宅建士試験合格講座 宅地・建物に関する税 > 固定資産税
第5節 固定資産税
固定資産税は、原則として、土地や家屋などの固定資産の所有者に対して、固定資産の所在する市町村が課税する地方税です。固定資産を取得した翌年度から、所有している限り毎年課税されます。
■ 1 課税主体・課税対象・納税義務者
(1) 課税主体
固定資産税の課税主体は、固定資産が所在する市町村です。
(2) 課税対象
課税の対象は、固定資産です。固定資産とは、土地、家屋および償却資産の総称です。
土地とは、田・畑・宅地・山林・牧場・原野などの土地です。家屋とは、住家・店舗・工場・倉庫などの建物です。償却資産とは、土地および家屋以外の事業の用に供することができる資産で一定のものをいいます。以下では、固定資産のうち、土地および家屋について扱います。
固定資産税の賦課期日は1月1日である。したがって、賦課期日の時点で存在しない固定資産については、その年度は課税されない。例えば、令和2年2月1日に新築された家屋に対しては令和2年度分の固定資産税は課税されない。
(3) 納税義務者
納税義務者は、原則として、固定資産の所有者(個人および法人)です。この所有者とは、土地または家屋については、賦課期日(毎年1月1日)において、登記簿または土地補充課税台帳・家屋補充課税台帳に所有者として登記または登録されている者をいいます。
例外として、質権または100年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、納税義務者は、その質権者または地上権者です。
固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災等によって不明である場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。
なお、国ならびに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区および合併特例区に対しては、固定資産税を課することができません。
固定資産税を課することができない者に、独立行政法人は含まれない。ただし、非課税独立行政法人が所有する一定の固定資産に対しては、固定資産税を課することができないとされる。
■ 2 課税標準
固定資産税の課税標準は、原則として、固定資産の価格です。この価格は、固定資産課税台帳に登録されており、一般に、固定資産課税台帳の登録価格とよばれている。固定資産税評価額とよばれることもあります。
■ 3 課税標準の特例(住宅用地に対する課税標準の特例)
所定の要件を満たす住宅用地(住宅用家屋の敷地)については、課税標準の特例があります。
住宅用地のうち小規模住宅用地(住宅用地で住宅1戸当たり200㎡以下の部分)の課税標準については、その住宅用地の課税標準となるべき価格の6分の1の額となります。
住宅用地のうち一般の住宅用地(住宅用地で住宅1戸当たり200㎡超の部分)の課税標準については、その住宅用地の課税標準となるべき価格の3分の1の額となります。
特例の適用の可否は、賦課期日である1月1日時点で判断される。1月1日時点で更地であれば、その後に住宅が建設され住宅用家屋の敷地となっても、この特例の適用を受けることはできない。
■ 4 税率
固定資産税の標準税率は、100分の1.4(1.4%)です。
これは制限税率ではないため、市町村は条例で、1.4%を超える税率を定めることもできます。
■ 5 税額の特例(新築住宅に対する固定資産税の減額)
床面積が50㎡以上(戸建以外の貸家の場合は40㎡以上)280㎡以下の新築住宅を取得した場合、一定期間にわたり、1戸当たり120㎡以下の床面積に相当する固定資産税の税額が2分の1に減額されます。
■ 6 区分所有家屋および区分所有家屋の土地(敷地)に対する課税
土地・家屋が共有されている場合、共有物である土地・家屋に対して課される固定資産税は、原則として、各共有者が連帯して納税義務を負います。
これに対して、分譲マンションなどの区分所有家屋や区分所有家屋の土地(敷地)については、原則として、各区分所有者が連帯して納税義務を負いません。区分所有家屋や、その土地で所定の要件を満たすものについては、一棟の家屋およびその土地全体につき一括して固定資産税額を算出し、これを一定の割合で按分した額を、各区分所有者が納付することになっています。
(1) 区分所有家屋に対する固定資産税の課税
① 原則
区分所有者が区分所有家屋について納付すべき固定資産税の額は、一棟の区分所有家屋に係る固定資産税額を、各区分所有者の有する専有部分の床面積の割合によって按分した額となります。
② 居住用超高層建築物の例外
区分所有者が区分所有家屋のうち「居住用超高層建築物」(いわゆるタワーマンション)について納付すべき固定資産税の額は、一棟の居住用超高層建築物に係る固定資産税額を、下記の専有部分の区分に応じた所定の専有部分の床面積の割合によって按分した額となります。
原則では、床面積が同じであれば、階層にかかわらず固定資産税の額は同額となります。しかし、タワーマンションは、低層階の住戸の分譲価格に比べて高層階の住戸の分譲価格が高くなることが多いので、その価格差を税額に反映させるための措置です。
なお、居住用超高層建築物とは、具体的には、高さが60mを超える建築物であって、複数の階に人の居住の用に供する専有部分を有し、かつ、当該専有部分の個数が2個以上のものをいいます。
一棟の居住用超高層建築物に係る固定資産税額を、取引価格の動向を勘案して補正した専有部分の床面積の割合に応じて各区分所有者に按分するのであり、専有部分の取引価格そのものの割合に応じて按分するわけではない。
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