバランス」を意識して打ったことがあった。その時の結果は…?

データベースを検索する際に用いるのは、neo4jのCypherクエリというプログラミング言語だ。これ以上説明すると、技術的な深みにハマってしまいそうなので、詳細は別の機会に譲ろう。

まずはシンプルに「バランス」というキーワードで検索。すると、11月3日のJGM笠間での3つのショットデータがヒットした(図1上)。

図1:データ検索結果

① 1番ホール 2打目(8I):前上がりの剥げたラフ

から打った時に左に飛んだ。まぶしくて打ちづらかった。バランスを崩したか?

② 10番ホール 2打目(3U):ラフからナイスショット。傾斜がキツめだったのでスイング幅を少し抑えてバランスを重視した。

 ③ 13番ホール 1打目(ドライバー):前上がりからのティーショットで、右向いてドローを狙ったが、右ストレートが出てバンカーだった。バランス重視で体のバランスを考えてスイングした。

①はバランスを崩したショット、②と③はバランスを意識したショット。今回の分析では②と③に着目しよう。

これらのデータから、バランスを意識することで好結果に繋がる可能性が…あるかもしれない。

さらに「体幹」「体」でも検索するが、データ量不足(2024年11月3日~12月1日のわずか4ラウンド分)のため、該当ショットは見つからない。

次に、「右への傾き」の影響が顕著に現れるであろう「左足上がり」の「ドライバーショット」で検索。12月1日のつくばねカントリークラブで5つ、11月11日のつくばねカントリークラブで1つ、計6つのショットデータがヒット(図1下)。

これらのデータからは、ドローボールや左への曲がりは出ておらず、右ストレート、フェード、スライスの傾向が見て取れる。また12月1日の3番ホール1打目のドライバーショットが、かなり良いショットだったことを記憶している。

これらの情報を元に、練習場へ向かった。

意識することは、切り返し時の体幹だ。また、練習場のマットの上では、ヘッドが地面に落ちていても、うまく跳ねてしまう可能性がある。そこで、高いティーでも試してみる。しかし、出玉はばらつき、安定しない。なぜだろうか? 

そこで、過去のナイスショットの感覚を思い出してみることに。「グリップを引っ張って、インパクト直前に右足ジャンプ」。

すると、どうだろう。とても強い、そして安定したストレートボールが、私の意思とは無関係に放たれるではないか。やはり、私は知らぬ間に、効果的な意識を忘れてしまっていたり、変えてしまっていたりする。人間とは、かくも忘れやすい生き物である。

「これだ」という淡い期待を抱きつつ、次のラウンドで試してみることにする。この仮説が正しいかどうかは、まだ分からない。結果については、後日、このNoteで(おそらく落胆とともに)報告する予定だ。


練習から帰宅後、ある不安がよぎる。

「このスイングでハイブリッドを打つと、ひっかけが出るのではないか?」

このスイングはアッパーブロー気味。ドライバーなら慣性モーメントの高さでストレートボールになるが、ハイブリッドではどうなるか分からない。次のラウンドは、短い打ち下ろしと狭いホールが多い、つくばねカントリークラブ。ハイブリッドの出番が多くなるだけに、OBの嵐が吹き荒れる可能性も否定できない。

「練習場で確認すべきか…?」という誘惑に駆られる。

しかし、それは「不安→練習場→更なる不安→練習場」という、出口のない迷宮への誘いではないか。時間と金と精神をすり減らし、家族からの冷たい視線に耐え、それでもスコアは一向に改善しない、という悪夢が待っている。それに、夜には子供を寝かしつけるという大仕事が待っている。

そこで、再びデータベースに救いを求める。

このスイングの特徴は、球にあたる前の右足ジャンプだ。ハイブリッドを、その意識で打ったデータを検索する。検索キーワードは、「右足」、「ハイブリッド」。すると、12月1日のラウンドの3つのショットデータを発見できた(図2)。

図2.データ検索結果

3つのうちの1つは、スティンガーショットで打っており、今回のケースには該当しない。残りの2つは、該当しそうである。それらを見ると、ドロー系の球は出ているが、ほぼストレートだということが分かった。実際のコースで、なんとか真っ直ぐ打てている。

データを信じ、練習場はパス。

余計な不安を捨て、ラウンドに集中することにする。家族の機嫌は良好。皿洗いを済ませ、子供を寝かしつける。平和な夜だ。


最後に、今回の課題の仮説を考えるプロセスで、データベースを使うことで、一体何が良かったのかを、まとめてみよう。

・直近のラウンドの記憶だけでなく、過去のショットデータを参照できたことで、より精度の高い仮説を立てることができたと、信じたい。特に、1ヶ月以上前(11月3日)のラウンドの、どのショットで、バランスを重視した打ち方をしていたかなど、覚えていない。しかし、データベースの中に、そのような、かすかな記憶の断片があると、その時の情景を、無理やり思い出せることがある。

・過去のナイスショットがデータとして存在していたため、練習を、より効率的に行うことができた。過去に、たまたま上手くいったショットの体の動きを、より詳細に分析し、再現性を高めていくことができる、という希望を抱いてみよう。

・練習場代を節約できた。これは小さな勝利と言えるだろう。

・家族の機嫌を損ねずに済んだ。これは大きな勝利と言えるだろう。

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