「アンダーライン。」
1983年5月。この雑誌の発刊月である。
特集は杉真理さん。しかし冒頭インタビューは佐野元春さんと伊藤銀次さんだし、ほかにも浜田省吾さん、原田真二さん、稲垣潤一さんの「生の声」も
読むことができる。
20歳だった私は、感受性も若々しく、かれらの言葉、一挙手一投足に心を震えさせていたんだ。元春さんや銀次さんの「対談」から生まれる言葉は
どれも刺激的だった。だからアンダーラインが引いてあったりするんだよ。
佐野「・・・最初から形式を無視したら絶対に形式を超えることは出来ない。」ここにラインが引いてある。また銀次さんの言葉では「僕たちは眼の前を通り過ぎる<もの>を知らないうちに手にしている。」 なんと思慮深い言葉だろう。
インタビューなので、ふたりの言葉が、今よりも装飾されずに、足し引きも最小限に書かれている印象を受ける。そしてページ中にデザインされた「見出し」には、より印象深いワンセンテンスが置かれている。
たとえば、こんな風に。「奥行きを持っているということは素晴らしいことだ。」「また明日が来るんだ、と思って生きていきたいんだ。」など
私の気持ちをひとつひとつ躍らせてくれた言葉たち。いまでも色あせないのは、やはり言葉が生き生きしていたからだろう。
そして39年近くの「時間差」を本というのは埋めてくれる。これこそ
魔法でなくて、なんだろう?
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