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評価経済で一層輝く、アスリートマーケティングとは。

ここ最近、アスリートが主体的に情報発信を行った結果、想像以上の拡散力を持ったムーブメントに繋がる様を続けて目にしました。このnoteではその事例とともに、なぜアスリートが主体的に行うプロモーションが多くの注目を集めるのかをまとめています。

— 目次 
1-1 アスリートマーケティングとは
2-1 Case1 . 都倉選手|行くぞACL!!!
2-2 Case2 . 星選手|#墨田体育館に行って帰ってくるまで
3-1 アスリートマーケティングのポイント
3-2 リバプロの可能性|フウガドールすみだ


アスリートマーケティングとは

まず、言葉の定義から。

このnoteで用いるアスリートマーケティングという語は、アスリートが率先して行う、所属スポーツクラブのマーケティング活動という意味で用いています。

これまで、アスリートを活用したマーケティング活動は、好感度/認知度の高いアスリートを企業の広告活動(CMやイベント)に活用するのが主流でした。

従来型のアスリートマーケティング

しかし最近では、アスリートが自ら率先してプロモーション活動に取組む姿が目立つようになり、大きな波及効果を生んでいます。アスリートが競技だけでなくプロモーション活動に取組むようになった経緯については、以下の西原さんのnoteがとてつもなく分かりやすいです。(僕は購入しました!)

アスリートが自ら率先して行うマーケティング活動が、大きな話題や反響を生む理由は、

最もファンやスポンサーの期待や応援を集めるのは、選手です。もちろんクラブスタッフやスポンサー、その他ステークホルダーにも期待は集まりますが、あくまで主役は選手。これは音楽業界やそれ他業界でも同じ構造です。

つまり、スポーツクラブの中でファンからの応援や期待=共感を最も集まりやすい主体は、他でもない選手自身ということです。

やや小難しい話になりますが、評価経済社会の到来に伴って、共感は大きなパワー・価値を生み出すようになりました。

評価経済では“つながり”は換金可能で、より多くのいいね!などの共感を得られるなら、その人は社会の中で生きていけるというもの。そして、お金は評価である“共感“に従属し、「サービス」も「モノ」も共感で手に入れられるようになる。「Campfire」や「MAKUAKE」などクラウドファンディングがまさに評価経済社会そのもの。プロジェクトがソーシャルメディアで拡散することで応援者=ファンの共感を呼び、お金や必要なモノなど集まる。”共感“や’つながり’が社会で貨幣を従属させる通貨になりはじめている。

今や共感やつながりは、お金に変えることもできるし、人を動かすこともできる。ソーシャルメディアの盛り上がりに伴って、この動きはより顕著になっています。

多くの人に拡散してもらう/協力してもらう/来場してもらう/買ってもらうことをスポーツクラブが考える時、より多くの共感を生み出す為には、誰が/何を/どこで/どうやって発信するのかをきちんと設計してあげる必要があります。

そして、上記の"誰が"に関して言えば、スポーツクラブにおいてはアスリートが最も共感を集めやすい発信源であることに間違いありません。なぜなら、最も応援/期待されているのは選手だから。

図解すると

▶ 従来型のマーケティング活動

スポーツクラブの広告活動に所属アスリートを起用し、市場やファンにアプローチする。発信源はあくまでスポーツクラブ。アスリートは広告塔。

▶ アスリートマーケティング

スポーツクラブではなく、アスリートが主体となって直接的に市場やファンへメッセージを届ける。クラブはバックアップに回る形となり、従来型のマーケティング活動とは立ち位置が逆転。スポーツクラブのプロモーションの中に選手が登場することはこれまでも多々ありましたが、メディアやクラブが介在しない形で選手が生の声を直接ファンや市場に届けることが重要です。ここでSNSが重要な役割を果たしています。

アスリートとファン・市場が直接繋がることは、チャンスだけでなくリスクも内包しており、故にアスリートのSNS活用を規制するクラブも数多く存在しています。が、"共感"が大きな価値を生み出すにも関わらず、共感の集積地を自ら捨ててしまうのは非常に勿体ないと思うのです。

以下で紹介するのは、既にデキるアスリートがクラブの許可無しで始めたアスリートマーケティングの事例ですが、クラブスタッフと選手がタッグを組んで、意図的にこの構図を作り出せたら理想的です。

Case1 . 都倉選手|行くぞACL!!!

昨シーズン、惜しくもACL行きを逃したコンサドーレ札幌でしたが、都倉選手が起点となって大拡散した「行くぞACL!!!」のムーブメントは、延べ476万リーチ(!)を獲得するに至り、大きな話題を呼びました。

SNS以外でも様々なメディアに取り上げられ、莫大な広告換算価値を生み出しています。「行くぞACL!!!」の詳細は、以下の記事で紹介されています。

Case2 . 星選手|#墨田体育館に行って帰ってくるまで

最近スポーツ界隈を賑わせている「#墨田体育館に行って帰ってくるまで」のハッシュタグ。

元々は、FC今治の中島さん、名古屋オーシャンズの星選手、楽天NBA 通訳の新川さんがBリーグ観戦を機に始めた「#僕が西京極に行って帰ってくるまで」というハッシュタグ企画に端を発しており、その翌日に開催されたFリーグ「フウガドールすみだ VS 名古屋オーシャンズ」の試合で星選手自身がツイートをしたことをきっかけに、広く波及していきました。

来場者自身がFリーグの試合観戦を通して感じたことを「#墨田体育館に行って帰ってくるまで」のハッシュタグを付けて投稿していくことで、十人十色のカスタマージャーニーがSNS上で拡散し、大きな注目を集めました。(Twitterのトレンド入りも果たしました!)

1月12日時点で、こちらのハッシュタグは6万3584リーチ。インプレッションは既に12万を越えています。

またこのハッシュタグ企画は、その他のFリーグのチームやBリーグのサンロッカーズ渋谷にも伝染しながら拡大を続けています。


アスリートマーケティングのポイント

アスリートマーケティングのポイントは、

の3つに集約することができます。

共感の集積地である所属アスリートが起点となって行うプロモーション、マーケティング活動は今後も大きな話題を集めると思います。このアスリートマーケティングを偶発的ではなく、意図的に作り出せるスポーツクラブが現れたら、凄く魅力的です。そういった意味でも、SNS活用を全面的にバックアップしているBリーグは他競技の一歩先を行く存在と言えます。


リバプロの可能性|フウガドールすみだ

そして、個人的に大注目しているのは、Fリーグのフウガドールすみだに所属している田口元気選手こと、たぐPが自らプロデューサーを務める、通称「リバプロ」です。

リバプロの概要はこちら。

全身スーツ姿でモデルさながらにポージングする選手たち、ユニフォームを街着にミックスしてコーディネートを提案する選手たち、某有名アーティストをオマージュした出で立ちでプロモーションする選手たち。時にカッコよく、時に全力でふざけるその姿は、完全にアスリートの枠を飛び出して、フットサル界を飛び越えた試みとして大きな話題を集めている。
そのすべては、一人の選手の脳内から始まったプロジェクトだ。フウガドールすみだで10番を背負う田口元気がその男だ。
SNSを中心に業界をざわつかせる彼は今、「Reverse&Rebirth」と名付けたこの企画の「プロデューサー」として、様々な仕掛けを次々と世に送り出している。そのアクションは確実に伝播して、8月のホームゲームには、平日夜にも関わらず多くの観客が訪れるとともに、最高のホームの雰囲気を作り出した。

所属アスリートが自らプロデューサーとなって、クラブの集客施策やプロモーションについて企画&発信を行う。そして次第にチームメイトやスタッフも前向きに取り組んでくれるようになった結果、「リバプロ」は着実に実を結び始めているそうです。

ぬるぬるフットサルやって欲しすぎる、、、

「お客さんに足を運んで欲しい、楽しんで欲しい、注目して欲しい」と田口選手自身が考え、企画し、色々な人を巻き込みながら、情報発信&プロモーションを仕掛ける。

"Fリーグだから出来る話でしょ"という声も聞こえてきそうですが、Jリーグにも何かやりたくてウズウズしている選手は沢山います。各クラブでそういった選手をピックアップし、企画段階から一緒にクラブを盛り上げる方法を考えるのも手かと思います。きっとそれは、選手自身の気付きやセカンドキャリアにも繋がっていく話です。


以上、最近話題のアスリートマーケティングについてまとめてみました!

僕自身も、"共感の集積地がどこなのか"を考えながら広告屋の仕事に取り組んでいきたいと思った次第です。



-fin-

五勝出拳一[ごかつでけんいち]
スポーツとアスリートの価値を見える化する広告屋|NO MORE セカンドキャリア|東京学芸大学蹴球部&全日本大学サッカー選抜 主務 ➡︎ 現職は広告屋|サッカー選手育成アカデミー神村学園淡路島キャリアアドバイザー|COYG|Nikon Z6|気軽にDMください📩発言は個人の見解📢日本に40人の苗字の持ち主、ゴカツデです。


いつも読んでいただきありがとうござます:)