宅建士試験合格講座 重要事項説明 > 総説・重要事項の説明内容 #1
本章からは毎年3問程度出題されます。言うまでもなく、宅建試験における最重要テーマであり、最も厳しく暗記が求められる内容です。ここをしっかりと得点できないと合格には近づけません。じっくり時間をかけて取り組んで欲しいです。
近年は、貸借や区分建物に関する説明事項が、売買に関する説明事項よりも頻出な傾向もあり、注意が必要です。
第1節 総説
■ 1 重要事項説明の方法
『重要事項の説明』は、業者の行う商品説明です。宅建業者の扱う『不動産』は、人の生活と活動に不可欠なものであると同時に、非常に高額なものでもあります。多くの一般消費者にとって一生に一度の買い物といっても過言でない商品を説明するのが、専門知識を欠く、無資格の従業者であってはなりません。よって、『重要事項の説明』は専門知識を有する取引士だけが行うことができます。
ここでは、重要事項の説明は、顧客に対し、その物件を買ってもよいか(借りてもよいか)どうかを決めてもらうために説明する、ということを理解しておきましょう。
宅建業法は、その説明の手順を以下のように定めます。
宅建業者は、
①物件の買主・借主(交換の場合は各当事者)に対して、
②契約が成立するまでの間に、
③取引士に、取引士証を提示させ、取引士の記名のある書面を交付して、重要事項の、説明をさせなければならない。
なお、宅建業者は、重要事項説明書の交付に代えて、説明の相手方の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であって取引士による記名に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供させることができます。
また、重要事項説明の相手方が「宅建業者」である場合は、重要事項説明書を交付(電磁的方法による提供を含む。)するのみで足ります〔=取引士による説明を省略することができる〕。
上記の、電磁的方法による提供の手続については、Chapter 8〔→1総説■2〕において説明します。
1. 説明義務を負っているのは、「宅建業者」である。実際に説明するのは「取引士」なので、勘違いしやすい。「宅建業者」が、「取引士」を使って、説明させる義務を負っているのである。よって、この義務に違反すると、宅建業者が業務停止処分、特に情状が重いと免許取消を受けることになる。
2. 説明の相手方は「買主」「借主」、交換の場合は「両当事者」である。これは、その取引対象である物件について一番利害関係をもつ者に説明するということである。売主は、その物件については十分知っているであろうことがいえるし、また、知らなくてもどのみち売り払うのであるからどうでもよいという本音もある。交換の場合は、両当事者とも、その物件を取得するのであるから、両当事者に利害関係があるということである。
3. 説明時期は、「契約が成立するまでの間」である。これから買うかどうかを決めてもらう、その材料を提供するのだから、契約成立後に説明しても意味がない。
4. 実際に説明するのは、「取引士」である。取引士以外の者による説明は、『代表取締役』、『社長』等いかなる肩書きの者によっても全て違法である。
5. 取引士は、「取引士証」を提示して説明しなければならない。説明の相手方から請求されなくても提示義務がある。この提示義務に違反すると10万円以下の過料が課される。
6. 記名をするのも「取引士」である。この記名をする取引士と説明をする取引士とは別々の取引士でもよい。
7. 重要事項は、書面を「交付して」説明しなければならない。これは、説明を受ける側が、書面を見ながら説明を聞けるようにするためである。したがって、説明してから書面を交付することは業法違反となる。
8. 重要事項の説明の場所には制限がなく、どこで行ってもよい。
9. 重要事項説明書の作成は取引士が行う必要はない。よって、取引士ではない従業者も作成できる。
10. 「買主」「借主」、「交換の当事者」が「宅建業者」である場合は、取引士が記名した書面(35条書面)を交付するだけでよく、取引士に説明をさせる必要がない。
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