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Golden camel's journeyと『シェルタリング・スカイ』

こんにちは、ゆーつうです!

Golden camel's journeyというNFTコレクションを運営しています。

黄金のラクダが世界を旅するというコンセプトで、物語をそえてOpenSeaで出品しています。

「Golden camel's journey」
■Twitter
https://twitter.com/goldencamelNFT

■Opensea
https://opensea.io/collection/goldencamel-season1

今日はどうして「Golden camel's journey」を運営しようと思ったのかを話していきます。

僕がこのコレクションを運営するに至ったかについて書いていきます。


2020年のモロッコ旅行


直接的な影響は2020年1月にモロッコ旅行でサハラ砂漠を訪れたことです。

コロナ禍前の最後の海外旅行でした。

中国の武漢がコロナウイルスで大変なことになっているという情報が世界を駆け回っているとき。

2020年1月といえば、うっすらとした不安を抱えながらも、まだまだ他人事に感じていた頃です。

海外旅行好きなので、コロナ禍前最後の海外ということで特に印象に残りました。また早く海外旅行したい!
(コロナ禍の現在でも工夫して留学や海外旅行している方はたくさんいることは重々承知のうえで)

モロッコ旅行のハイライトはサハラ砂漠でした。

6泊9日という超弾丸ツアーだったんですが、とても充実した時間をすごせました。

そこで感じたことが、今回のコレクション運営の源泉になっていると感じています。

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モロッコ旅行での一コマ。世界遺産都市フェズの市街地をぬけて丘の上から撮影。


ポール・ボウルズ『シェルタリング・スカイ』


そして、もう一つは北アフリカや砂漠をモチーフにした作品からの深い影響です。

特にポール・ボウルズという作家から影響を受けました。

ポール・ボウルズという作家をご存知でしょうか?

NY出身の小説家で、ギンズバーグやバロウズなどのビートニク文学の世代に強い影響を与えたことで知られています。

特筆すべきは彼の経歴で、モロッコのタンジールを終の棲家とし、半世紀にわたって生活をしました。

代表作は1949年発表の『シェルタリング・スカイ』です。

映画好きならベルトリッチ監督の映画でご存じの方も多いはず。

戦後の北アフリカをアメリカの3人の有閑階級(今でいえばファイアー状態にある人達?)が旅をし、それぞれの結末を迎えるという物語です。

僕はこの小説がとても好きで、何度も読み返し、深い影響を受けています。

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サハラの沈黙


『シェルタリング・スカイ』は北アフリカの港町から、サハラ砂漠を旅する物語です。

作中では、さまざまな表現でサハラ砂漠が語られます。

その中でも好きなのが、「サハラの沈黙」という砂漠の静けさを描いた表現です。

"この場所の静けさにうたれた。千マイル以内に一人の生きものもいない、といった考えすらうかぶ。名高いサハラの沈黙。こうして何日かたてば、自分の呼吸する音が、今感じるような大きさできこえてくるのではなかろうか-『シェルタリング・スカイ』p272"

静けさゆえの五感の際立ちと、1000マイルという途方もない空間の知覚が同時におこっていることが表現されています。

こうしたポール・ボウルズの鋭くも実感のこもった文章がとても好きです。

2020年から2021年にかけてポール・ボウルズの作品をよく読み、考えていました。

実は今年、リアルな場で仲間と読書会をやっていて、ポール・ボウルズとモロッコ旅行をテーマに文章を書きました。

ちょっと長いのですが、僕がサハラ砂漠で感じたことを表現しているので、引用させてください。

サハラ砂漠について書いた文章

モロッコに旅行する前までの僕にとって、ポール・ボウルズはある種のアメリカ文学のはみ出しものだった。ニューヨーク生まれのインテリが、戦後にアメリカ文明への疑問をいだき、第三世界への旅をはじめる。現地のリアルではなく観念的な北アフリカを描き、独立前のモロッコを神聖視し、移住までした人。そうした僕のポール・ボウルズへの印象は、ボウルズ作品を読み漁った今でも残ってはいる。ボウルズは半世紀にわたってタンジールで暮らしたけれど、最後までアメリカ人作家として生きたのだと。けれど、とても共感した部分がある。そしてそのために、モロッコ旅行から帰った後に、一年以上掛けて絶版になっていたボウルズ作品を集める羽目になったのだ。


 6泊9日のモロッコ旅行のハイライトはサハラ砂漠でのグランピングだった。まず、ガイドの運転する車で世界遺産都市フェズから7時間かけてサハラ砂漠最寄りの街であるエルフードへ向かった。そこでTOYOTAのランドクルーザーに乗り換え、ベルベル人の青年による運転で岩石砂漠を駆け抜けた(彼はオーダーメイドだという上質なジェラバをまとっていた)。やがて砂砂漠の砂丘が見えてくる。観光写真でよく見るような、僕らが普段からイメージする砂漠そのものが横たわっている。広大だ。僕が人生で知覚した全ての空間を足したよりも、サハラ砂漠は広大だった。地中海側のアラブ世界とは違う、そこはベルベル人をはじめとする遊牧民の世界なのだ。
 砂丘に近づいたとき、僕はドライバーの青年に普段はどこで暮らしているのかを聞いた。いつもは砂漠のキャンプ拠点となるメルズーガで暮らして観光客の送迎の仕事をしているが、生まれは別だという。その後で彼は一言こうつけ足した。「I'm from Sahara」

 サハラ、その言葉は僕にはとても観念的に響いた。どれだけ足掻いてみたって、サハラという土地をリアリティーをもって感じることなんてできそうになかった。理解への足がかりさえ、得られそうにない。車は砂丘の入り口に到着する。車を降りると僕らはラクダ飼いの青年に引き渡され、一人ひとりラクダに乗せられる。一繋がりになった6頭のラクダは青年に導かれて砂丘の奥へと進んでいく。ラクダの歩みは遅いが歩幅はでかい。ぐんっと一歩ずつ前に向かっていく。大人しく不思議な動物だ。
 ラクダにまたがった目の高さは2m50cmは超えるだろう、落ちても下は砂だから大怪我にはならないだろうが、なかなかスリルがある。ラクダを信用して身を預けるしかなくなる。首筋に手を当てて撫でてみる。短く太く束になった毛はふさふさという感じではないが、指を絡ませると妙に気持ちいい。ラクダ飼いに従って群れになって乱れず歩いている。僕らが写真を撮るときには足をとめ、見せ場を作ってくれる。
 砂漠に降り立つ。靴に砂が入りこむ。指で砂を掴む。さらさらとこぼれ落ちていく。思わず駆け出し、砂丘を一目散に駆け上がる。頂上にたどり着くと、地平線の果の先まで続く砂漠が見える。僕らが立っている場所より先には足跡一つすらない。人間が気軽に立ち入ることのできるギリギリの場所、自然界との境界に立っている。ここから先へ行ってしまえば、二度と戻ることはできない(かもしれない)。そういう場所に立っているのだ。
 夕食は賑やかだった。グランピング施設の中央では焚き火を囲み、ひときわ大きいテントの中では、街なかで食べるのと変わらない食事が用意されていた。甘い食べ物だ。パンとフルーツも並べられている。ベルベル人の青年たちが集まり、ベルベルミュージックを聴かせてくれる。打楽器の音が鳴り響き、歌がまじわる。スマホを取り出して動画を撮る。Wi-Fiも飛んでいるからその場でインスタグラムに投稿することもできる。

"この場所の静けさにうたれた。千マイル以内に一 人の生きものもいない、といった考えすらうかぶ。名高いサハラの沈黙。こうして何日かたてば、自分の呼吸する音が、今感じるような大きさできこえてくるのではなかろうか-『シェルタリング・スカイ』p272"

 音楽の輪を離れ、グランピング施設をでて真っ暗な砂丘へ向かう。一つの丘を越えて少しくだれば、グランピング施設の明かりは見えなくなり、星明かりが丘陵につくる淡い影だけが頼りになる。砂は光を反射していない。空には小さな粒上の光が無数にきらめいている。砂の上に大の字に寝転ぶ。昼間の熱を放出した砂はひんやりとしている。砂丘上を這うように風が吹き抜け、鼓膜を直接揺らす。砂と空と風を感じる。太鼓の音は遠のいていき、やがて鳴り止み、沈黙が鳴る。

砂漠からはじまる旅を描きたかった

引用文にもある通り、帰国してからずっとポール・ボウルズの作品を読み漁っていました。

ポール・ボウルズだけでなく、砂漠を題材とした作品も手に取りました。

砂漠はとても無慈悲な場所です。それでいて強烈に人をひきつけます。

僕はもともと、旅というものが大好きです。

今はサラリーマンなので、まとまった時間も限られていますが、海外へ行くときは旅の要素を持ち込むように意識しています。

旅の要素とは、偶然性です。旅先でなにがおこるか分からない偶然性の余地をつくっておくことです。

例えば、あまり予定をかっちりしないとか、現地ではできるだけ公共交通を使うとか、いい意味での隙をつくっておくとか。トラブルも含めて、何かがおこるかもしれない状態に自分をさらしておくのが、旅における偶然性の余地を保つコツです。(もちろん、リスク管理とのバランスもとりながら!)

こうした偶然性を担保しながら旅行をすることが、ただの観光と旅との違いではないかと思っています。

うまく表現できないのですが、そういう瞬間にこの世界の偉大さみたいなのを感じる瞬間があるんですね。

僕は砂漠でそうした偉大さを感じる瞬間があったし、砂漠を描いた作品からは、同じような感慨があるように思います。

砂漠が何を象徴しているのか、今はまだ上手く言葉にできませんが、これから作品を進めながら思考してまいります。

Golden camel's journey anoter story

ところで、OpenSeaでGolden camel's journey anoter storyというコレクションの2ndラインを立ち上げました。

コレクションのメイキングや、本線とは違うことを展開し、より深く楽しめる作品を発表していきます。

最初の作品として、僕がサハラ砂漠で撮影した2枚の写真をミントしています。

砂漠で得た感動の一端が、この2枚の写真につまっています。

ぜひ、一度ご覧頂けると幸いです!!

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■OpenSea
» Jan. 24, 2020 Sahara
» Jan. 25, 2020 Sahara

それでは!!


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