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宅建士試験合格講座 都市計画法 > 都市計画の決定

第3節 都市計画の決定

 都市計画の内容がわかったところで、今度は計画を実行するための手続について学習します。


■ 1 都市計画の決定権者

 都市計画の決定権者は、原則として、都道府県および市町村です。これは、都市計画の決定は原則的に市町村であるが、広域的・根幹的なものは都道府県が決めるということです。

 以上の都市計画の決定権者は、1つの都道府県内にのみ都市計画区域が定められた場合です。注意すべきなのは、2つ以上の都府県にまたがって都市計画区域が定められた場合です。都市計画法は次のように定めます。

【都市計画決定権者(2)】
2以上の都府県の区域にわたる都市計画区域に係る都市計画は、国土交通大臣および市町村が定めるものとする。

 国土交通大臣「および市町村」、というと両者が連携して都市計画を決めるようにみえるがそうではありません。上記の「決定権者(1)」において、「都道府県」となっているところを国土交通大臣に読み替えるということです。


■ 2 市町村の都市計画と都道府県の都市計画の抵触

 ところで、このように都市計画の決定権者が2人いると、両者の都市計画に矛盾が生じることも考えられます。そこで、都市計画法は次の規定を置きます。

① 市町村が定める都市計画は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即し、かつ、都道府県が定めた都市計画に適合したものでなければならない。
② 市町村の定めた都市計画が、都道府県の定めた都市計画と抵触するときは、その限りにおいて都道府県の定めた都市計画が優先する。

 これは、行政の行う活動は統一のとれたものでなければならないことから導かれます。そうでなければ市町村によって都市計画が全く異なり、不平等・不経済なことになるからです。

 

■ 3 都市計画の決定手続

 最後に、都市計画の決定手続です。都道府県の場合、市町村の場合、国土交通大臣の場合があるが、重要なのは都道府県と市町村の場合です。その違いをおさえましょう。 

(1) 公聴会の開催等
 
都道府県または市町村は、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければなりません。 

(2) 都市計画案の縦覧等
 
都道府県または市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、その旨を公告し、当該都市計画の案を、その公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければなりません。
 この公告があったときは、関係市町村の住民および利害関係人は、その縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された都市計画の案について、都道府県の作成に係るものにあっては都道府県に、市町村の作成に係るものにあっては市町村に、意見書を提出することができます。
※ 『縦覧』とは、行政上の書類を一般の人に自由に見せることをいう。

(3) 都市計画の決定
① 都道府県の都市計画の決定
 都道府県は、関係市町村の意見を聴き、かつ、都道府県都市計画審議会の議を経て、都市計画を決定します。
 都道府県は、国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画の決定をしようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければなりません。 

② 市町村の都市計画の決定
 市町村は、市町村都市計画審議会(市町村都市計画審議会が置かれていないときは、その市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の議を経て、都市計画を決定します。
 市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければなりません。

(4) 都市計画の告示
 都道府県または市町村は、都市計画を決定したときは、その旨を告示しなければなりません。都市計画は、この告示があった日から、その効力を生じます。
※ 『告示』とは、公の機関がある処分をした場合に、それを一般の人に知らせることをいう。

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