《吸収/Absorb》
こんにちは。ゴキ研です。
パイオニア・フォーマットの青白コントロールにおける入門編を記事にしようと思い立ち、代名詞的なカードを取り上げ考察して行こうと思います。
今回は確定カウンターである吸収です。
これから青白コントロールを使ってみようと言う方に参考になれば幸いです。
1. カウンターの性質
1.1. カードの1:1交換
呪文を打ち消すと言う効果は、唱えられているカードが効果を発揮する事なく無力化する事が出来ます(一部例外はあります)。
能力を持たないバニラクリーチャーである場合は破壊する除去カードでも同じですが、戦場に出た時に誘発するETB (戦場に出る/Enter The Battlefield) 能力を持つカードや、プレインズウォーカーは着地後に優先権があり能力を最低1回は起動されてしまうので1:1交換にはなりません。
また、除去と言うカードの性質上、パーマネントにしか効果を発揮しませんが、カウンターはソーサリーやインスタントに干渉できます。
《吸収/Absorb》の場合は、3点のライフを得ると言う付加価値があり、1:1以上の交換が出来る点が優れています。
1.2. 盤面には干渉しない
呪文を打ち消すと言う性質上、盤面に干渉する事は不可能です。
が、前述の通り《吸収/Absorb》は3点のライフを得ると言う効果で間接的に盤面に干渉する事が出来ます。
つまり、盤面のクロックが1点である場合は、攻撃によりライフは19点。
その後に唱えられたカードを《吸収/Absorb》で打ち消すとライフは3点回復して22点。
実質、3ターンの猶予を得た事になります。
しかし、これは打ち消した場合に過ぎません。
盤面の土地が《変わり谷/Mutavault》である場合には、起動型能力ですので打ち消す事が出来ず2点のダメージが刻まれます。
両方の選択肢に対応するには、除去とカウンターを共に構える事が必要になります。
2. マナコスト
白青青
《取り消し/Cancel》の色拘束を強くした確定カウンター。
これは、《対抗呪文/Counterspell》のマナコストを調整したものです。
重いカードを打ち消す分にはマナコストを気にする必要はありませんが、当然ながら《吸収/Absorb》より軽い1~2ターン目に唱えられたカードには対応できません。
先程の【1.2. 盤面に干渉しない】とセットで考える必要があります。
また、先後の差にも留意する必要があり、同じ3マナのカードには後手では対応不可能です。
上記はすべてパイオニアのTier 1デッキである赤黒ミッドレンジを挙げたものですが、どれも通ると損な取り引きになる事が分かります。
青白コントロールが赤黒ミッドレンジに弱い一因です。
3. 穴を埋める
《吸収/Absorb》の弱点を整理して来ましたので、ここからは補完する事を考えて行きます。
3.1. 盤面への対処
先に述べた通り、《吸収/Absorb》は3マナを必要とする関係上、序盤の攻防に弱点を抱えています。
(1) 1~2ターン目に唱えられたカードには対応不可能
(2) 後手では3ターン目に唱えられたカードには対応不可能
2つを切り離して考える必要があります。
《思考囲い/Thoughtseize》の様なソーサリーは解決後に効果は完了しているので、盤面にクリーチャーを並べられたケースを想定します。
これを①1マナの除去または②2マナの除去で対応しようと考えます。
①1マナの除去
⇒1マナクリーチャーへの対処:損得無し
⇒2マナクリーチャーへの対処:1マナ得
⇒3マナクリーチャーへの対処:対応不可
②2マナの除去
⇒1マナクリーチャーへの対処:1マナ損
⇒2マナクリーチャーへの対処:損得無し
⇒3マナクリーチャーへの対処:1マナ得
両者を比較した際に、1~2マナのクリーチャーへの対処には大きな差はありません。
しかし、それでは1マナの除去が強すぎてしまいますので、除去対象に「2マナまで」と言う制限が設けたカードデザインがされています。
1マナの除去はマナ効率が良く、後手の時には
1ターン目の《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
2ターン目の《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
これらに対応出来るという点で2マナ除去より優れていますが、3マナの生物には対応できない事を留意してデッキに採用する必要があります。
ミッドレンジデッキには《ポータブル・ホール/Portable Hole》は無力に見えるかもしれません。
しかし、3マナのクリーチャー、4マナのクリーチャーと唱えて来るのであれば、4マナの全体除去で一掃し、1対複数交換が見込めます。
《ポータブル・ホール/Portable Hole》と《至高の評決/Supreme Verdict》は補完関係にあると言えるでしょう。
また、2マナ除去は相手の先手3ターン目に唱えられたパーマネントに対処出来るカードデザインです。クリーチャーだけでなく対応幅の広い除去を選択すると良いでしょう。
3.2. 3ターン目へ繋げる
「1マナ除去は2マナのクリーチャーまでしか対処できない。」
「相手が先手番では3マナのクリーチャーは確定カウンターできない。」
「2マナの除去ではラノエル、サリアが…。」
どのカードを採用しても綻び、穴があり悩みが尽きないのがMtGの面白さであるが、まだ対処法はあります。
それが、相手に追加のマナコストを要求する「ソフトカウンター」です。
たった1マナと侮る事なかれ。
相手が先手3ターン目に唱えた3マナクリーチャーはカウンターされます。
ならばと、《検閲/Censor》をケアして1マナを浮かせて2マナのクリーチャーを唱えたらどうなるでしょうか。
《ポータブル・ホール/Portable Hole》が当たります。
これも補完関係にあるのです。
また、相手が先手4ターン目に《思考囲い/Thoughtseize》で《吸収/Absorb》を持っていないか確認して来ました。
《吸収/Absorb》を手札から抜いても、《検閲/Censor》が目を光らせ3マナクリーチャーの着地を許しません。
ここまで知っていると、検閲をサイクリングするタイミングの1つの指標となります。
また、これは独自理論ですが、《沈黙/Silence》も3ターン目へ繋げる有効な手段の1つです。
除去と違い1:1交換をする訳ではなくアド損しますのでドローソースを多めに採用する工夫は必要ですが、相手のアップキープに唱える事で1ターンパスさせる事が出来ます。
つまり、相手の先手3ターン目アップキープに唱えればパスになり、無事に《吸収/Absorb》を唱えられる後手3ターン目を迎える事が出来ます。
また、《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》を唱えようとしている相手2ターン目アップキープに唱えるのも有効です。
緑単信心が大量にマナを出して2アクションをしようとしているが、マナが足りずカウンターを2枚切れない場合にも1ターン凌ぐ事が出来ます。
《出現の根本原理/Emergent Ultimatum》に対応で唱えると、選んだカードは唱えられず虚空の彼方へ追放されます。
4. デッキリストサンプル
最後にここで触れたカードを採用したデッキリストを紹介します。
4.1. Azorius Control by hopeof130
《ポータブル・ホール/Portable Hole》と《検閲/Censor》、《至高の評決/Supreme Verdict》の補完関係を体現したデッキリストです。
hopeof130(@hopeof130)さん はMOの強豪で、青白コントロールでは《解消/Dissolve》を採用してデッキトップを強くした構築が特徴的です。
https://www.mtggoldfish.com/deck/5469203#paper
4.2. Azorius Control by Ken-chan
こちらは、私が《沈黙/Silence》を採用したデッキリストです。
ここで紹介する以上は結果を残さねばと考えていたので、掲載されて胸を撫で下ろしています。
マナベースに少し問題があり、白単の先攻2ターンに《沈黙/Silence》を撃つ為に1ターン目のアンタップイン土地を増やす必要がありそうです。
《氷河の城砦/Glacial Fortress》-4
《灌漑農地/Irrigated Farmland》-1
《さびれた浜/Deserted Beach》+2
《金属海の沿岸/Seachrome Coast》+3
https://www.mtggoldfish.com/deck/5630530#paper
5. 最後に
《吸収/Absorb》と言うカード1枚に考える事が多かったと思います。
私自身、知識の整理が出来た実感があります。
本記事が少しでも読者の気付きになれば幸いです。
それでは、良きコントロールライフを!!