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私の留学体験記(9) 最終回:留学することのメリット

さて、私の留学体験シリーズの最終回です。

今回は、私が思う留学することのメリットについて、2つだけ簡単にお話しして、終わりにしたいと思います。

1:自分の中のモノサシが増える

まず、最初のメリットは、社会で起こる出来事や、人の行動を評価したりする時の「視野が広がる」と言うことです。

私の場合をお話すると、私はカナダに行くまで、日本以外の国に住んだことがなかったのす。それで、しらずしらずのうちに自分の考え方や見方が唯一無二のものだと思い込んでいました。

なので、よその国で起こる現象や、よその国の人たちの行動を見る時に、自分のこの内面化された「モノサシ」を当てて評価していたんですね。

例えば、日本では「目は口ほどにものを言い」ということわざがあります。

これは、私たち日本人は、自分達がやってほしいことを相手にはっきりと伝えるよりも、それとなく匂わせて、相手が察するのを待つということです。

このように、日本でははっきりと意思表示するよりも、黙っていて、相手に気づいてもらう方が、洗練されたかつ品格のある行動だと考えるのです。

この「モノサシ」をもって、西洋の人たちの行動をみると、西洋の人たちは「行間の読めない」人、あるいは「空気の読めない」人というふうに見えてしまうのです。

でも、実際私がカナダで向こうの人と関わる機会を通してわかったのは、カナダの人も日本人と同様に、言葉に出さなくても人の気持ちに気づくことはできるし、行間も読めるのです。

ただ、気がづくからといって「察する」ことが必要であるとは考えていないし、そんなことに価値をおいていないということです。

逆に、向こうでは、ほしいものはほしいと言う、つまり自分の意志を明確に表明することの方が、好ましいとする文化です。

だから、頼まれもしないのに、気を回すということは場合によっては、逆に「余計な世話」となり、失礼ということになります。

このように海外で住むことで、文化的価値観の多様性を知ることができ、自分が日本人として内面化している価値観や信念は絶対的なものでないことを知ることができます。

それに気づくことで、他の国の文化を尊重したり、またその文化や社会を理解した上で、その人たちの行動を評価することができるようになるということです。

これが「多様なモノサシを持てる」つまり視野が広がるということです。

これがメリットの一つ目です。

2:夢をあきらめずに挑戦できる

二つ目のメリットは、「夢をあきらめず、挑戦できる」ということです。

日本社会は以前とは変わってきたとは言え、まだまだ同調圧力の強い国ですよね。

それは、今回の新型コロナ感染症に感染した人や、感染予防のためにマスクをしていない人を集団で避難したり、排除しようとして社会問題になったことでも皆、再認識したと思います。

日本では一般に、人と変わったことをするとか、年齢不相応なことをすると、世間から叩かれやすいのです。

例えば、お笑い芸人のキングコングの西野さんが絵本作家になったときに、周りの人たちが「芸人のくせに絵本なんか書いて」と言って、避難しつづけたという話があります。

それで、西野さんはその時の体験を「えんとつ町のプペル」という絵本の下地して、映画にまでして、「夢をあきらめるな」というメッセージを日本中の人に届けようとしたんですね。

多分、日本人であの英語に共感した人は多かったのではないでしょうか。

逆に、カナダやアメリカという国は「開拓者精神」が残っているので、挑戦する人を歓迎する国です。

だから、私はカナダにいる時に、日本からも海外からも夢を追いかけてきた若い人たちにたくさん会いました。

例えば、タイから来た20代の女の子がいたんですが、その子はトロントで有名な音楽学校に入るために、自分の土地まで売って留学資金をためてきていたんですね。

その子は、ピアノの練習をするために防音装置の部屋を借りるために、昼間はずっと飲食店でバイトをしてお金をためて、夜になって遅くまで一人でピアノを弾き続けていました。

その子の夢は何かというと、「ピアニスト」になることだったんですね。私は、すごいなーと思いました。

また、韓国からきた若い看護師さんがいました。この看護師さんは、カナダで医師になるという夢をもっていました。でも、カナダの医学学校は授業料が高いので、すぐには入れないんです。

そのために、その看護師さんは、まずカナダで看護師として働いてお金をためるだと言ってました。だからその前に、カナダの看護師のライセンスをとらないといけないです。もう、ものすごく時間のかかる話ですよね。でもやりとげるだろうと思いました。

また、がんばっている日本人にも会いました。その人はトロントでなんの人脈もないのに、一から小さな会社を自分で起こして、悩みながら頑張っていました。20年近く前なので、当時の日本で起業する若者はまだ少なくて、多分日本では叶えられない夢だったんじゃないかなと多います。

私のように長く日本に住んでいた人間から見ると、これらの人たちの目指していることは「とてつもない」というか、ある意味「無謀すぎる」ようにも思えたんですね。

多分これらの人たちが日本にいたら、「ピアニストだなんて身分不相応」とか、「看護師が医師になるなんて無理」とか、「西欧社会でアジア人なんか成功しないとか」だからもっと現実的になったらどうかと言われて、多分夢をあきらめなければならなかったのではないかと思うんですね。

でも、カナダやアメリカはこのように無謀に見えるようなこと、あるいはハードルが高いことにあえて挑戦する人をとても評価するところです。

だから、夢を諦める必要がないし、逆に挑戦しない人は低く評価されやすいですね。

失敗してもいいんです。やりなおせば。

だから、日本人でも、北米に留学することで挑戦することが自然にできて、「自分でもやればできるんだ」と自分の力を信じることができるようになると思います。

これはこれから先グローバル化がどんどん進んでいく社会で生きていく若い人たちには必要なことなので、大きなメリットがあると思います。

ということです。少し参考になったでしょうか。

ということで、最後までこのシリーズを読んでくださってありがとうございました。



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