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「ゆるす」ということ。

先日、沖縄にきてから、毎月写経をしに行っている
宜野湾市にある東寺真言宗の神宮寺の住職さんから
「ゆるす」という言葉についてのお話を頂戴しました。

とてもいい話で、なるほどなと思ったので、
プラスアルファの私なりの解釈を入れて書きたいと思います。

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「ゆるす」という言葉。

「ゆるす」という言葉は、「許す」という字が基本的には使われますが、
大辞林で引いて見ると、以下のようにありました。

①罪や過失を、とがめだてしないことにする。
また、服役中の人を放免する。 《許・赦》
「今度だけは-・してやる」
「子供をだますなんて絶対に-・せない」
②願い・申し出などをききいれて、願いどおりにさせる。認める。許可する。 《許・聴》
「大学へ行きたかったのだが、父が-・さなかった」
 「医者から一時帰宅を-・された」
③ある行為を、さしつかえないと認める。 《許》
「屋敷への出入りを-・される」
④義務や負担を免除する。 《許・赦》
「税を-・す」
⑤相手のはたらきかけに対し、思いどおりにさせる。 《許》
 「敵の侵入を-・す」 「肌を-・す」
⑥他に対する警戒心をゆるめる。 《許》
 「気を-・す」 「心を-・す」
⑦その人をとりまく状況が、ある事を可能にする。 《許》
「時間が-・すならもう少し述べたいことがある」
 「予算が-・せばもっと広い家を買いたかった」
「延期は状況が-・さない」
⑧すぐれた存在であると認める。 《許》
 「第一人者として自他ともに-・す」
⑨ある水準に達したと認める。 《許・赦》
「免許皆伝を-・す」
⑩強く締めたり、引いたりしたものをゆるめる。
「猫の綱-・しつれば/源氏 若菜上」
⑪手放す。自由にする。
「夕狩に千鳥踏み立て追ふごとに-・すことなく/万葉集 4011」

大きく分けると、「許す」「赦す」「聴す」「緩す」という字があるようです。(住職さんからお聴きしたのは、「聴す」に関してでした)

漢字が違うということは、どの漢字を使うかによって
若干のニュアンスが変わってくるということ。

「ゆるす」という言葉。
「ゆるす」という行為。

考察してみたいと思います。

「許す」とは?

「許す」=「許可する」ということ。

「許してやる」というように、
許す、許さないの判断は、一方的な立場によって決められるもの。
「判断する側」と「判断される側」という関係性が発生します。

許す、許さないの関係性は、対等な関係ではないと言えますね。

①罪や過失を、とがめだてしないことにする。
また、服役中の人を放免する。 《許・赦》
「今度だけは-・してやる」
「子供をだますなんて絶対に-・せない」

「赦す」とは?

「赦す」というのは、「許す」に限りなく近く、
同じような使われ方をするようですが、
「刑罰や義務を免除する」という意味で使われます。

④義務や負担を免除する。 《許・赦》
「税を-・す」

まあ、ほぼ「許す」と同じニュアンスですね。

「聴す」とは?

「聴す」というのは、「聴く」という字の通り、
「聴く」という行為があって、「許す」という結果が伴うもの。

②願い・申し出などをききいれて、願いどおりにさせる。
 認める。許可する。 《許・聴》
「大学へ行きたかったのだが、父が-・さなかった」
 「医者から一時帰宅を-・された」

「傾聴」ありきの「ゆるす」という行為。
耳をしっかりと傾け、話を聴く。
話を聴いた上で、ゆるす。

そこにあるのは、対等な関係性。
すべてを聴いて、相手を受け入れた上で「ゆるす」。
そこに上下関係ではなく、フラットな関係性で話を聴く。

ゆるす=慈悲=愛では、ないでしょうか。

「ゆるす」ためには?

また、「ゆるす」という言葉には、
「緩す」という言葉もある。

「ゆるす」ためには、ゆるい状態であること。
ゆるす側が、正しさや自分のエゴを振りかざし、
凝り固まった状態では、ゆるすことなんてできない。

「ゆるす」ためには、まず自分を「ゆるす」
「聴す」ために「緩す」。

あぁ、なんて言葉って面白いんでしょうか。


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