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2030年IT人材79万人不足説と国勢調査

こんにちは。きんちゃんです。
エンジニアの皆さん、キャリアの設計してますか?
私はエンジニアの皆さんのキャリア支援活動をしています。

私の自己紹介です。

前回は、エンジニアって日本に何人くらいいるんだろう?という疑問から、国勢調査を調べてみました。
2020年はおよそ約260万人がエンジニアとして就業しており、そのうち情報通信系エンジニアは120万人という数字でした。
ここでまた気になることが出てきました。
そういえば、近い将来、確か2030年にはIT系エンジニアが〇万人不足する、という説があったよねと。
その説と国勢調査の結果を比較したら面白いかも、と思い、またまた調査してみました。

2030年には最大79万人が不足するというレポートだった

2030年IT人材不足でググってみると、以下の文言が出てきます。

IT人材は2030年には最大79万人不足する。

そうそうこの説です。さらに調べると2つのレポートにたどり着きました。
経済産業省が2016 年 6 月に公表した「IT 人材の最新動向と将来推計に関する調査」と、経産省の委託事業でみずほ情報総研が2019年3月に公表した「IT 人材需給に関する調査 調査報告書」です。
後者の方は知っていましたが前者は知りませんでした。
両者ともに、IT人材の供給数を算出し、それに対して経済成長の度合いが低い順に低位・中位・高位の3つのシナリオを設定し、需要に対する不足数を導き出すという手法になっています。
それで、高位のシナリオで推移すると、いずれのレポートも2030年には約79万人が不足となるとのこと。

引用 IT 人材需給に関する調査 調査報告書

予測よりも19万人増加している

このレポートは2018年時点のデータをもとに作成されています。
したがって、供給人材数も2018年時点でのもの。
国勢調査2020年の結果を前回調べたので、それと比較をしてみます。
IT人材需給に関する調査 調査報告書は「経産省レポート」と略します。2020年
経産省レポート1,059,876人
国勢調査   1,253,930人
差異       +194,054人

なんと国勢調査が19万人も上回るという結果。
つまり、IT人材が予測よりも19万人も増加している、ということですね。
そして国勢調査の125万人という数字は経産省レポートの2030年の供給人材数ですら上回っています。(経産省レポートでは113万人)

増加の要因を紐解いてみる

IT人材の供給数が増加した要因を紐解いてみます。
主に考えられるのは以下の3点です。

供給数が増加した要因で考えられること
①IT業界に流入する新卒人材が増えた
②IT業界に流入する新卒以外の人材が増えた
③IT業界から流出する人材が減った         

①IT業界に流入する新卒人材が増えた
については、経産省レポートに「新卒IT人材の就職数」の記載があります。

専門学校・大学・大学院等からの新卒 IT 人材就職数は、文部科学省「学校基本調査」 の卒業・修了者数のうち、卒業・修了後の進路として「情報処理・通信技術者」の就職数を用いる。

引用 IT 人材需給に関する調査 調査報告書

経産省レポートでは、2017年までは学校基本調査の実績を使用し、2018年以降は独自に予測しています。
2018年以降の学校基本調査の実績を調べ、予測よりも上振れしていれば、要因の一つと言えます。
ということで、新卒IT人材就職数を経産省レポートと学校基本調査で比較してみました。
2018年 経産省レポート34,166人 学校基本調査36,409人 +2,243人
2019年 経産省レポート34,971人 学校基本調査40,395人 +5,424人
2020年 経産省レポート35,620人 学校基本調査44,117人 +8,497人
2021年 経産省レポート35,702人 学校基本調査42,936人 +7,234人
2022年 経産省レポート36,061人 学校基本調査45,750人 +9,689人

みごとにすべての年で上振れしています。

ちなみに学校基本調査の結果の詳細は以下です。
2017年は参考までに拾いました。33,653人は、見事に経産省レポートと一致していました。

文部省「学校基本調査」より著者作成

②IT業界に流入する新卒以外の人材が増えた
についてはそれを裏付けるデータはありませんが、未経験からITエンジニアへの転職が最近増加している肌感はあります。
2018年頃から2019年頃にかけてプログラミングスクールが乱立し、未経験からエンジニアに転職する人は一定数存在したものと思われます。

③IT業界から流出する人材が減った
については、検証できるようなデータが見つかりませんでした・・・。

少なくとも、
①IT業界に流入する新卒人材が増えた
は事実であり、
②IT業界に流入する新卒以外の人材が増えた
は肌感としては増加している印象はある、ということから、
IT人材が増加していることに納得感はあります。

今回は、2030年IT人材79万人不足説について、直近の国勢調査の結果をもとに検証をしてみました。

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