イギリスのNP(診療看護師)とGP(医師)の比較研究の結果から学ぶこと
こんにちは。久しぶりにブログを更新します。
今日は、イギリスで行われた重要な研究についてお話しします。
この研究は、内視鏡検査後の消化不良(ディスペプシア)患者さんに対するケアに関するもので、消化器系の診療看護師(GNP)が行うケアが、従来のかかりつけ医(GP)によるケアと比較してどれだけ効果的かを調べたものです。
背景
消化不良は多くの人が経験する一般的な問題です。内視鏡検査は、原因を突き止めるための重要な手段ですが、検査後の適切なフォローアップがなければ、症状の改善が難しい場合があります。
イギリスと日本では、診療看護師(NP)の役割と国家資格に大きな違いがあります。
イギリスではNPは高度な医療知識とスキルを持ち、独自の診療計画を立てることができる一方、日本ではNPの国家資格が認められておらず、看護師が医師の指示に基づいてケアを行うことが一般的です。
研究の方法
この研究では、内視鏡検査を受けた患者さんをGNP(看護師)によるフォローアップとGP(医師)によるケアの2つのグループに分けました。
GNPは、一般のナースではなく、特別なトレーニングを受け、より高度な医療知識とスキルを持っています。研究では、6ヶ月後の症状の改善状況、薬の使用量、治療費などを比較しました。
結果
研究の結果、GNPによるフォローアップを受けた患者さんの方が、症状がより改善し、全体的な健康状態も良くなりました。さらに、薬の使用量が減り、治療費の節約にもつながりました。
具体的には、GNPグループの患者さんは、グラスゴー消化不良重症度スコア(Gladysスコア)や健康状態短縮版12(SF12)スコアで有意に良好な結果を示しました。
日本への示唆
日本においても、NPの国家資格の確立と役割の拡充が求められています。具体的には以下の2点が考えられます。
1. NPの有効性を示すエビデンスの確立
NPが患者のケアにどれだけ貢献できるかを示すエビデンスを集めることが重要です。この研究のような厳密な比較試験(RCT)を通じて、NPの効果を明確にし、国内での導入を推進する必要があります。
2. NPの役割の理解と認識の向上
NPは単に診断や治療だけでなく、患者とのコミュニケーションを通じたケアも重要です。患者のニーズに応じた個別のサポートや教育を行うことで、治療の効果を高めることができます。
逆に言えば、診断や治療のスキルだけでは、医師と同じことしかできず、より良い効果をもたらすことが難しい可能性があるということです。これは、NPは「教育」する能力や「リーダーシップ」の能力をも向上させていくことが必要であるということです。
まとめ
この研究から明らかになったように、イギリスのNP制度が患者の健康管理に与えるポジティブな影響は大きいです。日本でもNPの国家資格の確立と役割の拡充を進めることで、地域医療の質の向上と医療の持続可能性が促進されることを期待しています。
詳細な研究内容は、以下のリンクからご確認ください。
この研究が、看護師の役割と地域医療の未来に向けた示唆となるといいなと思います