日記:ヤモリ
うちにすんでいるヤモリ.
変温動物なので,寒さでぴくりとも動かなかったが,そのうちどっかいった.
ヤモリ(守宮,家守)は,有鱗目ヤモリ科の爬虫類で,トカゲの一種だ.
日本でみられるのはニホンヤモリだが,その名に反して日本固有種ではなく,ユーラシア大陸からの外来種と考えられている.
似た生き物にイモリがいる.
学校で習ったように,イモリは両生類なので,水辺に住んでいる.
一方,ヤモリは爬虫類なので,民家でもふつうに見られる.
家の害虫を食べてくれるので,家を守るのがヤモリだ.
うちでもタマゴを産んで繁殖しており,よく窓に貼りついている.
このように垂直なガラスに貼りつけるヤモリだが,じつは吸盤をもたず,粘着しているわけでもない.
その役割をはたすのが,足の裏にある|趾下薄板《しかはくばん》という器官だ.
趾下薄板には,μm = $${10^{-3}}$$ mm スケールの剛毛が生えている.
この剛毛は,さらに細い nm = $${10^{-3}}$$ μm スケールの毛で構成されている.
この微細な毛が,壁面の凹凸に入りこむことで,弱い化学結合力:ファンデルワールス力が生じる.
この相互作用力は,原子・分子間距離の 6 乗に反比例する.
趾下薄板の細かい毛と壁面の凹凸がかみ合うと,この距離が非常に小さく,また数が多いために,壁に貼りつけるほどの大きな付着力を生ずる.
この原理は,生物模倣(バイオミメティクス)ですでに応用されており,はがしても付着力が復活するヤモリテープとして売っている.
↓のように,網戸にも難なく貼りつく様子をみると,吸盤や粘着でないことがよくわかる.
また,吸盤や粘液とちがい,↓のように垂直壁面上をすばやく動きまわれるのも,ファンデルワールス力のメリットだ.
もしヤモリを見つけても,益虫とおもって,むやみに殺さないで;;
一寸の虫にも五分の魂.
家は人間様だけの住処ではなく,実際には,たくさんの小動物たちと共生しているのだ.