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子育中の私が一番ほしかった言葉
ある日突然決まった夫の出張。しかも期間は1ヶ月。
息子が生まれてからまだ10ヶ月経つけど、1ヶ月も2人きりで過ごしたことなんてもちろんないから最初は不安しかなかった。
まず私がしたことは仕事を減らすことと、「心穏やかに笑顔で息子と接する」という目標を立てた。
仕事は現在発注していただいている仕事だけに注力して、新規の案件は断る&提案しないことにした。フリーランス万歳。
そして「心穏やかに笑顔で息子と接する」という目標。これが意外と難しいと気付いたのはワンオペ3日目。
「え?早すぎん?まだ3日目だよ?」と思っている人も多いと思う。本人でさえそう思っているんだから。
いや、でも言い訳を聞いてほしい。
まず、今まで食べていた離乳食を拒否。順調に食べてくれるのは最初の10口程度で、あとは小指の先が入るか入らないか程度の口しか開けてもらえず完食するのに1食1時間かかる。これが3回となると結構精神にくる。
1週間くらい続いたところでちゃぶ台をひっくり返したい衝動に駆られるも、グッとこらえて自分の指毛を数えるという奇行に走り感情を殺す。
次に、家中の引き出しからすべてのものを引きずり出す。いや、君が物をなんでも出すなら私が片づければいい。……きっとぺこぱの松陰寺太勇さんならこう言うのかもしれない。私だって最初はそう思って「たのしいね~」「そんなものまで出しちゃうの!?」なんて合いの手を入れながら付き合っていた。
だけどそれがずっととなると、こちらも精神にくるのだ。一生懸命書いた文字を、書いたそばからdeleteされている気分に似てるかも。
極めつけは夜泣き。8時半に寝るものの必ず11時~12時の間に火がついたように泣いて飛び起きる。
この「離乳食拒否」「散らかしまくり」「夜泣き」が本当にきつい。何がきついって、この辛さに共感してくれる人がいないことと、手伝ってくれる人がいないこと。
本当なら、夜帰ってきた夫に「今日は昼の離乳食ぜんぜん食べてくれなくてさぁ~」なんて愚痴ってスッキリできる。だけど夫は出張中。元々あんまり連絡を取る方ではない2人だから、「今日のできごと」として愚痴を一方的に送り付けるのはできなかった。
だけどストレスは増えていく。ついにどうしようもなくなった私は5年前にママになった友達に連絡して愚痴を聞いてもらうことにした。本当は顔を見て話しを聞いてもらいたかったけどコロナめ、許せん。
高校の時からの友達でなんでも話せる間柄の友達。遠慮なく思っていることをお互いなんでも言い合ってきたから、育児辛い、ワンオペきつい、という誰しもが直面する愚痴に「甘えんなw」なんて言われるかと思ってた。
だけど友達は、私の愚痴に時々うんうん言いながら「私もそうだったよ~」と共感してくれた。久しぶりに大人と話したこともあってか、誰かに共感してもらえることがこんなにも心安らぐことなんだと思った。
そして私の「全然離乳食食べてくれなくて大きな声だしちゃってさ…」という愚痴に対しては「わかる。意味ないんだけどつい感情的になっちゃうよね。みんなそうだよ~」と言ってくれた。
小さい子供に大声を出すなんて、サイテーなのは自分でもわかってる。友達もそう思ってるはず。でも否定するでもなく共感してくれた。
正直「みんな」といっても、友達の知り合い数人とか、もしくは友達が勝手にそう思っているだけかもしれない。エビデンスなんてないと思う。
だけど私はこの「みんな」という言葉にすごく救われた。
シチュエーションが違えばあまりよくない方にとらえがちな「みんながやってるから大丈夫」精神。例えば、万引きでつかまる高校生の言い訳の「友達もやってるから」。停めちゃいけないところに自転車を停める人の言い訳の「みんなここに停めてるから」…。
赤信号みんなで渡れば…ではないけど、ワンオペ中の私の一番欲しかった言葉は「みんなそうだよ」だった。何度も言うけどその言葉に本当に救われた。完璧じゃなくてもいいんだと思えた。
みんな感情的になっちゃうこともあるし、みんないつも笑顔でいられるわけじゃない。
当たり前のことなのに、誰かに言われるまで気づけないくらい私は疲れてたのかもしれない。
今はワンオペラスト1週間というところまで来ているけど、四苦八苦しながらもなんとか笑顔で毎日過ごせている。