五ノ井里奈さんのお話を聞いて
先日、五ノ井里奈さんのお話を聴かせていただく機会をもらいました。
簡単ですが感じたことを書き留めておこうと思います。
五ノ井里奈さん
五ノ井さんの名前を耳にされたことはありますでしょうか。
詳しくはWikipediaなどを参照いただくのが良いかと思いますが、自衛隊を志されました。
東日本大震災などでの自衛隊の活動に感銘を受け、自衛隊入隊を志されました。
しかし、入隊後複数の隊員から性被害を受け、それを2022年6月に告白されました。
その後は、各種メディアでも報道されている通り、元自衛隊の3名の方との和解成立に至っています。
講演
講演の中では、柔道に明け暮れた学生時代、自衛隊に志され入隊された後、そこから性被害を受け、そして自衛隊退職後覚悟を持って様々な活動を実施されてきたことについて話されていました。
1つ1つ丁寧に、そして冷静に、話されていらっしゃいました。
エピソード1つ1つが、ずっしりと心に突き刺さりました。
弁護士を立てなかった
金銭回収ではなく、自衛隊員からの謝罪、自衛隊の組織改善を求めていた五ノ井さんは、弁護士を立てずに戦うことを決められたそうです。
最初から目的を明確に持ち、強い覚悟で活動されてきたことを知り驚きました。
YouTubeでの発信・Xでの発信
YouTubeで発信することを決められた時の話も身に染みました。被害について告白する際、絶対涙を流さないと決められていたそうです。「涙を流すことで本当に伝えたいことが伝わらなくなる可能性があると思った」と話されていました。
講演の中でも、過去の被害の話をされることは当事を思い出し本当に大変なことだと思うのですが、涙を見せることなく、淡々と話す(ように見える)様子は、壮絶な過去を乗り越えられてきたからこそなのだろうと感じました。
しかし、実名・顔出しという大変な勇気を持った行動にも関わらず、Xのダイレクトメッセージでは激しい誹謗中傷も。本当に残酷な世の中だと心の底から思いました。Xで飛び交う誹謗中傷、これは本当に何とかならないものでしょうか。
隊員からの謝罪
Xの中での大きな反響があった一方で、SNS以外での世間の反応はそれほど。満を持して開いた会見も参加記者僅か2名と大きな記事にならなかったなど、様々な壁に当たられた話を聴かせていただきました。
そのような中でも声をあげ続け、防衛省による再調査などを経て、最終的には求めていた元隊員からの謝罪の機会。こじらせてしまうとこれだけの長い年月を要してしまうものなのだと思いました。
五ノ井さんはなぜ戦い続けることができたのか
お話を聞きながら、周りの助けがない中で、なぜ五ノ井さんは戦い続けることができたのだろうかと常々不思議に思っていました。米TIME誌の「次世代の100人」に選ばれた五ノ井さん。その後お会いされた方との話を通して、「自衛隊へは恨みや憎しみは全くない。自衛隊は変われる、変わってほしいという愛があったことに気づいた」と話されていました。
この話は、本当に衝撃でした。
トラウマになる傷をつけられ、戦い続けられた五ノ井さんの心の大きさに驚きを隠せませんでした。心の底から自衛隊を信じていたからこそ、理不尽な誹謗中傷の中でも意志を貫くことができたのだろうと思います。
感謝
志してきた自衛隊の中での性被害は、一生五ノ井さんの心に傷として残るでしょう。
私には到底五ノ井さんの気持ちを想像し切ることができません。
そして、さらにその苦しい中で、実名・顔出しで告白してきたことは、とてつもなく覚悟と勇気が必要だったと思います。「当時は食事も味がしなかった。少しずつ、食事が美味しいと思えるようになってきた」そのように話されていたことが、全てを物語っていると思います。
お話を聴かせていただき本当にありがとうございました。
この後の五ノ井さんが誰よりも幸せに暮らせることを心より願っております。
振り返って思うこと
五ノ井さんの活動はXを通して拝見していました。顔出し実名でかつ自身の辱められた過去を語る大変さ。改めて本当にすごい覚悟だと思いました。
私は弱く、臆病な人間です。昨年頃からYouTube、新聞、テレビ取材に顔出しで応じているものの、実名顔出しでどんどん出ていけるかと言われると、正直自信がありません。できる範囲で少しずつ勇気を出すことしかできていません。
ただ、おかしなことはおかしい、と引き続き言い続けられるよう、これからも活動を続ける次第です。
そして、行動を支えてきた愛について。やっぱり私は、どこかで家族への愛情が残っているのだろうと思います。マルチにハマってしまい、家族が離れ離れになっていった子の状況に対し、まだ希望を捨てていないのだと思います。その気持ちを感じることができたのも、今回のお話を聞けたからだと思います。