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有馬記念にまつわる話



「近年の日本競馬は数多くのG1でレコードが更新されているにもかかわらず、有馬記念だけは一向に更新されない」


これは私の信頼している友人がたびたび口にしている議題。


今回はこの友人の意見(議題)をパクって話を進めて参ります。笑





近年の日本競馬は「馬場が速くなった」「時計勝負になりやすい」といった表現を使う機会が非常に増え、実際レースにおける勝ちタイムも年々速くなっており馬場の高速化が進んでいるのは紛れもない事実と言えるでしょう。


そんな昨今の日本競馬において、有馬記念だけは時代の流れに反した傾向が続いています。




まずはこの事実を分かりやすく捉えて頂くためにも、JRA・G1競走における各コースのレコードホルダーをまとめました。

※馬場の高速化に着目するため、ここでは芝レースに限定させて頂きます。




JRA・芝G1が行われるコースのレコード保持馬

※2022年12月21日時点


【中山】
1200m:ロードカナロア(2012.09.30)
2000m:ラブリーデイ(2015.01.04)
 ※2歳レコード:グランデマーレ(2019.11.30)
2500m:ゼンノロブロイ(2004.12.26)

【東京】
1600m:ノームコア(2019.05.12)
2000m:トーセンジョーダン(2011.10.30)
2400m:アーモンドアイ(2018.11.25)

【阪神】
1600m:ソダシ(2021.04.11)
 ※2歳レコード:グレナディアガーズ(2020.12.20)
2000m:ストロングタイタン(2018.06.02)
2200m:タイトルホルダー(2022.06.26)

【京都】
1600m:サングレーザー(2018.04.22)
2000m:アドマイヤコスモス(2011.10.08)
2200m:ネプチュナイト(2019.04.21)
3000m:トーホウジャッカル(2014.10.26)
3200m:キタサンブラック(2017.04.30)

【中京】
1200m:メイケイエール(2022.09.11)


※馬名横の()内は記録日
※阪神3200mは2021年新設のため除外




太字で示したのが、有馬記念が行われる中山2500mの記録。

ご覧の通り、ゼンノロブロイが記録した2004年以降、レコードタイムが更新されておらず、他のコースと比較してみても明らかに古い記録であることが分かるかと思います。

また、G1のレースレコードに限ればエリザベス女王杯(2001.11.11・トゥザヴィクトリー)が最古の記録になりますが、京都2200m自体の記録も上記の通りすでに更新されています。



このことから、有馬記念が行われる中山2500mは近年の日本競馬における反主流コースであるという事が言えるでしょう。


中山競馬場は2014年に路盤改修工事が行われ、水捌け向上などの効果が出たと言われている中でこのような記録が今も残っているわけですから、有馬記念がいかに異質なレースであるかがよく分かります。



これはあくまでも私の想像に過ぎませんが、近年の日本競馬はスピード重視に馬が作られ、レースでは「溜め」(=終い勝負)の意識が強くなった事でスピードのある瞬発力タイプが増え、反対に前半から飛ばしていく逃げ馬が減少した事がこの要因を引き起こしていると考えています。

皆が溜める競馬をし、終い勝負に徹することでおのずとペースは遅くなるためレースタイム自体も遅くなりますが、スピード重視の馬づくりによってそもそもの基礎スピードが上昇し、直線の長い東京競馬場をはじめスピードや瞬発力が活かされやすいコースではレコードが更新されるというカラクリ。

しかし、有馬記念に関しては中山競馬場そのものが短い直線・急勾配の上り坂を有している点に加え、芝の生育が進みづらい厳寒期に行われるといったスピード・瞬発力を活かしづらい要素が揃っており、道中のペースが遅い近年の日本競馬の傾向と相まってレコード更新を妨げているのではないかと推測しています。


それでも有馬記念以外の中山2500m(日経賞など)で更新されてもいいような気はしますが…



これらはあくまで私の勝手な憶測なので皆さんの意見があればぜひご教授頂けると嬉しいです。




有馬記念は毎年、レース前の予想や議論が繰り広げられるたびに「トリッキー」「適性が大事」と言われますが、中山2500mのレコードが更新されないという事実からも一言で表現してはいけないほど慎重に考えるべきレースであり、日本のどの馬に適性があるのかをしっかり見極める必要がある競走とも言えるでしょうか。


外国馬が日本のG1に参戦する際、「外国馬は日本の速い馬場に対応できない」などと言われるケースが昨今は多々見受けられますが、これらの理屈だけで言えば外国馬が最も勝つチャンスのある日本のG1は有馬記念なのではないかとも思えてしまいます。
(あまりに根拠の薄い話なので冗談半分で捉えて下さい。笑)



時代に逆流する有馬記念が今後どういった歴史を刻んでいくのか、また日本競馬そのものが今後どう変化していくのか、頭を悩ませる事柄は増えるばかりであります。





以上、有馬記念にまつわる話でございました。



7月に毎日投稿を終了して以降、主に2歳馬の評価や海外レースの展望などを中心とした記事ばかり投稿していましたが、今回は久しぶりに競馬について語る記事を書かせて頂きました。


とは言ってもあまり大層なものではないので、ここまで読んで下さった皆さんがどう感じたかは分かりませんが…


いずれにせよ、今週末の有馬記念もぜひ盛り上がっていきたいですね。(唐突な締め)



貴重なお時間の中、最後までお読み頂きましてありがとうございました🙇‍♂️




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