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KYT:三脈をみる【整体操法】

本記事では,体育家・野口晴哉の教えの一つ:三脈をみること(三脈術,三脈法)について述べる.
これは,脈が災厄に対するセンサの役割を果たすというものだ.
どんな KYT(危険予知訓練)でも身につかない,頭でなく体による危険予知法だから,特に直観の鈍い人は覚えておきたい.


1. 脈の乱れ

前提知識として,心身の異常は脈の乱れに現れる.
正常なときは一息四脈で呼吸と脈とが必ず同期しているが,少しでも異常があると乱れる

風邪の治り際にはほとんど乱れがないが,これは熱自体すでに風邪が治ってゆくはたらきであるためだ.
そこで風邪の経過における熱の状態は,簡易的な予測式体温計よりも,むしろ脈でみたほうが間違いがない.

また平温(平熱)は人によって異なるということも,体温の代わりに脈の数を測る利点である.
平温における成人の正常な脈は 78–80 bpmで,それ以下は平温以下,それ以上は平温以上とみなす.
子供の平温は 80 bpm より少し多いが,老化とともに減少し,死ぬ前は 20 bpm を割ることさえある.

すなわち脈の減少は体力の低下を意味する.
したがって風邪の経過において,発熱している間は心配ないが,脈が 80 bpm を割る平温以下の時が急所となる.
詳しくは,野口晴哉:『風邪の効用』を参照されたい.

2. 三脈をみる

三脈とは,橈骨(とうこつ)動脈と,左右の頸動脈/顔面動脈との3箇所の脈をいう.
三脈の法は,古来より吉凶の判断に用いられてきた.

さん‐みゃく【三脈】
〘名〙 左右の頸動脈と右手の脈との三か所の脈搏を同時に調べて、その脈搏の整、不整によって吉凶を判断する占法。
*浄瑠璃・聖徳太子絵伝記(1717)三
「右の手の三脈が三さがり、二あがりにぴんぴんしたる見立也と」

小学館国語辞典編集部:『精選版 日本国語大辞典』,(小学館,2006).

橈骨動脈は,血圧が 80 mmHg 以上あれば触れる脈であり,脈拍測定の標準となっている.

顔面動脈は,咬筋(こうきん)の前方にある大迎(だいげい)というツボを通っている.
左右の歯の下を左手の指の腹ではさめば触れるが,耳の下の頸動脈でもよい.

ヒューマン・アナトミー・アトラス

三脈をみる具体的な方法は次のとおり.

「左手の親指と中指で、両耳の下の脈を軽く押さえ、その左手首の脈を、右手の中指で軽く押さえる。三つの脈が揃っていたら、その場に居てもいい。もし乱れていたら、すぐに其の場を離れなさい」

「月刊全生」昭和56年11月号 野口昭子『予知』

まとめると,三脈をみることで現在地や目的地に迫る災厄を予知できるという.
特筆すべきは,予知の対象が自然災害に限らず,事故攻撃などのあらゆる身の危険であるという点だ.

災厄が大きいほど三脈も早期に乱れるというから,今日明日の危険なのか,二週間先の大災害なのかという判別は難しい.
しかし,そこへ行くと決心した場所の危険も予知できるという特性を応用したり,周囲の人にも三脈をみてもらったりすれば,その範囲は予測できるだろう.

このような人間の超能力に関する研究に科研費は出ないから,「非科学的」の一言で終わりだ.
ところが,そう考えるのは大脳思考が発達した人間だけで,本能によって行動する他の全ての動物が——ナマズしかりカラスしかり——直観的に災厄を予知している可能性は否定できない.

3. 決定論

三脈をみるというのは危険予知法であるが,人の死期を知る方法もある.
野口によれば,鳩尾の下二側にある禁点に米粒大の硬結ができれば,その人は4日以内に死ぬという.
このとき体の波は停止し,体調が急に 良く/悪く なったかのように見える.
さらに禁点の硬結も,病気だけでなく,自殺を除く全ての死因によるというから,まさしく寿命予知といえよう.

また動物の寿命は,脈打つ,すなわち心臓が鼓動できる回数によって決まる.
一般にその上限は種によらず一定と考えられているが,大型の哺乳類は bpm が低いため長寿で,小動物は bpm が高いため短命である.
したがって,心拍数を上げることを目的とする有酸素運動は寿命の浪費といえる.

これは上下型の要求の方向に通ずる話なのだが,詳しくは次で記事で述べている.

このような危険予知・寿命予知は,この世に偶然という「科学的」なランダム性はなく,全てが必然であるという決定論を裏付ける.
したがって,野口整体の実践者や Anon にとっては素直に理解できても,「常識的」な一般人にとっては認知的不協和によって到底,受け容れがたい内容だろう.
しかし,三脈をみる方法を覚えておけば,災厄に際して多くの命を救える可能性があるのだから,KYT や防災の一環として知っておいて損はないはずだ.


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gol x
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