飛び出すエゾシカに注意
車で仕事場まで40分くらいかけて通勤している。山あいの国道を走って行くが、心配のたねがエゾシカの飛び出しだ。最近はハンターが高齢化などで減少して、エゾシカは山林内で増えていく一方のようだ。国道のふちや法面でエゾシカの群れが草を食んでいる。その横を車が走っていく。そして国道に飛び出すエゾシカが車に轢かれる。秋になると春夏の頃より余計にエゾシカが轢かれているようだ。毎朝の通勤の車内から、前の晩に轢かれたエゾシカの死骸をみる。ほとんどがひどく無惨な状態になっている。朝から気分が悪い。
エゾシカは決して小さな生き物ではないので、普通の速度で走っていても、衝突した時のダメージは大きい。車は大抵ボンネット部分が大破してしまい廃車になることも多い。去年の秋にはこの国道で、エゾシカの飛び出しを避けようとしたらしい車が対向車線にはみ出し、数台を巻き込む死亡事故もあった。
エゾシカの飛び出し対策のひとつに「鹿笛」がある。ラッパのような形状の品物で、車のフロント部分に取り付け、走行中に風で発生する超音波で、道へ飛び出してくる動物との衝突リスクを軽減するらしい。「〇〇大学による実証実験済み」などと書かれている。動物だけに聞こえる超音波なのだろうが、本当に効果があるのか、いまひとつわからない。そういう対策をすることで、心強くなるというのはあるかもしれない。
最大の対策は車のスピードを出さないことだが、ゆっくり走っていると、交通量の多い国道のこと、後ろからあおられる。車間距離を詰められると、エゾシカの飛び出しで急停車しても、後ろから追突される危険性が高まる。結局、周りの車の流れに沿ってある程度のスピードで走らざるを得ない。もうエゾシカを轢くか轢かないかは「運」次第のよう。
あまりにエゾシカの飛び出しと死骸の有り様がひどいので、ちょっと遠回りになるが、並行する別の国道を通ることにした。そちらの国道はシカよけの柵が国道沿いに張り巡らされている区間が多く、少し安心できる。それでも飛び出しを完全に防ぐものではなく、注意するのは変わらない。
エゾシカはつぶらな瞳で首を曲げてこちらの方向を見る。群れだと一斉に同じ方向を見る。轢いてしまうと、車も壊れてお金がかかる上に、事故の衝撃は身体にも精神にも負担だろう。何よりエゾシカがかわいそうだ。慎重に運転する毎日が続く。秋も終わりこれから冬を迎える。もうすぐ雪も降って、圧雪や凍結した路面への注意もしなければならない。
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