宅建士試験合格講座 宅地造成及び特定盛土等規制法 > 宅地造成等工事規制区域内における宅地造成等に関する工事等の規制 #1
第2節 宅地造成等工事規制区域内における宅地造成等に関する工事等の規制
■ 1 宅地造成等に関する工事の許可
(1) 宅地造成等に関する工事の許可
宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事については、工事主は、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められる一定の工事を除き、当該工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
また、許可を受けた工事主は、当該許可に係る土地の見やすい場所に、氏名または名称等所定の事項を記載した標識を掲げなければなりません。
【用語解説】工事主
「工事主」とは、宅地造成、特定盛土等もしくは土石の堆積に関する工事の請負契約の注文者または請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
(2) 事前の住民への周知
工事主は、宅地造成等に関する工事の許可の申請をするときは、あらかじめ、宅地造成等に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければなりません。
(3) 条件付き許可
宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事について許可をする都道府県知事は、当該許可に、工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付することができます。
許可に条件を付することができるのは、工事の施行に伴う災害を防止するために必要な場合のみである。したがって、良好な都市環境の形成のために条件を付することはできない。
(4) 宅地造成等に関する工事の技術的基準等
申請に係る宅地造成等に関する工事の計画が次の①および②に適合しない場合は、都道府県知事は、宅地造成等に関する工事の許可をしてはなりません。
① 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事は、その技術的基準に従い、擁壁、排水施設の設置など、宅地造成等に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。
② 上記①で講ずべきものとされる措置のうち、次の工事は、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
(a) 高さが5mを超える擁壁の設置
(b) 盛土または切土をする土地の面積が1,500㎡を超える土地における排水施設の設置
なお、都道府県知事は、一定の場合には、都道府県の規則で、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の技術的基準を強化し、または付加することができます。
上記①の宅地造成等に伴う災害を防止するため必要な措置に、消防の用に供する貯水施設の設置は含まれない。
(5) 許可証の交付または不許可の通知
都道府県知事は、宅地造成等に関する工事の許可の申請があったときは、遅滞なく、許可または不許可の処分をしなければなりません。
都道府県知事は、申請者に対し、許可の処分をしたときは許可証を交付し、不許可の処分をしたときは文書をもってその旨を通知しなければなりません。
(6) 変更の許可等
① 変更の許可
宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める軽微な変更を除き、当該許可に係る工事の計画の変更をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
すでに都道府県知事の許可を受けた宅地造成等に関する工事について、工事の計画を変更する場合は、原則として、改めて許可を受けなければならない。都道府県知事への届出ではない。
② 変更の届出
宅地造成に関する工事の許可を受けた者が、主務省令で定める軽微な変更をしたとき(工事施工者を変更する場合など)は、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はありません。
【参考】主務省令で定める軽微な変更
・宅地造成または特定盛土等に関する工事
(a) 工事主、設計者または工事施行者の氏名(名称)または住所の変更
(b) 工事の着手予定年月日または工事の完了予定年月日の変更
・土石の堆積に関する工事
(a) 工事主、設計者または工事施行者の氏名(名称)または住所の変更
(b) 工事の着手予定年月日または工事の完了予定年月日の変更(当該変更後の工事予定期間が当該変更前の工事予定期間を超えないものに限る。)
(7) 中間検査
① 中間検査の申請
宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、当該許可に係る宅地造成または特定盛土等(一定の規模のものに限る。)に関する工事が特定工程〔=盛土をする前の地盤面または切土をした後の地盤面に排水施設を設置する工事の工程〕を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度、特定工程に係る工事を終えた日から4日以内に、都道府県知事の検査〔=中間検査〕を申請しなければなりません。
② 中間検査を要する宅地造成または特定盛土等の規模
中間検査を要する宅地造成または特定盛土等は、次のとおりである。
➊ 盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるもの
➋ 切土であって、当該切土をした土地の部分に高さが5mを超える崖を生ずることとなるもの
➌ 盛土と切土とを同時にする場合において、当該盛土および切土をした土地の部分に高さが5mを超える崖を生ずることとなるときにおける当該盛土および切土(上記➊または➋に該当する盛土または切土を除く。)
➍ 上記➊または➌に該当しない盛土〔=崖が生じない盛土〕であって、高さが5mを超えるもの
➎ 上記➊~➍のいずれにも該当しない盛土または切土であって、当該盛土または切土をする土地の面積が3,000㎡を超えるもの
③ 中間検査合格証の交付
都道府県知事は、中間検査の結果、当該特定工程に係る工事がその技術的基準に適合していると認めた場合においては、当該特定工程に係る中間検査合格証を宅地造成等に関する工事の許可を受けた者に交付しなければなりません。
そして、当該特定工程後の工程〔=排水施設の周囲を砕石その他の資材で埋める工事の工程〕に係る工事は、当該特定工程に係る中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、することができません。
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