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冬のオリオン座が輝く冬、帰り道にふと思ふ

気がつけば高校生の時からバイトをし、大学生になっても学費を稼ぐために夜遅くまでバイトをしていた。

終バスが無くなって帰り道とぼとぼ歩いていた冬のある日。

ふと見上げたオリオン座があまりにも美しく光り輝いていて、涙が出た。

早朝から電車に揺られ通学し、日中は大学で勉強に励み、バイト前まで課題をこなして、夕方から夜までバイトに明け暮れており、体力と気力が限界だったのだ。

「実家が太い学部同期が羨ましい」
「なぜ、こんなに働かないといけないのか」
※当時は、バイトを5つ掛け持ちをしていた

と、勝手に自己憐憫をし、自分はよくやっていると慰めたものだ。

当時を振り返ると、好きなことを好きなだけ勉強できる環境が整っていて、インタレスティングな仲間も居たのだから、感傷に浸っている自分に喝をいれたいが、こうやって人間は「有り難み」を学んでいくのだと思う。

あのオリオン座を見上げながら、何度バイト帰りに胸に誓っただろうか。

「強く逞しく生きていく。自分の道は自分で切り開く。」

失恋した帰り道、学業とバイトとピアノの両立で潰れそうになって疲労困憊の中空を見上げた帰り道、飲み会をして千鳥足になりながら歩いた帰り道、新たな恋をしてウキウキLINEを返しながら歩いた帰り道、就職について悩んだ帰り道…

どんな時も私は空を見上げて歩いている。

夜空を輝く星を見上げては、まるでその星を自分の目的地にしているかのように誓いを立てていた。

特に冬は、空気が澄んでいて星空がくっきりと見える。


今日もまた、アホ面をして夜道に空を見上げながら歩いていたのだが、先日降った雪で路面が凍結しており、すっ転んだ。

手からは流血、足も擦りむいて、痛みに顔がしかめっ面になりながら身体を起こした。

頭上には、やはりオリオン座がある。

私にとってオリオン座は、やっぱり、転んでも立ち上がる強さを教えてくれるアンカーのようなものだ。

鋭く且つ優しく夜空に輝くそれを見ると、まだまだ頑張れる余地があるように思えてくる。星たちが見守ってくれているのだ、という気分にもなる。

生きていると色んなことがある。

それが自分が引き起こしたものであれ、とばっちりを受けたものであれ。

それに左右されると自分を見失ったり、どうしたら良いのかわからなくなるが、いつも自然が教えてくれるような気がする。

自然はいつもそこに在る。

ただ、在ることから学べることがたくさんある。


なーんて、小難しいことグチャグチャ考えているから足元掬われてすっ転ぶのよね。

2022年、土台を固める一年にしようと冬のオリオン座に誓いを立てる夜。


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