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モーリス産駒が豪州で活躍している件


先日、オーストラリアでモーリス産駒・マズがドゥームベン10000(G1)を制覇。
昨年には同じくモーリス産駒のヒトツがヴィクトリアダービーを制するなど現在G1・3勝という素晴らしい実績を残し、その活躍は日本でも話題になっています。


モーリスと言えば皆さんもご存知、日本の歴史的名馬の1頭であり国内外合わせて6つのG1タイトルを獲得。
しかしその内訳は日本と香港でそれぞれ3勝ずつと、オーストラリアとは無縁の実績と言えます。


そんなモーリスが何故、種牡馬としてオーストラリアで活躍しているのか。

もちろん、日本でも初年度産駒のピクシーナイトが昨年のスプリンターズSを制するなど十分な実績を収めていますが、オーストラリアでの活躍がここまで顕著に表れている点はひとつ気になるところであります。



そんなモーリス産駒のオーストラリアでの活躍について、私が考える主な要因を「産駒の特徴」と共に述べて参ります。
但し、あくまでも個人的視点による見解なので「ここは違うと思う」「こういった考えもある」といったご指摘があると非常に助かります🙇‍♂️






まずはモーリスの種牡馬としての特徴ですが、とても雄大な馬体を持つ"牡馬"を多く輩出している印象が一番にあります。

モーリス自身、現役時代は500kgを超える馬体とそこから生み出される雄大なフットワークが特徴的でしたが、それをそっくりそのまま産駒に伝えている印象が強く、特に牡馬に関しては活躍馬の大半が500kgを超え、450kgを下回る馬は今現在ほとんどいないような気がします。(いたらごめんなさい💦)
実際、日本で重賞を制したピクシーナイト、ルークズネスト、ジャックドールの牡馬3頭はいずれも馬体重が500kgを超えており見た目にもその雄大さが伝わってきます。



対して牝馬は、唯一の重賞勝ち馬であるシゲルピンクルビーこそ462~480kgを推移しているものの、ディヴィーナ、ジェラルディーナ、ストゥーティといった420kg台を経験した馬たちも散見されるなど牡馬との違いは歴然。
牡馬と牝馬でこのような違いがあるというのは今後精査していきたい案件でもあります。


もう1点、産駒に見られる大きな特徴として若駒のうちはかなり緩さが残っているという点。

この特徴はモーリス産駒に限らず大型馬にはよくある話なので「大型馬が多い」という1つ目の特徴と通づる部分ではあるのですが、2歳から3歳春にかけては特に体を持て余している馬が多い印象で、新種牡馬が初年度から活躍しやすくなった昨今において現在2世代から2歳重賞勝ち馬が出ていないというのは早熟性の欠如を物語っているかと思います。




「大型馬が多い」「緩さが残りやすい」という上記2点の特徴から、モーリス産駒は全体的に成長スピードが遅いという可能性が考えられます。
まだ2世代しかデビューしていないので断定するのはあまりよろしくないと思いますが現段階ではそのように捉えています。


この成長スピードの遅さがオーストラリアでの活躍に繋がっているというのが私の見解です。



まず豪州というのは南半球に位置しているため日本とは季節が正反対であり、競馬自体もシーズン開始が8月である事などから日本とは育成方針そのものが大きく異なっているのではないかと考えています。(実情はあまり詳しくないのであくまでも推測です💦)
そんな環境下に、日本で活躍を遂げたモーリスがシャトル種牡馬としてオーストラリアで種付けするというのは相対的に有利であると言え、生産・育成に対する意識の違いからオーストラリアでの"独自性"を生んでいると考えられます。

分かり易い例で言うと、アメリカ産種牡馬の産駒やその血が入った米国血統馬が日本競馬で(特に2、3歳戦の早い時期から)活躍しているようなイメージです。
アメリカは3歳春のクラシックを目標にとにかく早い時期から馬を作っていく傾向が強く、いわゆる早熟性の高い馬が多いとされています。


米国の血が入る日本馬は仕上がりの早さでアドバンテージがあるというのは今やセオリーとして有名になっており、その仕組みがモーリスと豪州競馬にも関係しているのではないでしょうか。


日本では成長スピードが遅いとされるモーリスの産駒が、時期や育成方針の違うオーストラリアでそのウィークポイントを補い3歳から活躍できる馬を輩出する。
このカラクリこそが豪州競馬におけるモーリス産駒の活躍に繋がっているのではないかと現時点で推測しています。



今後モーリス産駒が日本や海外でどのような活躍をするかによってこれらの考察がまた変化していくと思いますので、これを機にモーリス産駒の動向により一層注視して参りたいと思います。






最後に余談ではありますが、私の好きな現役モーリス産駒2頭を紹介して本記事の締めとさせて頂きたいと思います(笑)


1頭目は産駒初の国内G1勝利をもたらしたピクシーナイト。

とにかくフットワークが雄大でモーリス産駒の特徴として挙げた内容そのもの。
私自身、質の良い短距離馬を見抜く相馬眼にあまり自信がないのですが、3歳でスプリンターズSを制するという形で私に自信と勇気をくれた思い入れの強い一頭です。




2頭目は先日3勝クラスを勝利したアルビージャ。

こちらもやはり大きな馬体とフットワークが特徴的で、その中でも体のしなやかさや綺麗なキャンターにはついつい見惚れてしまいます。
昨春には3連勝をするなど素質はいいモノがあるので、また大舞台に出てきた際は「この馬のココが良い!」でぜひ紹介させて頂きます。




以上、長くなってしまいましたが最後までお読み頂きありがとうございました🙇‍♂️




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