【DJVJアドベントカレンダー2021②】音ゲーDJのセトリ作り
★はじめに
本記事は、2021年に開催された《DJVJアドベントカレンダー2021》に投稿した記事の再投稿です。
当時はブログ的な物を持っていなかったためGoogleドキュメントに記載していましたが、この度noteのアカウントを取ったので過去記事もこちらに移植していこうと思った次第。
https://adventar.org/calendars/6473
せっかくなのですこーしだけ現在に寄せた内容に修正しております。何卒。
★ここから本文
〇ご挨拶・前文
皆様こんにちは。
札幌で音ゲー・東方を中心としたDJ活動・音ゲー・日向千夏・フラワーナイトガール・要塞少女などを嗜んでおりますご苦労と申します。
昨年に引き続き、盟友あどるさん主催の #DJVJアドベントカレンダー
https://adventar.org/calendars/6473
に寄稿させていただきます。
本記事では、毎月札幌で開催しております音ゲー収録曲オンリーDJイベント「3xICECREAM!!!(サンバイアイスクリーム)」の実際の選曲履歴をもとに、普段音ゲーDJとしてどうやってセトリを作成しているかの一例をご紹介したいと思います。
と言っても既に音ゲーDJとしてご活躍されている各位はとっくにご存知の内容も多いかと思いますので、むしろ「DJ活動をしていない音ゲーマー」の方に音ゲーDJを紹介する中身になるかもしれません。
言うまでもないことですが、これは筆者のやり方をご紹介しているだけなので解釈違い等がございましたら暖かく見過ごしていただければと存じます。
①音ゲーDJとしての「旬の曲」
一般的なDJイベントにおける「旬の曲」と言うと、単純にリリース直後の曲はもちろん
・ニュースがあったアーティストの曲
・映画化が発表された作品の原作の主題歌
など色々な要素があるかと思います。
音ゲーの場合でも
・別機種に移植された曲
・ゲームにリミックスバージョンが収録された原曲
・コースモード(段位認定など)に収録された曲
・音ゲーに収録された既存の版権曲(邦楽・洋楽・アニソン・ボカロ・東方など)
といった要素に対して「旬」判定がなされることがあります。
特に音ゲーは版権曲として一昔前の楽曲が新たに収録されることも珍しくないので、古い曲(なんなら「音ゲー」という物が生まれる以前の曲)が時事ネタ扱いされることも。
最近(注・2021年時点)の象徴的な出来事として、下記2点をご紹介します。
❶セガ音ゲー新作「CHUNITHM NEW(チュウニズム ニュー)」
2021年11月4日に、セガ製作の人気シリーズ「CHUNITHM」の新作が稼働開始しました。事前の公式アナウンスで、上記カテゴリの版権曲はもちろん、他社音ゲーの有名曲も含めた大量の新曲が発表されており話題になっておりました。そんな中、稼働前日の公式生放送で発表された一曲
ピアノ協奏曲第1番”蠍火” / virkato
の存在は、界隈に大きな(本当に大きな)衝撃を与えました。
KONAMI音ゲーの旗艦タイトル「beatmaniaIIDX」シリーズの曲なのですが、
・2004年の曲ながら未だ色褪せない楽曲自体のカリスマ性
・収録元のIIDXのみならず、KONAMI内の他機種に移植された際も軒並み超難易度譜面
といった特徴を持ち、今なお各社の音ゲー全体でも「とっておきのボス」のような扱いの曲であったため、そんな曲が会社の垣根を跨いで収録されることが発表された時には大いに話題になりました。
またCHUNITHM NEWには、同時にX JAPAN「紅」をセガ所属コンポーザーの光吉猛修氏がカバーしたバージョンも収録されました。原曲は1989年で、CHUNITHMはおろか初代beatmaniaのリリースよりも遥かに前の楽曲なのですが、これすらも音ゲー界隈にとっては「2021年ホットな旬の曲」になってしまうのです。(音ゲーDJでは、ゲームで別人がカバーした楽曲の原曲、逆にゲームに入った曲の別バージョンもレギュレーション内として扱うのが通例です。)
❷スマホアプリ「D4DJ Groovy Mix」
音ゲーは、何もゲームセンターだけではありません。現在はスマホでも様々なアプリが存在して、手軽に音ゲーを楽しめる本当に良い時代です。
そんな中、アニメをはじめ様々なメディアで展開する「D4DJ」の音ゲーアプリには
Give a reason / 林原めぐみ
恋心 / 相川七瀬
のような懐メロが原曲だったりゲーム内キャラのカバーだったりで色々収録されています。
もちろん音ゲーDJイベントの客層は音ゲー曲を聴きに来ているわけで、こんなのばっかり流してたら満足はいただけないでしょう。ただ変化球としてスパイス的に盛り込むのは個人的にはアリだと思っており、一枠の中でどう活かすかはDJの腕の見せ所です。
②セトリ作り(準備編)
ここまで挙げてきた通り、音ゲーDJにおいて「旬の曲」「時事ネタ」といった概念は結構幅広く、その中からどのネタを取り上げるか(逆に一切取り上げずストイックに行くか)はDJ個人やその時々によって大きく変わります。この辺が面白いところですね。
特に弊イベント3xICEの場合は毎月開催なので非常に小回りが利きやすく、普段の個人のスタイルと大きく変わる選曲も比較的やりやすいです。
なおご苦労は毎回REFLEC BEAT収録の「マッハマンの歌」という曲を流しており、実質的な「課題曲」だと思ってください。
基本的にご苦労の選曲の仕方は
・時事ネタ
・実際に最近音ゲーでプレイして良かった曲
・個人的トレンド
・課題曲(マッハマンの歌)
といった所から数曲【今回絶対に流したい曲】を設定して、その間を上手く繋いでいける曲を探すという手法をとることが多いです。
ただ一応音ゲー自体を25年間続けており普通の人よりは色んな曲を知ってるつもりではありますが、いざ選曲の段になって最適な曲などそうポンポン浮かぶもんでもありません。
DJ各位はRekordboxなどの各種DJソフトを使って、フォルダ管理やBPMソート、アーティスト検索などで曲を探すことが多いと思いますし、自分ももちろんそうしています。
しかし! ここで音ゲーDJならではの偉大な楽曲検索ツールがあるのです!!
![](https://assets.st-note.com/img/1734442232-rQZFiUWtkIR9ovJz71BCPGyn.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734442240-FkeiOVszGEu8wgphT9r1yAZf.png?width=1200)
そう、音ゲー攻略WIki。
有志がゲームの仕様などをまとめてくださっているサイトなのですが、ゲームに収録されている楽曲が一覧でまとまっている素晴らしいデータベースがあるのです。もちろんゲームプレイヤーとしてもお世話になっているのですが、DJとしても有難く(本当に有難く)使わせていただきましょう。
アーティスト名の検索はもちろん、例えば「15」でページ内検索をすることでBPM150台の楽曲、なんてのも検索可能です。(「レベル15」のような表記もヒットするけどさすがにそれは仕方ない)
beatmaniaであれば「TRANCE」「HOUSE」といったジャンル名での検索もできるので、本当に欠かせない情報源です。編集者様には足を向けて眠れません………
さらに、本来探していた曲でなくともたまたまWikiで目に入った曲を急に流したくなる、なんてことも日常茶飯事です。
こういった物も上手く活用しながら、良さげな曲を集めていきます。
た・だ・し!
音ゲーに限らずDJの大前提として、自分が流したい曲を順番で野放図に流すだけの物を「DJ」とは基本的に呼びません。
「曲を知らない(文脈が通じない)人にも違和感を持たせない」ようにするためには、例えば関連ない曲でジャンルもBPMも違う曲を無造作に繋げたりとかは基本的にNGです。(たまにそういうプレイでも説得力を持たせてくれるDJもいますが、あれどうなってるんでしょうね。自分には無理です。)
似た感じの曲で徐々に雰囲気を変えていくとか、ジャンルは変わってもBPMは揃えてノリを止めないようにするとか、最低限DJとして成立するような選曲を心掛けています。
③セトリ作り(実践編)
では前文はこのくらいにして、実際に過去の開催分からご苦労のセトリ2回分を取り上げ見ていきましょう。
※当時は2021年のセトリを解説しましたが、せっかくなのでここだけ2024年開催分を取り上げます。
例1:2024年10月27日開催分
![](https://assets.st-note.com/img/1734443689-hCAXD2WufGeqaJVbcRvwMFpI.jpg?width=1200)
この回は色々自分的な音ゲーニュースがあった月で、盛り込みたい曲も非常に多くありました。
❶オンゲキのキャラ「東雲つむぎ」がちょうどこの日誕生日だったので、ゲーム内でこのキャラに関係する楽曲を数曲
❷いつもの課題曲マッハマン
❸Steam音ゲー「A Dance of Fire and Dance」からスマホの人気音ゲー「Arcaea」に移植された曲(誰も想像してなかった組み合わせで話題になりました)
❹この月にオンゲキに追加された時事ネタ曲
❺活動を終了していた伝説のロックバンド「FACT」復活の報せ
❻ご苦労の私信で、最近始めた「ポラリスコード」という音ゲーが面白い
これだけの要素を45分に詰め込みたくなっちゃいました。
この中で、❷❸❺については該当曲が1曲しか存在しないため選択の余地はないですが、❶❹❻は条件に当てはまる曲が複数存在するため、全体がDJとして成立するようDJソフトやWikiやYouTubeなどと格闘します。
今回は幸いにも❸の「Third Sun」という曲が途中でBPM150→225にテンポチェンジするので、全体の空気を一転させるのに大きく貢献してくれました。
音ゲーマーには蛇蝎のごとく嫌われるBPM変化曲も、DJにしてみれば大変ありがたい存在なんですよね。しかし罪過の聖堂と恋愛=精度×認識力、おめーはだめだ
例2:2024年12月15日開催分
![](https://assets.st-note.com/img/1734445807-pG1ZMT9dyx7zUIb2XYe3StoW.jpg?width=1200)
この回は↑の10月回以上に色々ありました。
❶12月なのでクリスマスソング(自身含め過半数の演者が取って付けたかのようなクリスマス要素を入れてるの面白かった)
❷イベント3日前に急遽リリースされた、CHUNITHMの新譜サントラから入れたい!
❸イベント3日前に稼働開始した、CHUNITHM新作の収録曲もたくさん入れたい!
❹イベント前日に開催された、バーチャルアイドルグループ「Palette Project」のワンマンライブを祝して1曲入れたい
❺もちろん課題曲のマッハマンも
❻久々に道外ゲストのADOLさんが来てくれるので、ここくらいにしか通じなさそうな「A Dance of Fire and Dance」の収録曲も入れたい
❼セガのスマホ音ゲー「プロジェクトセカイ」から、何故かコナミの「ポラリスコード」に移植された楽曲も入れたい
❽2024年ご苦労が一番刺さった「サンダーレスキュー!」は最後に流したい
という感じで、時事ネタを入れるだけでも40分枠をはみ出しそうな回でした。
一応❺❽以外は該当曲が複数あり、特に❷は選択肢が広いためどうにかなった…という感じです。
ここでもBPM変化曲の「鬼KYOKAN」(BPM160→182)が大活躍。
④もちろん繋ぎのチェックも忘れずに
この章は音ゲーDJに限ったことでなく、DJ一般について言える話です。
ここまで散々選曲のあれこれを書いてきましたが、まだこの段階では机上の空論。配置した楽曲が上手く繋がるかは、実際に試して自分の耳で確かめてみないといけません。
・低音(LOW)はどのタイミングで入れ替えるか、徐々に切り替えるか
・フェードインはどのタイミングから聴こえるように行うと違和感無いか
・いっそクラブ系の曲でもミックスせずカットインで一気に切り替えた方が良いケースもある
・間奏が8小節どうしの歌物だったとしても、ずらした方が上手く繋がるかもしれない
・二番に入る直前の4拍目とかから歌が入る曲を忘れると超格好悪い
などなど考えることは非常に多いです。この辺を事前の仕込みなしでアドリブでできる人もいるんでしょうが、自分には絶対無理だしそういうスタイルでもないのでしっかり準備してるつもりです。
またこれは個人的な考えですが、コンセプトやネタに沿ってプレイする人間だからこそ繋ぎは疎かにするべきではないと思っています。「技術のなさをネタでカバーしてる」って思われるのかっこ悪くないですか?
そして3xICEの場合はセトリ事前提出制のイベントではないため、前のDJとの選曲被りが発生する可能性があり、これへの対策も考える必要があります。
❶被った時に緊急回避するための曲も準備しておく
❷気にせず当初予定を押し通す
ざっくりこの二択ですかね。自分は併用型です。
❶被った時に緊急回避するための曲も準備しておく
これが基本かと思います。「流したくて断念した曲や相性の良さそうな曲」を同じフォルダに数曲入れておく他、「自分がよく覚えておりアドリブで流してもどうにかなりそうな曲」をBPM帯別に1000曲ほどストックしており、いざとなったらそちらから出動します。
なおこのストックを持っておくと、本番中に急に気が変わって別の曲を流したくなった、なんて場合も対応できるので規模の大小は別にして各自持っておくのをお勧めします。
❷気にせず当初予定を押し通す
あまり威張って言うことでもありませんが、「選曲の流れ上で要になる楽曲」や「どうしても自分の手で流したい曲」などは被り上等で流すこともあります。そこまでの流れや流す人間が変われば聴こえ方も変わるんですよ。
この辺りをしっかりしておくと、本番での心の余裕もある程度生まれるものです。自分なんかは緊張に弱くアドリブが利かないタイプの人間でして、少しでも事前の不安要素は減らしておいてやっと人並みくらいなもので………
⑤音ゲーマーは音ゲーDJやろう!
ここまで、ご苦労が音ゲーDJの準備をする際の方法論を記載してきました。言うまでもなく、各人によって適した方法や考え方などあります。
あくまで一例として受け取っていただければという感じです。
そして、この手法を取るにあたって一つ共通の真理があります。
それは「普段音ゲーに触れている人(それも多機種勢)ほど有利」ということ。
ゲーム本体を遊ばずに、昔プレイしていた頃の蓄えや最新のサントラだけ追って音ゲーDJすることもぶっちゃけ可能です。
でも、普段から音ゲー自体を追ってナチュラルにシーンを感じている人の選曲ってやっぱり違うんですよね。触れてないより触れてた方が良いに決まってるじゃないですか。
特に3xICEは毎月開催しているので、次から次と新しい風を入れることで自身のプレイのマンネリ化を防ぐこともできます。(そうでないと毎月同じ課題曲なんて入れてられない)
音ゲーマー各位、音ゲーDJをやろう。
自分の好きな曲をみんなの前で流そう。
普段イベントで「誰も●●の曲流してくれないなー」「この機種の曲全然流れないなー」なんて思うことはありませんか?
お前がそれを流すんだよ。
お前の好きな曲を俺たちに聴かせてくれよ。
そして、音ゲーDJをやると普段の音ゲープレイの楽しみが一つ増えるんです。
「あ、この曲久々にやったけど良いじゃん! 次回流そ~」
「あれ? この曲●●と上手く繋がるんじゃね?」
みたいな考えが自然と浮かぶようになれば、もう完全に我々の仲間です。
という流れで最後に宣伝です。
弊イベント3xICECREAM!!!では、随時出演者を募集しております。
札幌で音ゲー好きな方は、是非一度お越しください。そして「なんか音ゲーDJって面白そうだな」ってなった方は、メンバーにお声がけください。
手前味噌ですが、3xICEをきっかけにDJ始めたって方も結構いるんですよ。
公式アカウントは下記の通り。ご不明点は、公式かメンバーかに軽率にお問い合わせください!
https://twitter.com/3xICE_OTG