2年ぶりの国際対決!! 【香港チャンピオンズデー特集】
皆様こんにちは。
タイガーマスクGです。
今回は、今週末に迫った「香港チャンピオンズデー」から日本での馬券発売が行われる2レース(チェアマンズスプリントプライズ、クイーンエリザベス二世カップ)について、私なりの観点から有力海外勢や参戦する日本馬の考察を行って参ります。
一昨年の同開催は、クイーンエリザベス二世カップで日本馬4頭が1~4着を独占するなど日本国内でも大いに沸きましたが、昨年は感染症の再拡大により外国馬の受け入れが断念され日本からの遠征が叶いませんでした。
今年は2年ぶりに国際対決が実現し、日本からも計4頭が参戦を予定。日本では馬券発売も行われるため昨年の分まで盛り上がっていきたいところであります。
皆様のレース予想や馬券購入、さらには海外競馬の知見を広げる上での参考記事にもなりますと大変嬉しく思います。ぜひ最後まで宜しくお願い致します🙇♂️
チェアマンズスプリントプライズ
2016年に国際G1へと昇格した同レースは、昇格元年こそオーストラリア調教馬のシュタークワが勝利を収めたものの以降はすべて地元・香港勢から勝ち馬が出ており、スプリント王国の名に恥じない圧倒的な成績を誇っています。
日本馬は過去に3頭(ファインニードル、ナックビーナス、ダノンスマッシュ)が挑戦し、未だ3着以内に入ることはできていませんが、4着・6着・6着と決して大敗しているわけでもなく、実力や相手関係次第では日本馬の勝利もそう遠くない将来なのではないかと個人的には考えています。
また、これからご紹介する海外勢注目馬では昨年の香港国際競走でも取り上げた馬とその内容が多数登場するため、以下に当時の記事を掲載しておきます。
もしよろしければ、そちらをご覧いただいてから当記事の続きをお読み頂けますと幸いです。
海外勢注目馬
まず1頭目にご紹介するのは、大手ブックメーカーによる前売りオッズでも圧倒的1番人気に支持されているラッキースワイネス。
当馬は香港スプリントの際にも特集記事にて取り上げ、「来年の地元スプリント界の中心にいるだろう」と自信を持って紹介させて頂きました。
その香港スプリントは見せ場なく6着に敗れ、私の自信はもろくも崩れてしまったのですが(笑)、これは直線で終始進路が開かず一度も追えないままゴールした事による敗戦で誰が見ても明らかな不完全燃焼。
実際、その後は鬱憤を晴らすように年明けから圧巻の4連勝でG1タイトルも獲得し、一気に香港スプリント界の頂点へと登り詰めております。
私自身も香港スプリント時は高く評価していた反面、「レースぶりが安定していない」という課題を同時に挙げさせて頂きましたが、年明けからの4連勝はいずれも好位から終いまで非の打ち所がない競馬で勝利を収めておりレースぶりも劇的に良化。香港スプリントでの厳しい競馬を経験し、デビューから1年が経って心身ともに成長したことによる“本格化”と見て間違いないでしょう。
2走前のクイーンズシルヴァージュビリーC(1400m戦)では香港マイルを制したカリフォルニアスパングルとの路線を超えた対決にも勝利し、現・香港競馬の中心にいる馬、そして先々は香港の名馬として語り継がれるであろう存在であります。
2頭目にご紹介するのは、昨年・一昨年と同レースを連覇しており今年は3連覇の偉業が懸かるウェリントン。
当馬は昨年の香港スプリントも勝利しており、プレミアボウルと合わせて前出のラッキースワイネスを2度負かしている現スプリント王者であります。
しかしながら、今年に入ってからはラッキースワイネスに3連敗、それもすべて完敗と言わざるを得ない敗戦を喫しており、今回の前売りオッズでも大きく離された2番手評価に甘んじています。
初めてG1を制した一昨年の同レース後も評価・着順ともに決して良いものではなかったように、もともと派手なパフォーマンスが少ないタイプ。それでも昨年からは安定感が増し、これまで4つのG1タイトルを積み重ねてきた「古豪」と言える存在。
香港競馬は輸入馬が主流で種牡馬(・生産)という概念がないことから、こうした古豪による息の長い活躍はよく見られる光景。ラッキースワイネスの成長力は凄まじいところですが、経験値や競馬ぶりの上手さを活かした逆転劇があっても決して驚けません。
今年は地元国内でも“二強”ムードが漂っているほど上記2頭はやや抜けた印象があり、伏兵勢はいかに自分の競馬をして2頭に割って入るかといったところがポイントになるでしょう。
個人的に気になっているところで言うと、一昨年の香港スプリントで注目馬として挙げていたクーリエワンダー、昨年の香港スプリントでC.ルメール騎手が騎乗して2着だったサイトサクセスの2頭。
いずれも二強とは対戦比較でやや分が悪く、今回も伏兵としての評価を受ける事が予想されますが、クーリエワンダーにはH.ボウマン騎手、サイトサクセスにはJ.マクドナルド騎手という世界でも有数のトップジョッキーへとそれぞれ手が替わるため、ここで一変しても何ら不思議はありません。
二強が抜けているという前提ではあるものの伏兵として気に留めておきたいところ。
日本馬について
日本からはアグリが参戦を予定。
当馬は初の重賞挑戦となった前々走の阪急杯を制して1勝クラスから4連勝を果たし、勢いそのままに高松宮記念へ挑戦。ここでは極悪馬場に泣かされ7着と敗れはしたものの、4角では絶好の手応えで一旦先頭に立つなど見せ場たっぷりの強気な競馬を見せ、これから更に成長すればスプリント路線でも非常に楽しみな存在であります。
勝ち鞍自体は1400~1600mに収まっており1200mはこれまで2戦していずれも4着以下に敗れていますが、1400m戦でのレース内容を見ても優秀なスピード能力を持っている事が分かるように本質はやはりスプリント寄り。経験を積んでいけばスプリンターとして完成されていくのは間違いないでしょう。
冒頭で述べた通り、これまで当レースに挑戦した日本馬3頭はいずれも勝ち負けに加われておらず、未だ攻略する術が見つかっていない現状。
しかし、それも無理はないと個人的に思っており、日本のスプリント路線は3月末に高松宮記念というビッグレースがあって各陣営はそこへ向けて目一杯に仕上げるため、そこから1ヶ月後の海外遠征で再び最高のデキに仕上げるというのは想像しただけでも難しいことが分かるかと思います。
過去に挑戦した日本馬はすべて例に漏れず高松宮記念からの参戦であり、結果が振るっていない要因のひとつなのではないかと考えています。
今回のアグリも同様に高松宮記念からの参戦となるため現実的には厳しいと言わざるを得ないと思います。
しかし、スプリント戦ではまだ本来の能力を発揮できていないのも事実で、高き牙城を崩すのであれば秘めたる才能がここで開花した時でしょう。勇敢な挑戦を全力で応援したいところですね。
クイーンエリザベス二世カップ
50年近くの長い歴史がある同レースは、過去にも数多くの日本馬が挑戦し6勝という素晴らしい成績を残している競走。
日本馬活躍の主な要因は、当noteでも常々話していることですが中距離というカテゴリーにおいて日本は世界トップレベルであり、日本競馬全体が中距離路線に最も力を入れている事が挙げられます。当記事の冒頭で取り上げた一昨年の1~4着独占という事実はそれを象徴する良い例かと思います。
今年は少頭数に落ち着いたメンバー構成の中、日本からは3頭が出走を予定しておりタイトル獲得へ向けて盤石の布陣と言えるでしょう。
しかし、今年参戦する海外勢はこれまで以上に手強い相手であり一昨年のような上位独占は至難の業。そのライバルたちがどれほど強敵なのか、日本馬の勝機はあるのか等、ここからしっかりとご紹介して参ります。
海外勢注目馬
まず1頭目にご紹介するのは、昨年のこのレースを制したディフェンディングチャンピオン・ロマンチックウォリアー。
今年は連覇を狙っての参戦というだけでなく、昨年暮れの香港カップでも日本馬5頭を含むあらゆる強敵を全く相手にせず4馬身半差の圧勝劇を飾り、現・香港中距離界の最強馬と言える存在。
今年に入ってからの2戦(スチュワーズC、ゴールドC)はいずれも2着に敗れていますが、相手は香港現役最強マイラーのゴールデンシックスティなので致し方なし。スチュワーズCではマイルの舞台でありながらカリフォルニアスパングル(香港マイル覇者)に先着を果たしており、この馬の能力は世界でもトップクラスと言えるものがあります。
この馬の最大の特徴は何と言っても二の脚の速さでスタートしてからの加速がとにかく素晴らしく、楽に好位が取れる強みは12戦11連対という抜群の安定感にも繋がっております。
出足が速いだけでなく終いもしっかりしているため、この馬を負かすのはゴールデンシックスティのような国内最強クラスの馬でないと難しいのかなとも思ってしまいます。
余談ですが、前走のゴールドCは自身の得意舞台である2000m戦での敗戦だったため、いかにゴールデンシックスティが強いかがよく分かるかと思います(当方、ゴールデンシックスティのファンなので敢えて強調しておきます笑)。
2頭目にご紹介するのは、ユニコーンライオンが出走した先日のクイーンエリザベスSで2馬身半差の完勝を収めたドバイオナー。
3歳時にはフランスで重賞を連勝し、英チャンピオンSでも2着と好走するなど能力の高さは常に見せていたものの、その後はやや取りこぼしも目立っており「ワンパンチ足りない」という印象が強かった当馬。
ところが5歳になった今年、豪州の地に渡って圧勝とも言える勝ちっぷりでG1連勝を果たし、秘めたる能力が一気に覚醒。
欧州競馬は中長距離路線が盛んである反面、豪州競馬の中距離路線はややレベルが落ちるため、その点は十分考慮する必要があるものの、この馬自身が5歳になって本格化したことはレースぶりからも間違いありません。
今回は再び香港・日本の中距離トップホースを相手にどれほどのパフォーマンスを見せられるか、というのが最大の焦点となるでしょう。
本格化前だった一昨年の香港カップでも差のない4着と好走しているだけに、ここでの走りに注目の一頭であります。
同レースにおいても、ブックメーカーによる前売りオッズでは上記2頭が1、2番人気に支持されており、その他の海外馬2頭・マネーキャッチャー、トゥールビヨンダイヤモンドは日本馬からもやや離されたオッズとなっております。
その伏兵2頭は昨年の香港カップで3着・4着にそれぞれ激走し、5頭中4頭の日本馬に先着を果たしているだけにここでも注意が必要なのは間違いないですが、自国での前哨戦を含めてロマンチックウォリアーには完敗の内容が続いており、現実的に勝ち負けまでは少々厳しい印象を受けてしまいます。
加えて、今回は香港カップと打って変わって7頭立ての少頭数に収まったことで展開の紛れが起こりづらくなるため、地力勝負となると果たしてどうでしょう。
日本馬について
今年の同レースに日本からはジェラルディーナ、ダノンザキッド、プログノーシスの3頭が参戦を予定。
ジェラルディーナは課題だった気性面の難しさが昨秋辺りに解消されて一気に本格化し、エリザベス女王杯でG1初制覇。
ダノンザキッドはホープフルSを制して以降、思うような成績が残せず昨年後半からようやく成績が安定し始めて前走の大阪杯も3着。
プログノーシスはなかなか続けてレースに使うことができず出世が遅れたものの、昨秋からようやく在厩でも調整することができ前走の金鯱賞で待望の重賞初制覇。
3頭がそれぞれに大きな課題を克服し、紆余曲折を経てここまで辿り着いており、純粋にその苦労が報われてほしいという想いがまず第一にあります。
海外遠征という点においても、ダノンザキッドは昨年の香港カップですでに経験済みですが他2頭は今回が初めてであり、プログノーシスに関してはG1自体も初挑戦。
様々な過程を経ての挑戦であるだけに、勝ち負け関係なく今回の一戦が各馬のいい経験になってくれる事が一番だと思っております。
適性面に関しては3頭とも中距離で結果を残しているため特に問題はないと思いますし、シャティン競馬場自体が日本馬にとってあまり不足のない舞台でもあるのでそこまで懸念する必要はないでしょう。
それ以上に重要なのが『相手関係』で、今回は最も有力視されているロマンチックウォリアーが日本馬にとっても最大のライバル。
中距離のカテゴリーでは世界トップレベルの日本馬を相手に香港カップであれだけのパフォーマンスを見せていますので、まずはこの大きな壁をどう崩すかがポイント。
ダノンザキッドは同レースで2着に好走しましたが、後方でリズム良く競馬をしての結果だったため今回も同様の競馬ができるかどうか、そしてその競馬で逆転できるかどうかに尽きるでしょう。
ジェラルディーナとプログノーシスは外国馬と未対戦のため比較はできませんが、2頭とも秘めている能力は相当なものがありますので上手く競馬ができれば十分逆転のチャンスはあると思います。
特にジェラルディーナに関しては、あくまでも個人的な印象ですが中間の状態がかなり良さそうに映るため私自身とても期待しております(もちろん応援は3頭とも優劣付けず行いますが笑)。
まとめ
今回は日本で馬券発売が行われる2競走について書かせて頂きましたが、文中で申しましたように私自身はゴールデンシックスティのファンでもあるのでチャンピオンズマイルの馬券発売がない点、そして同レースの特集記事が書けなかった点はとても残念に思っております。
(記事を書いたとしても偏った内容になりそうですが…笑)
そんな中でもチェアマンズスプリントプライズは成長一途を辿るアグリの大きな挑戦、クイーンエリザベス二世カップは強力3頭で目論む世界制圧と、非常に見応えのある構図となっており、すでにワクワクしている自分がいるのも事実です。
ご紹介したように現在の香港競馬は世界トップクラスの実力馬が多数君臨しており、大幅にレベルが上がっている日本馬でさえ打ち破るのは容易ではありません。
そういった力関係などの兼ね合いをじっくり見極めながらレース予想・馬券購入をして頂くのがよろしいかと思いますので、今回の記事が少しでも皆様の参考になりますと幸いでございます。
以上、今週末に開催される香港チャンピオンズデーについての特集でございました。
同日には伝統のG1・天皇賞(春)も開催されますので国内外で大いに競馬を楽しんで参りましょう!
貴重なお時間の中、最後までお読み頂きましてありがとうございました🙇♂️