瀕死の恋愛の延命措置
人は、何かを得ることよりも、捨てることが苦手だ。
それは、変化することが苦手だからだろうか。
心のどこかでは、もしくは、頭の片隅では、それを捨てた方がいいとわかっているのに、捨てることがどうも苦手だ。
躊躇なく、捨てられればもっと楽になれるのに、怖くても変わる勇気があればレベルアップできるのに、とわかっていながらズルズルと現状維持をしてしまうのが人間ってものだ。
恋愛だってそうだ。
わたしと彼の関係は、もうとっくに破綻していると頭の中ではわかっていた。
毎度、同じようなことで喧嘩をし、「別れる、でも別れたくない」の押し問答を繰り返し、なあなあにして今までどうにか関係を保ってきた。
ぶつかり合うたびに、感情的になって、お互いをお互いで傷つけあってきた。
感情的なところからは何も生まれない。
大概が、言い過ぎてしまって後悔するだけだ。
本当に言いたかったことは、相手を責め立てることではなくて、ただ、「寂しい」や「悲しい」「傷ついた」との事実を伝えればいいだけなのに、人間はなかなか素直になることが苦手な生き物らしい。
お互いがお互いを傷つけあった事実は、消えることはない。
一度、放ってしまった言葉は元には戻せない。
傷をなかったことにすることはできないのだ。
傷ついていない、前の状態へ戻すことはできない。
傷は、癒えることはあるかもしれないけれど、傷ついていない状態へ戻すことはできないのだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
気がついたら、私たちの恋愛は、「瀕死」であった。
瀕死の恋愛をどうにか繋ぎ止めようと、延命措置を施していたのであるが、所詮、瀕死を長生きさせることはそう簡単にはできない。
死にかけのものを生き返らせるのは、そう簡単なことではない。
むしろ、新しい人と新しい関係を築く方が余程、簡単だろう。
(手間はかかるだろうが)
だが、面倒臭いことを猛烈に避けてしまうのが人間だ。
だから、心のどこかでは、頭の片隅ではなんとなくわかっていても、健全でない関係をダラダラとズルズルと続けてしまうのだろう。
瀕死の状態でも、生き返らせる方法は一つだけある。
それは、お互いがそれを望んでいる場合だ。
関係は、一人では成り立たない。
だが、お互いが同じことを望んでいるのならば、イバラの道になれど瀕死から生還させることはできるだろう。
人は、そう簡単には変わらない。
ましてや、人を変えることなんて、相手をコントロールすることなんて不可能だ。
だから、自分が改心するつもりで努力したら瀕死から生還を果たせるだろう。
瀕死から生還を望む場合に、下記のことを自分に問いかけてみて欲しい。
自分が変わって、改心したその自分は、あなたらしさを失っていない?
自分が好きでいられる?
自分らしさを失った人間ほど、目の光がなくなることはない。
自分が変われば、相手、周りも変わる。
これはコミュニケーションの鉄則だ。
だが、いかに自分が変わろうとも、あなたが努力をしようとも、そこに胡座をかき続け、あなたにとって苦しみや悩みしか与えない人種も存在するのだ。
どちらかが悪いと言いたいのではない、ただ、部品と部品が合わなかっただけなのだ。
価値観に、いい、わるいもない。
それぞれが、自分の価値観に沿った行動や思考をしているだけなのだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ここでわたしが提案すること。
それは、瀕死の恋愛の延命措置はやめろ、ということでも、瀕死から生還しろ、ということでもない。
ただ、変わることを恐れないで、ということ。
人間の気持ちなんて48時間でめっきり変わるもの。
人間の細胞は、200日で全て入れ替わるとも言われている。
私たちの体も感情も、思考も、日々変化し続けているのに、ずっと変わらないものを追い求めるなんてナンセンスではなかろうか。
毎日、変わらずに同じ行動を、選択をし続けていても、人生は変わらない。
現状に不満を言い、慰め合っているだけでは何も変わらない。
いつだって、人生を変えるのは、自分の行動と思考。
ベイビーステップでいいから、変わることを受け入れてみて。
自分がどうしたいのか、に敏感になって。
幸せになるのを恐れないで。
※この話が、フィクションかノーフィクションかはあなたが判断してください。現実どうなのかはどうでもよく、あなたの心に響くものがあれば、うれしいです。
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