宅建士試験合格講座 農地法 > 権利移動および転用の制限・利用関係の調整等(農地・採草放牧地の賃借人の保護) #2
■ 4 罰則等
(1) 罰則
3条許可、4条許可または5条許可が必要であるにもかかわらず、許可を受けないで農地・採草放牧地の権利移動または農地の転用をした者は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。
法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務または財産に関し、農地法3条、4条または5条の規定に違反した場合は、行為者を罰するほか、その法人に対して3条違反については300万円以下の、4条違反および5条違反については1億円以下の罰金が科される
(2) 3条許可・5条許可を受けなかった場合の契約の効力
3条許可または5条許可を受けないでした行為は、その効力を生じません。たとえば、許可を受けないで売買契約を締結しても、所有権の移転の効力は生じません。
(3) 4条許可・5条許可を受けずになされた転用に対する原状回復命令等
都道府県知事等は、違反転用者に対し、工事の停止や原状回復等の措置を講ずべきことを命じることができます。
第3節 利用関係の調整等(農地・採草放牧地の賃借人の保護)
戦前の農地の賃貸借(小作)は、契約関係というよりは身分関係という色彩が濃かったです。そして、一般的には小作人にとって不利益な小作慣習が多かったです。そこで農地法は、なるべく自作農を基本とするとともに、農地賃借人の保護を図っています。
■ 1 農地または採草放牧地の賃貸借の対抗力
農地または採草放牧地の賃貸借は、その登記がなくても、農地または採草放牧地の引渡しがあったときは、これをもってその後その農地または採草放牧地について物権を取得した第三者に対抗することができる。
民法では、不動産の賃貸借の対抗要件として賃借権の登記を定めるが、農地または採草放牧地の賃貸借については、これに加えて、その引渡しも対抗要件になるということです。
■ 2 農地または採草放牧地の賃貸借の更新
農地または採草放牧地の賃貸借について期間の定めがある場合において、その当事者が、その期間の満了の1年前から6月前までの間に、相手方に対して更新をしない旨の通知をしないときは、一定の場合を除き、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものとみなす。
これは、農地または採草放牧地の賃貸借についての法定更新を定めるものです。
■ 3 農地または採草放牧地の賃貸借の解約等の制限
農地または採草放牧地の賃貸借の当事者は、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、または賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。
「合意による解約」についても、知事の許可を要する点には要注意。合意を装って、無理矢理解約させる場合があり得るからです。
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