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賽は投げられた ~こんにゃくの留学話。本当はスイスに行きたかった。
私の留学先について。留学生課の先生が投げた賽。
今回は大学生時代の留学のお話。
留学先の決め方。
大学時代に留学を経験する人は増えてきている(はず)だが、
かくいう私もご多分に漏れず大学時代に留学した一人。
でも1か月といった短期ではなく、半年間の中期交換留学。
目的も、英語を学ぶのではなく、専攻していた経済を学ぶためでした。
さて唐突ですが、皆さんが留学をした際、またはするとしたら、どのようにして留学先を選びますか?選ぶ基準は何でしょう?
国や地域(アジア、アメリカ、ヨーロッパ等)から選ぶ?
大学から選ぶ?
生活費の安さで選ぶ?
人によって色々あるし、どれが正解で間違っているといった価値判断は無いと個人的には思います。留学の理由がたとえ「遊びたい」「外国人の恋人を作りたい」だったとしても。
もう大学生なんて大人ですから自分の道は自分で責任を持って決めるべきだし、決めたならそれに向かって進めばいいというのが私の考えです。
こんにゃくの場合。本当はスイスに行きたかった。
かくいう私は子供のころからヨーロッパに興味があったので、ヨーロッパの大学、尚且つレベルの高い経済学が学べるところという基準で見つけた大学はスイスにあり、国の機関と連携して経済研究を行っていた。
スイスという場所(金融が発達している)も、国の機関と連携して研究を行っているという特色も、私にとっては理想の場所だった。
その当時、私は第二外国語としてフランス語を学んでいた。
(ここフラグですよ)
私が応募しようとしていたのは交換留学プログラム(大学間同士で姉妹校協定を結び、毎年何人かの学生を”交換”し合う制度)だったため、選考や募集要項は全て学内で実施・掲示されていた。
募集の時期になると、各姉妹校ごとに応募条件が掲示される。
英語の試験(TOEFL IPT, IBT等)で何点以上のスコアが必要とか、学内の成績でGPAいくつ以上とか、場所によっては英語以外の言語レベルを求められるところもある。例えばフランスの大学だったら、仏検検定3級以上の語学力がないと難しいですよ、といった感じ。
この段階で、私が狙っていた大学は、英語で経済学の講義が展開されているものが多く、英語の語学力と学内の成績さえクリアできれば問題なく行けるだろうと思っていた。そもそもスイスの大学に行きたいという人も周りにいなかったから、競争率も低いだろうと考えていた。
さて、ここでスイスの公用語をおさらいしてみましょう。
スイスは東をオーストリア、西をフランス、南をイタリア、北をドイツに囲まれていて、大きく分けて東側はドイツ語圏、西側はフランス語圏である。
さて私の希望していた大学はどっち側だったでしょうか??
まさかのまさかのドイツ語圏。
ドイツ語なんて基本の基本も話せないのに。
そして募集要項にもばっちり
独語検定三級以上
書いてあるやーん。
どうやら大学の授業は英語でいけても、日常生活は英語で突破できないらしい。
というわけであっけない結末で私のスイスの大学行きは断たれることになってしまったのです。
捨てる神あれば拾う神あり。
私は一次募集のタイミングを逃し、留学に関する相談をしていた留学生課の教授の元に駆け込みました。
「先生。英語で生活ができるところで、経済学がきちんと学べるヨーロッパの大学はありませんかっ!?二次募集してるところありません?」
「そうだねぇ…ちょっと待ってね…」
パソコンとにらめっこする先生。まさに私の運命は先生に託された。というよりパソコンのデータというべきか。
賽は投げられた。
そしてしばしパソコンと見つめ合った先生が一言。
スウェーデンなんてどう?○○大学いいと思う。
私そこ行きます。(即答)
…ちょっと待って先生、そこはどこですか。
当時は全く馴染みがない国だった。必死に先生の部屋にあった世界地図を凝視して位置を確認したのを今でもよく覚えている。
先生がなぜその大学を推薦してくれたかというと、
①求められている英語力のレベルが高い
②英語で講義を受けることができる
③英語で日常生活を送ることが可能
④経済学をみっちり勉強できる環境が整っている
の三点だった。
注:スウェーデンにはスウェーデン語というれっきとした公用語があるが、人々は小学校の頃から英語をみっちり学ぶため、ほとんどの人がネイティブ並みに英語が話せる。留学した間、言葉の壁に困ることは全くなかった。
こうして私は名前くらいしか聞いたことのないスウェーデン王国への留学を決めたのでした。
そう、私の留学先は先生の投げた賽によって決められたのです。でも、私はここに留学して本当によかったと思っています。人生が変わった。
だから、留学先の決め方は人それぞれ。流れに身を任せただけじゃないかと言われれば100%その通りですが、今振り返ればそのおかげでかげがえのない人々と出会い、今の私の人生が彩られていると思うと、悔いはありません。人生なるようになるのです。