宅建士試験合格講座 都市計画法 > 開発許可制度 #1
第4節 開発許可制度
『開発許可』とは、無秩序な市街化(スプロール)を防止するための制度です。
昭和30年代の高度経済成長は、都市への人口集中を促し、結果、俗悪な環境の市街地を生み出すのに一役買ってしまいました。このようにいったん俗悪な市街地を形成してしまった場合、それを良好な市街地につくりなおすことは容易ではありません。立ち退きの時間もかかるし、いったん建てた建物も取り壊さなければなりません。そこで、そのような俗悪な市街地が形成される前、すなわち、土地の造成工事の段階で規制を加えようとするのが開発許可制度です。
■ 1 開発行為の許可(開発許可)
(1) 開発許可
開発許可とは、開発行為をしようとする場合に必要になる都道府県知事等の許可です。
開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(指定都市または中核市の区域内にあっては、当該指定都市等の長)の許可を受けなければならない。
(2) 開発行為
開発行為をしようとするときに開発許可が必要になるので、まず、開発許可の前提である「開発行為」とは何かが問題となります。
開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。
建築物の建築とは、建築物を新築し、増築し、改築し、または移転することです。
特定工作物とは、次のものをいいます。
・第一種特定工作物
① コンクリートプラント
② アスファルトプラント
③ クラッシャープラント
④ 危険物の貯蔵または処理に供する工作物
・第二種特定工作物
① ゴルフコース
② 1ha以上の野球場、庭球場、陸上競技場、遊園地、動物園その他の運動・レジャー施設である工作物
③ 1ha以上の墓園
※ 1ha=10,000㎡
1. 特定工作物で面積要件(1ha以上)があるのは、第二種特定工作物の運動・レジャー施設と墓園だけである。
2. 「土地の区画形質の変更」とは、造成工事のことをいう。単に登記簿上の地目の変更だけで、造成工事を伴わない場合は「土地の区画形質の変更」にあたらない。
3. 開発行為の定義に該当しない場合は、たとえ土地の区画形質変更を行うのであっても、開発許可は不要である。
■ 2 開発許可が不要となる場合
開発行為の定義に該当する行為であっても、一定の場合に、開発許可が不要となります。
開発行為であれば、すべて都道府県知事の許可が必要というのでは過大な負担となります。そこで、一般的に乱開発のおそれがないような場合を例外としました。
(1) 公益上必要な建築物を建築するための開発行為
公益上必要な建築物のうち一定の建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為については、開発許可が不要となる。許可不要となる公益上必要な建築物は次の通りです(主なもの)。
① 駅舎その他の鉄道の施設
② 図書館
③ 公民館
④ 変電所
診療所、病院、学校などは、許可不要となる公益上必要な建築物ではない。
(2) 都市計画事業、土地区画整理事業などの施行として行う開発行為
次の事業の施行として行う開発行為については、開発許可が不要となります。
① 都市計画事業
② 土地区画整理事業
③ 市街地再開発事業
④ 住宅街区整備事業
⑤ 防災街区整備事業
都市計画事業等は、それぞれ別の法律で必要な規制が行われるからです。5つの事業を忘れてしまった場合は、「~事業」とついたら許可不要と考えればよいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?