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宅建士試験合格講座 都市計画法 > 都市計画の内容 #2

■ 4 都市施設

 『都市施設』とは、人が健康で文化的な生活をするために必要な全ての施設です。
 都市計画法では以下のものを都市施設としています。

① 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
② 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
③ 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設または処理施設
④ 河川、運河その他の水路
⑤ 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
⑥ 病院、保育所その他の医療施設または社会福祉施設
⑦ 市場、と畜場または火葬場
⑧ 一団地の住宅施設
⑨ 一団地の官公庁施設
⑩ 一団地の都市安全確保拠点施設
⑪ 流通業務団地
⑫ 一団地の津波防災拠点市街地形成施設
⑬ 一団地の復興再生拠点市街地形成施設
⑭ 一団地の復興拠点市街地形成施設
⑮ その他政令で定める施設

 「都市施設」というと、いわゆる「都会」における施設のみをイメージするところだが、そうではありません。例えば道路等は、都会にのみ必要で、田舎には必要ないというようなものではありません。したがって、都市計画区域については、都市計画に、都市施設を定めることができるが、特に必要があるときは、都市計画区域外においても、都市施設を定めることができます。

1. 「市街化区域」および「区域区分が定められていない都市計画区域」については、少なくとも道路、公園および下水道を定めるもの(必ず定める)とされる。
2. 住居系の用途地域には、義務教育施設をも定めなければならない。


■ 5 市街地開発事業

 市街地開発事業は、地方公共団体等が主体となり、積極的な街づくりを行おうというものです。以下の7種類があります。

① 土地区画整理事業
② 新住宅市街地開発事業
③ 工業団地造成事業
④ 市街地再開発事業
⑤ 新都市基盤整備事業
⑥ 住宅街区整備事業
⑦ 防災街区整備事業

 

■ 6 市街地開発事業等予定区域

 市街地開発事業等予定区域は大規模開発適地を確保するための制度といわれます。すなわち、大規模な市街地開発をやろうと思うと、その事業の種類や公共施設の配置などといった細かい計画が必要になります。そのうち、計画が一般の業者に発覚して土地を買い占められ、いざ都市計画決定がなされた頃には、土地を買収しようにも買収できない状況となってしまいます。また、周辺の開発が進んで思ったような都市計画ができなくなります。
 そこで、細かい計画が決まる前に、市街地開発事業等の「予定区域」を定めておき、将来の都市計画事業の障害となる行為を禁止しようというものです。
 予定区域は大きく、「市街地開発事業の予定区域」と「都市施設の予定区域」に分かれます。

 

■ 7 地区計画等

(1) 概要
 
地区計画等とは、一定のまとまりのある地区を対象にその地区の実情にあったきめ細かい規制等を行うことを内容とするもので、以下の5つがあります。

① 地区計画・・・区域の特性に応じた合理的な土地利用
② 防災街区整備地区計画・・・火事・地震時の延焼防止と避難機能の確保
③ 歴史的風致維持向上地区・・・歴史的風致の維持・向上
④ 沿道地区計画・・・道路交通騒音による障害の防止
⑤ 集落地区計画・・・営農条件と調和した良好な居住環境の確保

(2) 地区計画
 『地区計画』は、「小さな街づくり」といわれます。市街地開発事業等が、比較的大きめの街づくりであるのに対し、地区計画は1丁目、2丁目といった単位で行われるためです。そこでは、建物の高さ、敷地の面積といった細かい都市計画が定められます。

① 地区計画
(a) 地区計画
地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、および保全するための計画です。
 
(b) 地区計画を定める際の基準
地区計画は、公共施設の整備、建築物の建築その他の土地利用の現状及び将来の見通しを勘案し、当該区域の各街区における防災、安全、衛生等に関する機能が確保され、かつ、その良好な環境の形成または保持のためその区域の特性に応じて合理的な土地利用が行われることを目途として、当該計画に従って秩序ある開発行為、建築または施設の整備が行われることとなるように定めなければなりません。
また、市街化調整区域における地区計画については、市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めなければなりません。

② 地区計画が定められる区域
 地区計画は、次のいずれかに該当する土地の区域について定められます。

(a) 用途地域が定められている土地の区域
(b) 用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当するもの
 イ) 住宅市街地の開発その他建築物もしくはその敷地の整備に関する事業が行われる、または行われた土地の区域
 ロ) 建築物の建築またはその敷地の造成が無秩序に行われ、または行われると見込まれる一定の土地の区域で、公共施設の整備の状況、土地利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれがあるもの
 ハ) 健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域

都市計画区域であれば、用途地域が定められていない土地の区域であっても、一定の場合には、都市計画に、地区計画を定めることができる。

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